はじめまして! セーリングヨットSANTANAで世界一周中の前田家です。
語り部は前田家の妻です。私はニュージーランドに移住し、そこで出会った日本人の夫と結婚。ふたりの子供を授かり生活していましたが、2022年3月にニュージーランドを発ちアメリカに行き、カリフォルニアを出航。寄り道をしながらゆっくりと世界一周を目指しています。
日本ではセーリングとは全く縁のない生活を送っていた初心者夫婦が、子供達を連れてヨットで世界を巡ることになった経緯とは!?
セーリング大国、ニュージーランド
日本と同じく海に囲まれた島国のニュージーランドは、世帯当たりの船舶所有率が世界一という知る人ぞ知るボート大国。
人口約500万人と小さな国にも関わらず、各地の港には多くの船が係留されています。特に最大都市オークランドは「帆の街」と呼ばれ、港に立ち並ぶヨットの姿は圧巻!観光時に利用できる各種クルージングツアーも充実しています。
また、セーリングはオリンピック競技で知られるようなレースだけではなく、子供からお年寄りまで幅広い年代が一緒に楽しめる娯楽としても人気があります。
私たちも近所の方から練習用のヨットを格安で譲ってもらい、セーリングの基本を学びました。
もっともこのヨットはとても古く故障ばかりで、セーリングよりも修理している時間の方が遥かに長かったのですが……笑。
「海は男のロマン」というのは本当らしい
セーリングヨットで旅をするというアイデアを主人の口から聞いた時は、(とんでもないことを言い出したー!)と内心ヒヤヒヤしたのを覚えています。夢の世界にはどうぞ一人で……。
でも大丈夫。飽き性の主人は、これまでも様々な趣味を持っていましたが、私の知る限り長く続いたものはなかったのです。そのうち熱が冷めるだろうと鷹をくくっていましたが、今回ばかりは違いました。
嫁釣り作戦、大成功
話半分に聞き流しているうちに、新型コロナウイルスによる国境封鎖でとても旅に出られるような状況ではなくなりました。
家にいる時間が増えたことで、ヨット生活をシェアしている海外のYouTubeチャンネルを見る機会ができました。そして、今まで全く縁のなかった海の上の生活が急に身近なものになっていきました。
そこでは、私が今まで想像していたようなハードボイルドな海の世界ではなく、全く知らない自由なライフスタイルが広がっていたのです。
今考えるとこれは主人の作戦で、ヨット生活の良いところだけを切り取った美しい動画の数々で私を釣るつもりだったのでしょう。
分かりやすく作戦にハマった私は、「絶対無理」「断固拒否」という初期のモチベーションから、この生活を実現するためにはどうしたら良いのかと考えるまでになっていました。嫁釣り作戦は大成功!?
実際にヨットで生活をはじめてからは、動画には映らない現実を数々を知ることになるのですが……それはまたの機会に!
理想のヨットまでの道のりと猛烈断捨離
私達の限られた予算と生活スタイルに合い、長い海の旅にも耐えられる丈夫なヨット探しには一年ほどかかりましたが、そのタイミングは突然やってきました。
私達の理想のヨットが、はるか地球の反対側に位置するアメリカのカリフォルニアで見つかったのです。自宅を賃貸に出して、家賃収入で持続可能な旅を楽しんでいるセーラーも多くいる中、残念ながら私達にはそんな余裕はありませんでした。おすすめできる方法ではありませんが、自宅を売却してヨットを手に入れました。また、船の収納スペースは限られているため、所持品のほとんどが断捨離の対象に。
夢を実現するために強制ミニマリストと化した前田家。
お片付けの達人、こんまりさんのYouTubeチャンネルの力を借りて(笑)、最終的に10個のボスンバックに4人家族の全ての持ち物が詰め込まれました。
そして旅の始まり
2022年3月、ニュージーランドからカリフォルニアへ旅立ちました。
往路は飛行機で12時間、復路はヨットで無期限、放浪の旅の始まりです。
飛行機が断然早い(笑)。
そして、いよいよ前田家の新居となるヨットと初対面。
1998年製と、この手のヨットとしてはヴィンテージの部類に入る古いものにも関わらず、実物を見ないで購入を決めた無謀な前田家でしたが、幸い大きなトラブルもなく受け渡しの日を迎えることができました。
思い立った日が吉日
実際にヨットで生活を始めてみると、ああ、もっときちんと準備しておけば良かった……となる場面が多々あるのですが、それでも万全に準備を整えるまで出発を待たなくて良かったと思っています。というのも、奥が深い海の世界。学ばなければいけないことは山ほどあって、私自身今現在も全体の一ミクロンも分かった気がしていません。これらをすべてマスターしてから旅に出ようとしたら、私達夫婦の場合、一生かかっても出航できなかった可能性大です。
もちろん子供たちの成長はそれを待ってはくれません。それに時間が経てば経つほど、できない、やらない理由が増えてしまっていたに違いありません。まずはスタートラインに立って、その後のことはそれから考える。まさに勢いだけでここまで来てしまった前田家ですが、思い立つ日が吉日ということで。
コンフォートゾーンを抜けてみた
そもそもニュージーランドに来ていなかったら一生足を踏み入れることのなかったかもしれないセーリングの世界。
そして、セーリング旅を始めていなければ知ることもなかった海の上の暮らし。
どちらも私達にとって恐々とコンフォートゾーンを抜ける選択でしたが、その先で前田家が見たものとは……?
(次回に続く)
4歳の娘と6歳の息子を連れて、セーリングヨットSANTANAで放浪中の4人家族。2022年3月、カリフォルニアを出航。寄り道をしながらゆっくりと世界一周を目指します。海の上でサステナブルな暮らしを模索中。Instagram #svsantanajp