日本が誇る“食いしん坊”雑誌『dancyu』とタッグを組んで、アウトドア料理の達人をめざす「BE-PAL×dancyu “美味しいアウトドア達人”への道」。現在発売中のBE-PAL 11月号から隔月で連載します! 第1回は、両編集長が野外料理の魅力を語ります。今回は後編です。
前半はコチラから:BE-PAL & dancyu編集長“青空”対談 前半「アウトドア料理は本能が目覚める」
https://www.bepal.net/archives/265497
現地で買うと新たな発見がある
植野 沢木さんはどんなものをよく作るんですか。
沢木 現地の道の駅やスーパーなどで、地の食材を見てから決めることが多いかな。
植野 それもキャンプの良さですよね。ふつうは何かを作るために買い物に行く。でも、それだと、ちょっとつまらない。キャンプはどこかに出かけるわけだから、そこで出会った食材で作るのが楽しい。
沢木 失敗してもいいやって思うんです。それと、知らないものって、そそられるじゃないですか。バターナッツってなんだ? とか。
植野 地元の人に「これはどうやって食べるんですか」と聞くと、親切に教えてくれるし、味見をさせてくれることが多い(笑)。新たな発見と出会いがありますよね。
究極のレシピは「適量適宜」だと思う
沢木 キャンプは移動があるから、道具をすべて持っていく、というわけにはいきません。
植野 限られた道具と限られた材料で作るから、きっと料理も上手になる。
沢木 家庭のガス台のようには火加減も調節できませんしね。
植野 でも、それが本来の料理。料理は「理(ことわり)を料(はか)る」と書きますよね。ことわりとは理由や道理のことですが、アウトドアではそれがより重要になると思います。食材や環境の状態を見て作らないといけませんから。
沢木 たしかにアウトドアではそうやって作っていますね。
植野 僕はイベントや撮影で料理を作るとき、いつも前もって試作をしないんです。材料を見て、これをこうするとこういう味になるな、と想像する。
沢木 事前にレシピは作らないんですか。
植野 はい。食の雑誌としては、ちゃんと作らなきゃいけないんですが……(笑)。でも、究極のレシピは「適量適宜」だと、僕は思っています。塩の分量といっても、現地でどんなタイプの塩が手に入るかわからない。肉もそう。脂の入り方は……とか思っちゃう。
成長を実感できるのがアウトドア
植野 ところで、今、なんでこんなにキャンプが人気なんでしょうか。
沢木 ひとつには、自分が成長していくのがよくわかるというのがあるんじゃないかと思います。火をおこすのも、テントを立てるのも早くなる。
植野 成長を確認できることって、意外とないですよね。
沢木 仕事でも、なかなか感じにくい。さきほども話に出ましたが、アウトドア料理なら上達を感じられる。
植野 アウトドアは、料理の実力が試されますよね。プロでも、限られた道具と材料だと、うまく作れない人もいるかもしれません。
沢木 包丁とまな板がないとできないとか。
植野 でも、手でちぎればいい。今日作ったつまみもキャベツを手でちぎりました。ちぎったほうが、実は味がよく染みる。本能の作り方、本能のおいしさに気づくわけです。
沢木 制限のなかで、失われていた本能が呼び戻される。
植野 人も本能が衰えると生きていけないはずです。アウトドアで作って食べることによって、本能が少しでも目覚めるといいですよね。
(BE-PAL.NETでは対談内容を2回に分けて掲載いたしました。また、一部内容を抜粋しております。完全版は雑誌BE-PAL 11月号、dancyu 11月号でお楽しみください)。
対談で持ち込んだ「BE-PAL編集部員の愛用品・アウトドア料理ギア」PART2
※構成/大塚 真(DECO) 撮影/三浦孝明、一部編集部
Web版dancyuも合わせてお楽しみください
BE-PAL×dancyu “美味しいアウトドア達人”への道
https://dancyu.jp/series/bepaldancyu/
「BE-PAL×dancyu “美味しいアウトドア達人”への道」BE-PAL 11月号、dancyu 11月号にて連載スタート!
今回の対談内容は、BE-PAL 11月号、dancyu 11月号で掲載されています。全国の書店、コンビニ、ネット通販等でお買い求めください。