農業経験ゼロで始めた100%オーガニックの鎌倉野菜を育てる『雨のちハレ、ときどき農業生活』は3年目を迎えていますが、何もかもが初めて尽くしだった初期に比べて、すっかり手慣れた作業もあります。
「今日は、ジャガイモを植えるから」
農場主のこの一言だけで、これからの段取りをサクッとスタートさせる自分がいました。少し余談ですが、以心伝心よろしく、関係性が深まるとコミュニケーション方法に男女差が生まれるそうです。男性同士は、会話量が圧倒的に減り、女性同士は圧倒的に増えるとか。
この日、農場主との会話はこれだけだった気がします(笑)。
どうして畝を作るのか?
ジャガイモには春作と秋作があります。今回は秋作です。収穫時期はおおよそ12月あたりを想定していますが、栽培の手間があまりかからず、保存もきくジャガイモは、家庭菜園にもオススメです。
畝作りにミニ耕運機「こまめ」の力は必須です。こいつがいなかったら重労働になっているところでした。そもそも、どうしてジャガイモ栽培に畝を作るのか? それは水はけをよくするためです。水はけの悪い畑では、種芋が腐ったり根腐れを起こすことがあるので、畝の山側に種芋を植えつけることになります。
どうして逆さに植えるのか?
植え方は「逆さ植え」と呼ばれ、芽が出ている面を下にします。なぜだかわかります? 当たり前ですが芽は上に伸びて成長しようとします。芽を下にすると芽はそのまま下に伸びようとして、土の抵抗を受けて方向転換し、上へ向かって伸び始めるそうです。すると、弱い芽は成長を止めてしまい、強い芽だけが生き残るわけです。厳しい世界です(笑)。
このように、30cm程度の等間隔に種芋を置きます。そしてこの後、ジャガイモをグッと押して土の中に植え込み、土をかぶせれば植えつけ完了です。
どうしてマルチを張るのか?
畝を作って種芋を植えつけたら、山を黒いシートで覆います。これをマルチングと呼びます。略して「マルチ」。マルチングをすることで、土壌の乾燥や侵食を防止し、地中温度の調節ができたり、雑草を生えにくくさせ、雨などで肥料が流れることを防ぐこと。そして、病気の伝染を防ぐ効果が期待されます。
秋作は特に、朝晩の気温の低下があるので、地中温度を確保して生育を促す狙いがあります。また、光を遮って雑草とイモの緑化を抑制することも狙いです。
注意点とこれから
ジャガイモ栽培の最大の注意点は、連作障害を避けることです。毎年同じ場所に同じ作物を栽培することを 連作といいまして、連作すると、土の中の病菌や有害センチュウの密度が高くなったり、土の中の栄養分が不足したりして野菜の育ちが悪くなることがあるそうです。 これを連作障害といいます。
連作障害はすべての植物に出るわけではなく、ネギやニンニク、トウモロコシ、コマツナ、シュンギク、サツマイモなどはトラブルが少なめで、連作障害のリスクが高いのは、トマトやナスなどのナス科、キュウリやゴーヤなどのウリ科、インゲンやエダマメなどのマメ科、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科などです。
対策は、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにすることです。また、近くに同じナス科の野菜があると病害虫が増えるので、ナス科同士の隣り合わせを避けたり、キャベツが隣りにあるとジャガイモの生育が悪くなるため、これらの野菜とは離して植えるようにします。野菜作りも隣人との付き合いは適度な距離感が大事なんですね。
さて、植えつけが終わると生育を待ちます。発芽したらマルチに穴あけ、芽を外に出します。そのうち花が咲きます。花が咲いたら早めに摘みます。そして、地上に出ている茎や葉が枯れ始め、黄色くなってきたらいよいよ収穫の時期になります。ちなみに、葉が枯れ出す前に収穫すると皮の薄いジャガイモが採れます。これを「新じゃが」と呼びます。
立派に育ってくれる楽しみな秋がやってきますね。