スコットランド発のBREWDOGが目指すカーボンネガティブ
BREWDOG(以下ブリュードッグ)は、2007年、イギリスのスコットランドに創業したクラフトビールブルワリー。そのフラッグシップ「PUNK IPA」は、伝統的なエールの味をぶっ飛ばすインパクトで登場し、またたくうちにイギリスのナンバーワンクラフトビールに成長。まだIPAの名が知られていなかった日本にも早々に輸入され、IPA人気の火点け役になった。
PUNKの名のとおり、ブリュードッグの基本理念は“常識に逆らう”ことにあり、これまでさまざまな斬新なアイデアで世界をアッと言わせてきた。クラウドファンディングで株主を募ったり、アルコール度67・5%という誰が飲むの?という度数のビールを造ったり、大胆なマーケティング手法で物議を醸したことも一度や二度ではない。
その一方で、ブリュードッグには“世界一環境にやさしいブルワリー”を目指すというサステナブルな顔がある。
2019年 、ブリュードッグは、おいしいビールを飲みつづけられる地球環境を確保するための取り組みとして「BrewDog Tomorrow」を発表。2020年には、ユーザーがオンラインで株を買って経営にアイデアや意見を出せる「Equity for Punks」を開始し、5万人以上の新しい株主を迎え入れた。HPには「環境保護は我々自身の問題と捉え、所有する9,308エーカーの森を再生する予定だ」と記されている。
スコットランドの1,500エーカーの森にキャンプ場を
ブリュードックはスコットランドの南西部に1,500エーカーという土地を買い、100万本の広葉低木樹を植林して森を再生するLOST FORESTプロジェクトを進めている。1,500エーカーとは約600ヘクタール、東京ドーム約130個分ほどの広さ。さらに550エーカーに大量の炭素を蓄積する泥炭地(でいたんち)の復元を計画している。泥炭はピートと呼ばれるが、スコッチウイスキーに欠かせない資源でもある。
こうした森の再生で、新たに吸収される二酸化炭素は約30万トンと計算されている。これはブリュードッグの事業によって排出される総二酸化炭素量の約2倍に相当するという。すでに2020年、排出二酸化炭素分の吸収を達成し、世界初の「カーボンネガティブな醸造所」になった。2023年までに排出二酸化炭素量を2019年比の35%削減を目標にしている。
さらに、LOST FORESTプロジェクトで再生された森「BREWDOG FOREST」の一部にキャンプ場を整備し、地域経済にも貢献していく予定だ。
FUJI ROCK FESTIVAL’22にも参加
現在、日本で販売されているブリュードッグ製品は、「PUNK IPA」(IPA)、「HAZY JANE」(ヘイジーIPA)、「ELVIS JUICE」(グレープフルーツIPA)の3つ。
このようにサステナブルを目指すブリュードッグはパンクなだけに、マスメディアにはなかなか姿を現さない。次はどんなプロジェクトが? インスタやTwitterでチェックしてほしい。