私は「より多くの人にキャンプに行って欲しい」という思いのもと、これまでもBE-PALでたくさんの記事を書いてきました。
などの記事です。
しかし、これらの問題を乗り越えてなお、キャンプに行こうとする私たちの前には最後の大きな壁が立ちはだかっています。
それは、「キャンプに行くのって、なんだかんだで面倒くさい」という、身も蓋もない心の声です。
人に備わる七つの大罪の1つ、「怠惰」。
この生まれながらに背負わされた十字架を、気合の入った一本背負いで投げ飛ばして決別しない限り、私たちは大自然のなか羽をのばす権利を得ることができません。
そこでこの記事では、キャンプの最適化を追求し続け、いまでは週1でキャンプに出かける著者が、「キャンプの面倒くささをなくす秘策」についてお話します。
荷物を準備する手間を無くす
まず、荷物を準備する手間を無くすために「キャンプBOX」を作りましょう。
キャンプBOXとは、簡単に言うとキャンプで使うギアのみを収納ボックスにつめたものです。
キャンプBOXを作ると、それを車やバイクに積み込みさえすればキャンプの支度をほぼ終わらせることができます(徒歩キャンプであればBOXの中身をザックにパッキングするだけで準備が終わります)。
キャンプの準備が一瞬で終わるという夢のような箱ですが、運用にあたっては何点か注意点があります。
- 状況(天気・季節・宿泊日数など)に応じて必要/不要になる道具がある
- 日常生活と兼用している道具もある
このような性質をもつギアについては、BOXに入れっぱなしにできません。
そのため、これらのギアはメモ帳やメモアプリにリストアップしておきます。
そして、1.についてはキャンプ当日までに状況に応じて箱の中身を微調整しましょう。
2.については前日にリストを見ながらBOXに梱包することで、忘れずにキャンプに持っていきます。
リストアップが面倒に感じる方もいるかもしれませんが、1度やっておくとその後の準備が格段に楽になります。絶対にやっておいて損はない、おすすめのテクニックです。
椅子と机は持っていかない
準備だけでなく、片付けも非常に面倒くささを感じる作業です。
キャンプでは片付けるものが無数にあります。1つ1つの片付けは大したことがなくても、それが無数に積み重なることで”失われる時間”も”感じる煩わしさ”もどんどん膨れ上がっていきます。
それを避けるためには、省けるものは片っ端から省いていくしかありません。
そこで提案したい事の1つが、椅子を持っていかないことです。
そうすれば、椅子の組み立てと片付けにかけていた労力と時間を省くことができます。
キャンプチェアにはたいていショックコードがついており、組み立ては半自動で行なえるため比較的楽です。しかし、ショックコードが椅子の形を維持しようとするので、片付けには結構な労力が伴います。
「キャンプに椅子がないなんて」と思われたかもしれませんが、椅子なしのキャンプはすでにお座敷スタイルという名がついているほど、一定の支持を得ています。
お座敷スタイルにすることで、机を持っていくことを省くこともできます。ピクニックやお花見でお弁当をレジャーシートに直置きする、あのスタイルでキャンプを楽しめばいいのです。
あるいは、中身を取り出したキャンプBOX(収納BOX)を机代わりにすることもできます。
キャンプといえばアウトドア用のチェアに腰掛け、テーブルを囲んで食事をしている映像を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、それは1つのよくあるイメージでしかありません。
大人数のキャンプでは導入が難しい面もありますが、1~3人程度ならなんら問題なくキャンプを楽しめます。
キャンプには椅子と机が必要という固定観念を捨てて、ぜひ1度試してみてください。
料理は「加熱」だけでいいようにする
料理の手間を無くすための方針はただ1つ、「キャンプ場での料理は加熱しかしない」です。
キャンプ場での調理はあらゆる調理器具が揃った家庭内のキッチンとは勝手が全く違い、「野菜を洗う」「食材を切る」「食器洗い」などの一連の行為に普段の数倍の時間がかかります。
一方、キャンプの食事というのは、「外で食べる」「できたてを食べる」という2つの条件を満たせばかなりの満足感を得ることができます。
よって、手間を減らすことを優先させるのであれば、「キャンプ場では包丁などは使わず、下ごしらえされた食材を焼いたり煮たりしてできたての料理を味わうこと」が、最小の労力で最大の満足度を得られる方針となるわけです。
そして、そのための選択肢は2つあります。
- 缶詰、レトルト、カップ麺、カット不要の肉・魚・野菜を使った料理をする
- 好きなものが作りたければ下ごしらえを家で済ませて来る
とにかく手間を減らしたければ1、どうしても食べたいものがある場合は2、といった具合でしょうか。
「キャンプ場で食べるカップラーメンが美味しい」、というのはもう説明不要だと思います。そう、キャンプ場で食べれば缶詰も、レトルトも、ご馳走に変わります。あとは加熱するためのバーナーや焚き火(炭火)があればそれで充分なのです。
どうしても作りたいものがある、もしくは手作りのものを食べたければ、下ごしらえは家で済ませておきましょう。
カットや味付けを済ませたものをチャック付きビニール袋などに入れて持参するのがオーソドックスです。キャンプ場で処理するより何倍も早く終わりますし、包丁やまな板を持っていく必要もなくなります。
肉や魚などの食材に味がしみて美味しくなるという効果もあり、まさに一石二鳥、いや一石三鳥の御利益があります。
キャンプを「面倒くさくないもの」にする具体的な手順
キャンプではやることの選択肢が無限にあるので、忙しくしようと思えばどこまででも忙しくすることができます。
しかし、あれもこれもと詰め込んでしまうと、当然ながらパンクしてしまい「キャンプ=面倒くさいもの」というイメージが頭の中に定着してしまいます。
ですので、キャンプを面倒くさいものにせず、満足度を高めるためには以下の2点が重要です。
- まずは1つ1つの作業について、自分が面倒くささを感じ始める作業量を知る
- その上で計画段階でキャンプ全体の作業量を「面倒くささを感じないレベル」に調節する
「荷運びは箱いくつまでならストレスを感じないか」「料理は何品までなら面倒くさくないか」「洗い物は何個以上から煩わしいと感じ始めるか」など、まずは個々の作業について「自分が面倒くささを感じ始めるボーダーライン」に注目してみてください。合わせて、1つの作業につきどの程度時間がかかるかもメモしておきましょう。
そして、それを見極めたら、今度はキャンプ全体の作業量を「面倒くさくない」量に調節しましょう。
- 今回は外遊びを楽しむために料理は簡単なものにしよう
- 今回は料理に凝りたいので現地では買い物せず早めにチェックインしよう
- 今回はぼーっとしたいので設営も料理もひたすら簡素にしてのんびりしよう
自分の中の「面倒くさい」と相談しつつ、自分にとって最も「ちょうどいいキャンプ」のラインを見つけていきましょう。
今回紹介したテクニックで、あなたが1回でも多くキャンプに行けるようになればとても嬉しいです。
それでは次はキャンプ場でお会いしましょう。