あれは10年くらい前だろうか。トイカメラが流行した。
チープなつくりのフィルムカメラで、現像してみるまでどんな風に写っているのかわからない。
色が赤っぽかったり、ピントが甘かったり。
アレブレボケという(言葉だけ借りれば)森山大道かと錯覚するような、
不思議な写真が撮れた。しかも偶発的に。
真っ白や真っ黒で、何にも写っていないなんてことも。でもそれがよかった。
当時はデジカメの解像度がどんどん高くなり、
粒子の細かいきれいな写真が当たり前になっていくなかで、反動でもあったかもしれない。
当時流行ったもののひとつに「HOLGA」という香港のカメラがあったが、
そのデジタルバージョンが発売された。
トイカメラの良さは、細かいことを気にせずにパシャパシャ撮れることだったが、
それでもフィルムの場合はフィルム枚数という絶対的物理的制約があった。
「HOLGA DIGITAL」はそこから解き放たれた。いくら撮っても構わない。
でもディスプレイが付いていないので、
かつてのフィルム時代のようにどんな写真が撮れているかわからない。
フィルムのワクワク感と、デジタルのお手軽さがミックスされているのだ!
画角は、4:3と1:1を選べる。
Instagramに慣れた世代ならば、1:1も直感的に使いこなせるだろう。
思えば、高解像度のスマホで撮って、わざわざレトロな加工を施している人も多い。
その起源はHOLGAだったのではなかろうか。
【カラー】
ミックス、ピンク、ブラック、ホワイト
【スペック】
幅9.2×奥行き5.6×高さ7.3cm、約100g。本体はプラスチック。
電源は単3形アルカリ乾電池2本(別売)。メモリーはSDカード(別売)。USBポートはマイクロUSB(ケーブルは別売)。
解像度は800万画素。画像比率は4:3または1:1。
センサーは1/3.2インチハイダイナミック、ローノイズCMOSカラーセンサー。絞り値はF2.8またはF8.0。
フォーカス最短距離は最大1.5m。シャッターはBまたはスピード1/60秒。ホットーシュー、ビューファインダーあり。
ネックストラップが付属。中国製。