おしゃれなセレクトショップやライフスタイルショップに行くと、いろいろなキャンドルを売っている。でも、キャンドルっていうと、どことなく女性的な気がして、男子にとっては、ちょっと気恥ずかしい。……と、思っていたんだけれど、最近、ちょっといい感じのキャンドルを見つけた。
「アポテーケフレグランス」は、キャンドルを中心に、お香やディフューザー、ルームスプレーなどの「香り」を展開するブランドだ。
2011年に「アポテーケフレグランス」をはじめた菅澤圭太さんは、もともとアパレル系企業に勤務していた。仕事で海外に行ったときに、アラブ人街などでよく見かける香料の調合 屋さんに強く興味を持ったという。
代表・菅澤圭太さん
千葉県出身。アパレル勤務を経て、香りの仕事を目指して香料会社に就職。独立後、自身のブランドを立ち上げる。自宅のラボで香りの調合に没頭しているのだとか。
「もともと香水やお香などの香りが好きだったんですが、スマトラ島やタイ、シンガポールなどでオッチャンがその場で香料をブレンドする光景に惹かれまして……」
こうして香りを仕事にすることを目指した菅澤さんは、アパレル会社をやめて勉強のために香料会社に就職。その後に独立して「アポテーケフレグランス」を立ち上げた。
調合からラベル貼りまで、すべて手作り!
「かつてキャンドルといえば輸入もの中心で値段も高く、せっかく買ってもディスプレイ(飾り)として使っている人も多かったんです。でも、それでは香りは楽しめません。だか ら、高級なキャンドルではなく、ふだん使いできるものを目指しました。そのためには、ハンドメイドのほうがコスト管理しやすかったんです」
そんなわけで、いまでも社員ふたりですべての製品をハンドメイドで作っている。キャンドルを流し込み、お香を丸め、箱詰めもラベル貼りも、すべて自分たちの手で--。
⬆収納ケースや在庫など、まるでお店のように整然とものが並べられている工房。なんだか日本ではないみたい!
⬆菅澤さんはアウトドア好きで、SOTOのバーナーとSnowPeakのコッヘルを愛用。ふだんから食後に漢方薬を煎じて飮んでいる。
⬆製作道具もデザインの良いものが多く、並べ方ひとつ見ても性格が透けて見える。
⬆温度を測りながら、ロウを溶かす。これに香りを付けることでアロマキャンドルの素になる。
⬆溶かしたロウをひとつずつ缶に流し込む作業。1日使えば、500缶程度が生産可能だ。
⬆名前どおりに旅先に持っていきたいコンパクトなキャンドル。部屋の中でも灯しやすい。
⬆オーガニックの大豆100%を使ったフレグランスキャンドル。
INCENSE STICKS ¥1,500[25sticks]
⬆1本あたり100〜110分の燃焼時間。キャップはコルク製。
REED DIFFUSER ¥6,500[250㎖+10sticks]
⬆無骨なリサイクルガラスで男性でも使いやすい。
⬆部屋の空間やカーテンなどのファブリックにシュッとスプレー!
いろいろな香りを楽しんでもらいたい、と、約60種の香りをラインナップ。まずは、キャンドルをひとつ手に入れて、部屋で気軽に楽しみたい。キャンドルの原料は、100%の大豆油、つまりナチュラルな油だから、安心して炎のゆらめきを楽しめる。
たとえ仕事でイラッとするようなことがあったとしても、あるいは濡れそぼったネズミのようなションボリ気分だったとしても、キャンドルのいい香りにつつまれて炎を見つめているうちに、いつのまにやらニンマリしている自分に気づくことになる。そして、「火と香りは、心に直接とどく」ということを実感できるはず。そう、キャンドルって、「小さな焚き火」なのだ。
週末に、コーヒー片手にレコードを聴きながら。大切な人と、のんびりワインを飲みながら。さて、今日はどんな香りにしよう……なんて迷うのが、また楽しいんだよね。
部屋に、ピースフルな焚き火があれば、きっと楽しい休日になると思うんだ。それじゃ、よい週末を!
APOTHEKE FRAGRANCE (アポテーケフレグランス)
※構成/大草朋宏、b*p編集部 撮影/松木宏祐 (初出「BE-PAL」2017年3月号)