ローカル電車の旅にアウトドアの楽しみを加えた外遊びは、特別なスキルがなくても楽しめます。そこで、鉄道旅をしながら撮って書くフォトライター、矢野直美さんのおすすめビューポイントを交えつつ、全国にまだまだある、遊んで楽しい路線をご紹介!
ダイナミックな風景を歩く道から体感しよう
三陸鉄道 盛〜久慈 約163km
「車窓に映るリアス式海岸は別格の美しさ。沿線の人々、海と空と緑が織りなす景観、地域の特産品の美味しさに勇気づけられます」。青森県八戸市から福島県相馬市まで太平洋沿岸をつなぐ、全長約1,000kmの「みちのく潮風トレイル」は、そんな三陸ジオパークの見所を間近で感じられる。三陸復興国立公園内にはキャンプ場も点在する。
海の上から風光明媚な絶景を満喫
JR信越本線 直江津〜新潟 約136km
「普通列車の旅も楽しいものですが、日本海にもっとも近い駅・青海川に降り立ちたいなら、駅での停車時間が設けられている"越乃Shu*Kura"がおすすめ」。青海川駅を目指すなら、青海川海岸で福浦八景と呼ばれる海岸線を眺めながらのSUPツアーへ! 足元には水族館のような景色が広がる。ヒスイ海岸まで足を延ばしてのヒスイ探しも乙なもの。
複雑な地形を堪能するポタリングがおすすめ
伊豆急行 伊東〜伊豆急下田 約45km
「ワイドビューの車両が走り、伊豆の海を飛んでいるかのような気分に。地形的にも面白く、"絶景は難所にあり"を実感」。伊豆高原駅と伊豆急下田駅には伊豆急レンタサイクル「伊豆ぽた」があり、美しい海岸線や、大室山や龍宮窟など、伊豆ジオパークの見どころを巡ることができる。坂道も多いが、自転車はすべて電動アシスト付きで楽。
レール&サイクルをフル活用!
一畑電車 電鉄出雲市〜松江しんじ湖温泉 約33km
終日全区間自転車持ち込みOK。電車をホームグラウンドに(!?)気の向くままサイクリングへGO! 雲州平田駅にはレンタサイクルも完備。「乗ると不思議に晴れやかな心地になる、縁結び列車。黄金色に染まる田園風景の中を、ガタゴトバッタンとレトロな車両が走る秋の風景が好き」
潮の干満差で変わる有明海の景色を一望
島原鉄道 諫早〜島原港 約43km
島原半島の外周約¼を走る、黄色い1両列車。「理由はうまく説明できないけれど、何度も行かずにいられない大三東駅。特に朝と夕方。風景も空気もにおいも大好きで、有明海の潮の干満も面白い」。南島原まで足を延ばし、クルーズ船で野生イルカウォッチング。そのあとはビーチに移動しSUP三昧で決まり!
開聞岳山頂からの絶景が旅のゴール
JR指宿枕崎線 鹿児島中央〜枕崎 約87km
薩摩半島に伝わる竜宮伝説をテーマにした白黒車両。沿線にはコアラと出会える平川動物公園、砂むし温泉など個性豊かなスポットが点在。開聞駅は九州自然歩道に位置する開聞岳の登山口でもある。「田園風景と開聞岳の美しさ。それにスマホを向ける大人たち、おしゃべりに夢中な制服姿の学生たち。そのコントラストがローカル線らしい」
四万十川をこれでもかというほど遊び倒す
JR予土線 若井〜北宇和島 約76km
四万十川と寄り添うようにして走る、眺望抜群な路線。「今も鮮やかな記憶は、沿線の沈下橋で魚を探したこと、列車の窓の横を飛ぶオニヤンマと一緒に鉄道旅をしたこと。日本は広いね、って思う」。江川崎駅から四万
十・川の駅カヌー館に行け、カヌーツーリングやラフティング、乗り捨てOKなレンタサイクルで四万十川を遊び尽くせる。
南国の植生や昆虫を肌で感じる観察旅
ゆいレール 那覇空港〜てだこ浦西 約17km
「モノレールのなかから、海や赤瓦の建物を目にすると、沖縄に来たことを実感。高低差のあるモノレールの景観は、実に印象的」。沖縄といえばマリンスポーツだが、市立病院前駅近くの末吉公園は、熱帯植物が生い茂るジャングルのような広大な公園で、一見の価値あり。この地ならではの昆虫にも出会える。
※構成/大石裕美 写真/矢野直美
(BE-PAL 2022年10月号より)