10月は、食品ロス削減月間となっていて、農林水産省、消費者庁、環境省が連携して、食品ロスの削減に向けた取り組みを集中的に普及し、啓発する期間とされています。まだまだ知られていない食品ロスを知ることから始めてみることも大切です。世界人口が増加する中、これからの食について考えることは重要です。そんな未来を生きる若者である現役中学生とオイシックス・ラ・大地がアップサイクル食品を共同開発しました。食材選定から、実際に販売されるためネーミングやパッケージ、完成商品のマーケティングプランまで、生徒たちが考案しています。
オイシックス・ラ・大地とZ世代の食プロジェクト第一弾
オイシックス・ラ・大地が、青稜中学2年生と3年生の有志が参加するSDGsゼミナールとともに開発した商品が、2022年10月6日から発売されます。この取り組みは、「Oisix × Z世代 未来の食プロジェクト」の第一弾として行なわれたもので、約半年かけて、実社会で活躍する人々からサポートを受けながら生徒たちが自分の力でアップサイクル商品の開発をするというプロジェクトです。大学と企業が商品開発を行なうことはよくありますが、義務教育である中学生が開発するとは、大胆な試みだと感じました。オイシックス・ラ・大地では、サステナブルリテール(持続可能型小売業)を目指してフードロス削減につながる活動を積極的に行なっていて、アップサイクル食品も数多く展開しています。そんな中、未来を担う次世代の子どもたちとの取り組みを強化したいと考え、プロジェクトをスタート。この活動を通して、持続可能な取り組みが社会全体に広がることを目指し、さらに生徒たち自身がSDGsに取り組むきっかけになればと考えています。そこで、SDGsのゼミがある青稜中学に打診し、今回のプロジェクトが実現しました。
プロジェクトの内容とは
アップサイクルの取り組みは、5月からスタート。10グループに分かれ、商品化の食材選びからスタートしました。廃棄されているニンジンの皮や大根の葉、リンゴの芯など全12食材から商品化する食材を議論。廃棄される食材をアップサイクルすることで、多くの人にフードロスの現状を伝えられるのではないかという意見など、そのものがおいしくなりそうという理由だけではなく、さまざまな角度から食材選びが行われました。
食材が決まったあとは、おいしく食べてもらえるよう、どうアップサイクルするか、ミシュラン二つ星5年連続獲得の仁本料理『傳』の長谷川在佑さんを講師に迎えて、意見を出し合いました。ここで投票の結果、きのこの石づきと豆腐を使ったハンバーグ・大根の葉を使った蒸しパン・昆布の根元を練りこんだそうめんに決定。その後、パッケージデザイン案の議論、試作品を試食やネーミング案などグループごとにプレゼンし、青稜中学高等学校の文化祭でブースを出店し、来場者に3商品の試食と人気投票を行いました。この文化祭では、400食分用意していましたが、1時間余りで配り終える盛況ぶりだったそうです。発売前となる最後の授業では、多くの人に知ってもらい、購入してもらうためのマーケティングについてのプレゼンが行なわれました。
中学生だけでなく生産者側にも発見が
アップサイクルの商品を開発する過程で、こんなところにも食品ロスがあったのかと改めて知ったという声も聞こえてきました。
「コンビニのお弁当とか加工食品が捨てられていると思っていました。農家さんで作られた生の野菜などが捨てられていることを知り、衝撃を受けました」というのは、中学3年生の池上結希矢さん。確かに、賞味期限の問題などで廃棄される加工品の方が、規格外の野菜よりニュースなどに取り上げられることの方が多く感じますね。
今回、池上さんのグループは、きのこの石づきと豆腐を使ったハンバーグを担当しましたが、実は、しいたけ以外のものを使いたかったそう。ただ、作ってみて、廃棄されていた部分から旨味がでておいしいという発見も。
「販売するからには、自分が使いたい食材ではなかったからまあいいではなく、しっかりとしたものを作らなければいけないので、どうやったらおいしくなるか真剣に考えました」と、頼もしい意見もありました。
また、フードロスを学ぶことで、お母さんと一緒に料理をするようになったという中学3年生の土屋萌愛さんは、
「買いものに行くと、フードロスが目につくようになりました。お母さんとフードロスについて話したり、料理のときに気をつけるようになったり、お弁当も残さないようになりました」と、自身の変化を振り返りました。
SDGsと世界中でいわれているけれど、一人くらいがんばらなくても大丈夫と思っていたのが、自分にできることを考えるようになったなど、フードロスが身近なことであることを実感した生徒が多かったようです。
それは、生徒だけでなく、生産者である農家さんや漁師さん、また、食品を加工する会社の方々などにとっても、今までにない新たな発想から刺激やアイデアをもらえたと好評でした。
「中学生は、まだまだ学校が自分の世界すべてです。社会とつながっているということを教えたい。そして、社会に送り出したいです」(青田校長)
実際に、販売される商品を開発することで、社会とのつながりを実感できそうですね。
完成した3商品
ネーミングもユニークな3商品。「地球よろこーんぶそうめん」は、色が緑色でないことを理由に流通されない昆布の根元が練り込まれています。八方だしでいただきましたが、昆布の香りがしっかりしていたので、キャンプなら、さっとゆでてそのまま、もしくは醤油を軽くかけて食べてもおいしいかもと感じました。
しいたけのカット工場で未活用だったしいたけの軸の食感と旨味を活かしたハンバーグは、肉類不使用でヘルシー。食感も楽しい和風ハンバーグに仕上がっていました。
収穫のときに捨てられてしまうことが多い大根の葉を粉末にして練り込んだ蒸しパン。色鮮やかで、大根の香りが感じられます。冷凍で届き、自然解凍もできます。アウトドアで小腹がすいたときや、おやつにもぴったりです。
このプロジェクトは、オイシックス・ラ・大地が、食卓側だけでなく、生産者側のことも考え2021年から行っているアップサイクル食品で、新たな試みができないかと考えスタートしました。実際、廃棄してしまったほうが手間もかからず楽である食材もありますが、地球の未来を考えると、人間の都合だけで簡単に廃棄するべきではないことを、生徒たちと一緒に大人も学べるプロジェクトだと感じました。食品ロスの現状を知ること、また、それを自分事としてとらえることは、私たちの未来の食卓を守ることにつながります。
オイシックス・ラ・大地
https://www.oisixradaichi.co.jp/
販売場所:Oisixサイト https://www.oisix.com/