アウトドアメーカーが販売する道具は、遊びだけでなく災害時にも役立つ。そこで、実際に被災地へ提供したものや現場の声から生まれたアイデア品などを、Living、Heating、Wearingのカテゴリ別に、メーカー担当者のコメントを通じて紹介しよう。
Living
【コールマン】余震が続くなか、安心して過ごせるテント村を設営
お話をうかがったのは……
コールマン ブランドコーディネーター 髙橋佳世子さん
コールマン/タフワイドドームV/300
コールマンが熊本地震の被災地を支援したきっかけは、アルピニスト野口健さんの相談を受けたこと。余震が続き建物の中では安全に避難できないなか、雨風をしのげる安全な場所が必要だった。コールマンはドームテントとシェードを支援。ふたつを連結してつくられたテント村で約1か月、最大時には600人が過ごした。中で立つこともできるドームテントは、小さい子供がいる家族や高齢者にも喜ばれた。
【モンベル】状況に即した迅速な支援を
お話をうかがったのは……
モンベル 広報 佐藤和志さん
モンベル/ムーンライトテント4
「そのとき出せるものを迅速に」が災害支援におけるモンベルの姿勢。過去にはテントや寝袋、ウェアなどを被災地に届けてきたが、支援は物資だけに留まらない。熊本の地震では義援金を送ったほか、道の駅に出店しているモンベル南阿蘇店ではテント262張りや寝袋、マットを無料で貸し出して、家屋が損壊した人の避難場所として提供した。
【スノーピーク】揺らぐ光で気持ちも和らぐLEDランタン
お話をうかがったのは……
スノーピーク PR 木下雄斗さん
スノーピーク/ほおずき
「明かり」は、備えておきたい道具のひとつ。スノーピークは、過去さまざまな製品を支援してきたが、『ほおずき』もそのひとつ。乾電池はもちろん、USB接続による外部電源でも使用できる。風にゆらぐ炎をLEDで表現した優しい明かりが、不安な暗闇に安らぎをもたらす。
【キャプテンスタッグ】すぐ役立つものを支援し開発する
お話をうかがったのは……
キャプテンスタッグ 企画開発室 吉田直城さん
キャプテンスタッグ×アイワ/ランタンラジオ
東日本大震災発生時、キャプテンスタッグはカセットガスボンベ4800本、キャンピングマット500枚、ウォータージャグ600個を支援した。2020年には災害による停電に備え、オーディオメーカーのアイワとともにランタンラジオを開発。避難生活での情報収集に役立つのはもちろん、見た目もスマートだ。
【ogawa】超大型のタンクでライフラインの水を確保
お話をうかがったのは……
キャンパルジャパン 防災用品担当 衛藤謙一さん
ogawa/ウォータータンク2000L
大正3年創業の老舗テントメーカーは避難用テントなど多数の防災用品を手がけている。そのほとんどは大型の本格的なもので、多くの自治体で導入されている。過去の災害発生時には、屋外に水を蓄えられる2000ℓのウォータータンクやオンラインストアの売り上げの一部を支援している。
【ロゴス】スマホの充電もできる手回し式のランタン
お話をうかがったのは……
ロゴス 広報 根岸恵莉子さん
ロゴス/クランクチャージランタン(スマホ対応)
東日本大震災後の計画停電をきっかけに開発。上部のクランクハンドルを回して蓄電することもできるので、USBでつないで充電ができるなど、電気がない避難生活でも頼りになる。本体にはUSB出力ポートを備え、スマホ等の充電も可能だ。
Heating
【soto】避難生活の台所を支える、なくてはならないもの
お話をうかがったのは……
SOTO 開発部 西島丈玄さん(右)
SOTO 広報 坂之上丈二さん(左)
SOTO/ST-310
SOTO/ST-760
災害発生時にSOTOが支援しているのは、流通量が多く支援物資として備蓄されることも多いカセットコンロで使えるガスボンベ。燃焼器具を多数手がける同社だが、被災地ではこのボンベを使う『ST-310』が活躍した。その特徴は、独自の機構によって長時間連続して使っても火力が落ちにくいこと。気温の低い屋外で大量のお湯を沸かし続けるような作業も難なくこなした。
【UPI】お話をうかがったのは……
独特の使い方を手書きでダンボールに
UPI マーケティング 山崎華子さん
ケリーケトル/トレッカー(0.6ℓ)
UPIは災害時にアウトドアケトル「ケリーケトル」を支援。東日本大震災の際にはモンベルのアウトドア義援隊を通じて届けた。中心部が空洞になったこのケトルは素早くお湯を沸かせる名品だが、使い方はちょっと独特。直接伝えることができなかったため、使い方をダンボールに書いて送った。
【テンマクデザイン】よく燃えて調理しやすい防災薪ストーブ
お話をうかがったのは……
テンマクデザイン商品開発 根本 学さん
テンマクデザイン/マキコン3
阪神・淡路大震災や東日本大震災をきっかけに、テンマクデザインと「もりもと技術研究所」が共同で開発したのが薪ストーブ。震災時にも手に入りやすい木片を効率よく燃やす構造で、煙突上と胴体上の2か所で調理できるのが特徴。ステンレス製でコンパクトに折りたためる。
Wearing
【ロゴス】防寒や汚れることが多いボランティアの作業着に
お話をうかがったのは……
ロゴス 広報 根岸恵莉子さん
ロゴス/防水防寒レインスーツ
過去の災害発生時にロゴスが提供してきたのが防水防寒スーツ。独自の防水透湿素材でむれにくく、光を反射するロゴプリントで夜間の視認性を高めたレインウェアだ。被災者の防寒着としてはもちろん、汚れることが多いボランティアの作業着にも使われてきた。こうした物資の支援に加え、近年同社は自治体との防災連携協定にも力を入れている。
【キーン】復旧作業者の足を守るワークシューズ
お話をうかがったのは……
キーン 広報 種田聖子さん
キーン/CSAハミルトンシックス(カーボンファイバートゥ)WP
キーンはマッチングドネーションにより災害支援活動を支えているほか、被災者にはサンダルやシューズを、復旧作業に当たる人たちにはワークシューズを支援している。つま先をアルミやカーボンで守り、ソールには釘などの踏み抜きを防ぐプレートを内蔵するワークシューズは、何が隠れているかわからない瓦礫のなかで作業するときの安全性を高めてくれる。
【コロンビア】防寒にもなるオールマイティな履き物を支援
お話をうかがったのは……
コロンビア プレス 内藤教之さん
コロンビア/ラディリーフ
水たまりやぬかるみでの作業が多くなると予想された東日本大震災の被災地に向けて、コロンビアは長靴を届けた。長靴は濡れた地面だけでなく、防寒にも役立つ履き物。履き口をドローコードで締められる構造はフィット感が高く、足の大きさが違う人がシェアするときにも使い回ししやすい。
(BE-PAL 2022年10月号より)