年に一度の祭礼「カルシャ・グストル」で見た、僧侶たちの華麗な仮面舞踊
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    2022.11.08

    年に一度の祭礼「カルシャ・グストル」で見た、僧侶たちの華麗な仮面舞踊

    岩山の斜面にそびえる、カルシャ・ゴンパ。

    世界各地を飛び回る著述家・編集者・写真家の山本高樹氏。今年、ライフワークとするインド北部の山岳地帯を訪ねた。美しく、険しい秘境の旅をレポートする今回は、ザンスカールから近い、仏教僧院。長い伝統を誇る、年に一度の祭礼に立ち会うことができた。

    年に一度の華やかな祭礼

    ザンスカールの中心地パドゥムの町から6キロほど北に、カルシャ・ゴンパと呼ばれる仏教僧院があります。今の形の僧院が形作られたのは15世紀頃と言われていて、現在も100名ほどの僧侶が所属して、日々修行に励んでいます。

    カルシャ・ゴンパでは毎年7月頃(チベット暦で5月28日と29日にあたる日)に、カルシャ・グストルという祭礼が催されます。僧侶たちが煌びやかな衣装と仮面を身につけて舞を披露する、チャム(仮面舞踊)の祭礼です。

    笛と太鼓を演奏する楽師たち。

    ギャリンと呼ばれる笛を吹きながら現れた僧侶たち。

    ヤク(雄の毛長牛)やヤギ、羊、犬などが連れてこられる。

    赤い染料を塗りつけられ、儀式を終えた犬。

    楽師たちと僧侶たちの演奏が、祭礼の始まりの時を告げます。最初に行なわれたのは、ソルチェと呼ばれる儀式。地元の村から連れてこられたヤク(雄の毛長牛)、ヤギ、羊、犬といった動物に赤い染料を塗りつけ、僧院や村の守り神のような存在にする儀式です。守り神とされた動物たちは、この先もずっと大切に飼われるのだそうです。いきなり大勢の人の前でいろいろやられて、ちょっと面倒そうな顔をしてはいましたが。

    舞い踊る仮面と黒帽の僧侶たち

    仮面の僧侶の中にはこんなコミカルな役回りの人たちも。

    長い袖と裾をひるがえして舞う仮面の僧侶。

    軸足を中心に回転し、軽やかに宙を舞う。

    牛のような顔をした守護尊、ドルジェ・ジッチェの仮面の僧侶。

    いよいよ、チャム(仮面舞踊)の祭礼の本番です。僧侶たちは、着替え場所にしているお堂から姿を現すと、境内を時計回りに巡りながら、ゆったりとした演奏のリズムに乗って、クルリクルリと舞いを披露していきます。境内を何周かした後に着替え場所のお堂に戻り、準備の終わった別の僧侶たちと交替。仮面の種類は本当にたくさんあり、それらが登場する順序にもちゃんと意味があるのですが、地元の人たちですら、完全にはっきりとは理解できていないそうです。

    シャナクと呼ばれる黒帽の僧侶たちが総出で舞い踊る。

    終盤になると、黒帽を被ったシャナクと呼ばれる姿の僧侶たちがいっせいに現れ、演奏に合わせて、境内いっぱいに舞い踊りはじめました。おそらく数百年もの昔から受け継がれてきたであろう、祈りの儀式。その伝統がこれからも続いていくように、願わずにいられませんでした。

    私が書きました!
    著述家・編集者・写真家
    山本高樹
    1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。最新刊『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)発売中。

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