ソロキャンプ人気を牽引するのが、無骨なシェルター&タープだ。どんなタイプを使うかで過ごしやすさは変わってくるし、自分のソロキャンスタイルを主張する上でもギア選びにはこだわりたい。そこで、本誌でおなじみのアウトドアライター、ホーボージュンさんが、質実剛健な軍モデルとウルトラライトなタープをVersus検証!
私が解説します!
ホーボージュン
質実剛健で焚き火もできる軍幕テント
グリップスワニー/ファイヤープルーフGSテント
ミリタリー向け特殊素材「ブレイズシールド」を使用したパップテント。難燃性、撥水性に優れるのでブッシュクラフトやソロキャンプにいい。本体には専用ポールが2本付属するが、前面を跳ね上げるためには別売りのサブポールやトレッキングポールを利用する。
¥49,500
問い合わせ先:スワニー販売 03(3306)1411
SPEC
●素材=難燃加工・はっ水加工コットン100%
●本体サイズ=330×190×高さ130㎝
●耐水圧=約300mm
●本体重量=3720g
●総重量=5600g(張り綱4m、ペグ12本、収納袋込み)
とことん焚き火を楽しむなら難燃素材の軍幕が最高だ
キャンプブームが止まらない。なかでも“おひとり様”勢は今夏も元気いっぱいで、どこのキャンプ場へ行ってもソロキャンパーの姿を見かける。そんな彼らが愛用しているのがパップテントだ。原型は軍用テントで、マニアのあいだでは「軍幕」などとも呼ばれている。
最大の特徴は頑丈で汎用性に優れることだ。形状は各国軍によっていろいろあるが、民生用(キャンプ用)は、このようなツーポール方式が多い。6か所のループを地面にペグダウンし、専用ポールで立ち上げる。
このモデルはグリップスワニーの人気商品で「ブレイズシールド」というコットンベースの難燃素材を使っている。ブレイズシールドには自己消火性があり、万が一接炎しても溶解することなく炭化するので炎上しない。また従来の難燃性素材の5倍の強度があるので、パップテントのようなタフな用途にはぴったりなのだ。
写真のようにひさしを大きく跳ね上げて使えば見晴らしもいいし、そのすぐ脇で焚き火をしても炎が燃え移る心配がない。ソロキャンパーにとって焚き火は最大の楽しみ。それを心置きなく楽しめちゃうのである。
ここがスゴい!
設営しやすいツーポール方式
前幕は巻き上げて途中で保持可能
全閉すれば悪天に対応
創意工夫で張り方無限大!
パーゴワークス/ニンジャタープ
4辺がやや尖った独自の「手裏剣シルエット」に21か所のジョイントポイントを設けた小型汎用タープ。ソロハイカー向けのサイズだが、複数を連結して使うこともできる。別売りでインナーテントや超軽量アルミポールが用意されていて、テントとしても使用可能。
¥19,800
問い合わせ先:パーゴワークス 042(312)2865
SPEC
●素材=30Dシリコンコーテッドナイロン
●本体サイズ=280×280cm
●収納サイズ=27×9×9cm
●本体重量=395g
●総重量=500g(張り綱6本、収納袋込み)
スキルとアイデアで野営をクリエイティブに
いっぽう、もっとシンプルに、そしてもっとクリエイティブにキャンプを楽しみたい人にはこれ。変幻自在でまわりの環境に溶け込むところから「ニンジャ」と名付けられた個性派タープだ。
もともとタープは風呂敷やロープなどと同じで、使い手の工夫で何通りもの使いこなしができるが、本作はそこに主眼を置いてデザインされた。最大の特徴は合計21か所に設けられたジョイントポイント。このすべてがアンカーポイントになるだけでなく、トグルとループを連結することで幕そのものをさまざまな形に変化させられる。
さらに前後2辺にはドローコードが内蔵されていて、ここを絞ることで幕体を変形させられる。開発者によると「約30通りの張り方ができる」そうだ。
素材は30Dのシルナイロンで、本体395gと非常に軽く、それこそ忍者の七つ道具のようにバッグに忍ばせておくことができる。これまでグレー系カラーが定番だったが、昨年から流行のベージュが新登場。これがまたカッコイイのだ。
僕は「究極のアウトドア道具は知恵と両手だ」と思っている。それを総動員してぜひとも野営を楽しんでほしい。
ここがスゴい!
21か所のトグルで自由自在に張れる
環境に合わせて簡単に張り直せる
幕体の形状を変形させられる
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2022年9月号より)