コーヒーの新潮流として話題になった「サードウェーブコーヒー」。
厳選された豆を挽き、1杯ずついれるスタイルは今も大人気だ。
ところが、最先端のコーヒーは、もう少し先を行っているのだとか……。
教えてくれたのは、東京・神田『GLITCH COFFEE & ROASTERS』の鈴木清和さん。
「最近のコーヒー界のキーワードは、『スペシャルティコーヒー』と『シングルオリジン』のふたつ。
『スペシャルティコーヒー』とは、豆の品質管理と風味が一定レベル以上であることを保証する制度です。
一方、『シングルオリジン』とは、<単一の地区・農場で収穫された単一種>のこと。生産者が限定され、ブレンドもしていないため、豆の個性が際立っています」
これらの豆は、非常に良質で風味豊かなので、豆本来の味を生かすために、浅煎りにして抽出するのが常道。
いわゆる「サードウェーブ系コーヒー」とは、浅めの焙煎で風味や味の変化、後味の余韻など、豆の個性を楽しむコーヒーのことをいう。ワインやクラフトビールなどと同様、おいしいだけではなく、産地ごとの味、キャラクターの違いがわかってくるのが、なんとも楽しい。
いい豆にこだわって、個性を引き出すように焙煎するという点まではどこのお店も一緒だが、「もう一歩先を行くショップでは、今までと違う淹れ方をするんです」、と鈴木さん。
「コーヒーをいれる上で重要なのが『レシピ』です。『レシピ』とは、
・挽いた粒の大きさ
・お湯の温度
・お湯を挿すタイミング
などのこと。これらが異なれば、同じ豆を使ってもいれても、味はまったく違ったものになります」
そう言って、鈴木さんが教えてくれたのが、こちらのレシピ。
抽出中に攪拌する(!)という、以前では考えられなかった手法も導入されている。
1
豆を「中挽き」サイズに挽き、「16.5g」投入。
「レシピを守るために、温度計やタイマー付きのはかりは必須です」(鈴木さん)。
2
はかりを見ながら、「86.5度C」のお湯を「50g」、豆にまんべんなくかける。
「10秒」かけてゆっくりと。
3
ティースプーンで底から撹拌し、お湯を全体になじませる。
最初のお湯の投入からここまでの経過時間は「30秒」。
4
お湯を第2投。「70g」のお湯を注ぎ入れる。
最初のお湯の投入からここまでの経過時間は「50秒」。
5
第2投が落ちついたら、はかりが「250g」を指すまで、ゆっくりとお湯を注ぐ。
6
抽出液が「210ml」たまったら、カップに移し、撹拌して完成!
淹れてもらったコーヒーをいただくと……おお!
炭くささも強い苦味もまるでなし。
口に広がるのは、果物か花のような爽やかな風味!
「これまでのコーヒーとはまるで違うでしょう?
私たちは日々、国境を越えて情報やレシピを交換し合っています。
そんなお店なら、コーヒーを提供するだけでなく、豆に合う淹れ方も教えてくれるはず。
みなさんもぜひ抽出に挑戦してみてください!」
■『GLITH COFFEE & ROASTERS』
東京都千代田区神田錦町3-16 香村ビル1F
各線「神保町駅」A7出口徒歩5分、A9出口徒歩2分
≫【インタビュー】「GLITCH COFFEE&ROASTERS」(前編)はこちら!
https://www.bepal.net/archives/257818
◎文=藤原祥弘 写真=田中麻以