文鳥文庫が発行している小説は、どれも有名な作家ばかり。
宮沢賢治に芥川、さらに大宰、漱石、谷崎、三島。ちょっと飛んでも村上春樹。
いまさらと言うなかれ。
発行している作品はすべて16ページ以内の短編ばかりだ。
これを1冊の文庫にしようとすると1作品では成り立たない。
だから一般的には「短編集」となるのだ。
『走れメロス』がそんなに短いストーリーだと知っていましたか?
16ページという短編だと、本の体裁に綴じてしまうと読みにくい。
文鳥文庫では、読みやすいように蛇腹にデザインしている。
ペラペラな本だけど、陽射しのいい日に日だまりで読みたくなるようなかわいい佇まい。
そうか、そこが文鳥だ。
注目は、村上春樹と柴田元幸訳のオー・ヘンリー。
この2作品は、今回の収録にあたって改訂された。
村上の文鳥文庫改訂版は、
昨年行われた古川日出男主宰の「ただようまなびや 文学の学校」で、
本人により朗読されたことでも話題になった。
もちろん細かい表現の違いであって、ストーリーには変わりはない。
が、マニアなら読み比べてみるのもいいだろう。
収録作品は以下。
第一弾
『走れメロス』太宰治
『注文の多い料理店』宮沢賢治
『白』芥川龍之介
『変な音』夏目漱石
『堕落論』坂口安吾
『檸檬』梶井基次郎
『手袋を買いに』新美南吉
『高瀬舟』森鴎外
第二弾
『刺青』谷崎潤一郎
『雪もち』幸田文
『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』村上春樹
『雨のなかの噴水』三島由紀夫
『初恋』尾崎翠
『メリイクリスマス』太宰治
『賢者の贈り物』オー・ヘンリー/柴田元幸訳
『バッタと鈴虫』川端康成