防災の備えを踏まえたキャンプ術を無理なく取り入れることができれば、楽しさも増すというもの。そこでクリエイターズユニット「CAMMOC」(キャンモック)の皆さんにお手本を見せていただきました。
CAMMOC の皆さん(左から)三沢真実さん(41歳)、三沢有禮くん(9歳)、内舘綾子さん(35歳)。
きっかけは2019年の台風被害
“キャンプのある暮らし”をコンセプトに活動するクリエイターズユニット「CAMMOC」。2020年から、女性キャンパー目線で防災キャンプに役立つ情報をまとめたフリーマガジン『BOUSAI BOOK』を発信するなど、CAMMOC流〝SDGs防災キャンプ〟に本格的に力を入れている。
「きっかけは2019年に発生した令和元年東日本台風でした。それまで被災体験もなく、念のため避難準備をしておこうと思ったら、あれ、全部うちにあるモノじゃない? ってはじめて気づいたんです」
POINT1 家族全員、キャンプ道具に積極的に触れる
経験が自信につながる
それまでも防災バッグの用意はしていたが、キャンプと防災を結びつけて考えたことがなかった。まったく別なものとして切り離して考えていたことにショックを受けたと話す。
「たとえば、キャンプ中にご飯を炊くお鍋を忘れたとします。普通なら、どうしようって慌てるかもしれませんが、私たちはまずは缶ビールを飲み干して、その空き缶でご飯を炊くことができます。雨が降っていても、タープの下で火をおこし、煮炊きすることもできます。こういう経験が、どんな防災術を学ぶよりも大きな自信につながるとわかったんです」
POINT2 防水マッチと消火器をキャンプ道具に加える
おのずと道具選びの視点も変わってくる
キャンプをすることで、これじゃなければダメ、という固定観念が減ってくる。生きていくうえで、専用のものは必ずしも必要ではなく、身近にあるもの、ましてやアウトドアズマンなら、キャンプ道具でいろいろなことをまかなえる。それに気づくかどうかが大切だ。
「テントはいざというとき避難所になる。どうせなら設営のしやすさを考えて自立型にしよう、とか、組み立て式のイスを買うなら、トイレにも使えるものを選ぼうなど、防災のことを考えると、道具選びの視点も少し変わってきます」
POINT3 自分の必要なものは自分で考え準備させる
キャンプで培ったスキルを生きるためのスキルに
食や消耗品も然り。キャンプはもちろん日常でも使うことで循環させ、フードロスを防ぐ。いざというときに、どこにしまったっけ? なんてことも防げる。また、キャンプを通して、子供にも防災の意識を持たせたい。ライトのON/OFFや充電方法を知っておけば、どんなときでも自分で明かりを確保できるし、一緒にテントやタープを立てる、ガスバーナーに火をつけるなど、遊びの延長でキャンプ道具に積極的に触れさせることがもしもの備えになる。
「キャンプだったら普通なことが、防災だと生きるスキルになります。いざというとき、そのスキルを使いこなせなかったら、もったいないですよね」
キャンプで楽しみながら、どんどん経験値を上げていくことが、SDGs防災キャンプにつながっていくのだ。
POINT4 寝具は耐久性の高いものを日常的に活用
POINT5 ドライフードを常備しキャンプご飯に活用
POINT6 非常用トイレはキャンプで使い方をマスター
※構成/大石裕美 撮影/山本 智 協力/PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
(BE-PAL 2022年10月号より)