スニーカーが加水分解するとどうなる?
スニーカーが加水分解を起こすと、どのような症状が出るのでしょうか。加水分解が起きてしまう原因や、発生するまでの年数と併せて解説します。
加水分解について
ソールがボロボロになる
加水分解とは、化学物質が水に反応して酸とアルコールに分離することを指します。スニーカーにおいて、特に水に弱い素材を使ったミッドソールは加水分解を起こしやすく、ボロボロになってしまいます。ソールが崩壊する・靴底からはがれるといった症状も、加水分解によるものです。
地面に接するアウトソールには水に強い素材が使われていますが、ミッドソールには衝撃に強いポリウレタンなどが使われているケースが多くなっています。ポリウレタンは水に反応しやすい性質を持っているため、加水分解が起きやすいのです。
加水分解が起きる原因
加水分解が起きる原因は、ポリウレタンなどの水に弱い素材が空気中の水分に触れることです。つまりスニーカーが製造された瞬間から、加水分解は始まっているといえます。
基本的にスニーカーには水に強い素材が使われていますが、ミッドソールにはクッション性に長けたポリウレタンなどがよく使われています。ポリウレタンは軽量で衝撃に強い高い反面、過度な水分を含むと加水分解を起こすのが難点です。
加水分解は空気中の水分に触れることで発生するため、完全には防ぎきれません。しかし、工夫次第で加水分解による劣化を遅らせることはできます。
加水分解が起きるまでの年数
靴の素材や使用方法によって異なりますが、2〜5年で加水分解が起きるケースが多くなるとされています。全く履かないと、2年くらいで加水分解が起きる場合もあります。
ポイントは、買ったときからではなく製造されたときから加水分解が始まっている点です。そのため売れ残り商品は通常の商品に比べて、寿命が短い可能性があります。デッドストック品やアウトレット品を買うときは、新品より加水分解までの期間が短い可能性を頭に入れておきましょう。
スニーカーが加水分解したときの修理方法
スニーカーが加水分解によって劣化した場合の修理方法を解説します。軽度な劣化であれば自分でも修理できますが、重症の場合は専門店に修理を依頼するのが無難です。
修理方法
接着部分だけなら接着剤で修理
ソール自体は劣化しておらず、接着部分のみが劣化している状態なら、接着剤で修理できます。汚れをふき取って接着剤を塗布したら、はがれないように重石をして1日程度置きましょう。靴用の接着剤を使うのが理想です。
ただ、瞬間接着剤は耐久性が低いので、応急処置と思った方がよいでしょう。そもそも自分でする場合はどうしても簡易的な修繕にとどまるため、しっかりと修理したいなら最初から靴専門店などに持っていくのがおすすめです。
ソール自体の劣化は靴専門店に依頼
ソールそのものが劣化している場合は、接着剤での修理は不可能です。その場合は、靴屋に持っていって、ソールを全部取り替えられるか見てもらいましょう。劣化がひどくてもソール交換で復活する可能性もあるため、捨てる前に相談してみるのがおすすめです。
ただ、ソールを取り替えれば、やはり靴のデザインは大なり小なり変わってしまいます。元通りにしたい場合は、同じ種類のソールを用意する必要があります。同じモデルのソールがすでになかったり、専門店が持っていないこともあるので、必ずしも元通りのデザインになるとは限らない点に注意が必要です。
加水分解の防止には保管が重要
加水分解を100%避けることはできませんが、保管方法を工夫すれば進みを遅くできます。スニーカーを保管するときのポイントを2つ解説するので、今日から実践してみましょう。
保管するときのポイント
真空パックで保管する
空気を抜いて水分に触れさせないことは、シンプルながら加水分解を防ぐために有効な方法です。市販の真空パックや、靴用の保管パックも販売されているので、長期間使わない場合は密封して保管してみましょう。
その際、除湿剤や黄ばみ防止剤も入れるとより効果が期待できます。除湿剤をソールの下に入れることで、黄ばみの予防も可能です。
靴棚に除湿剤を置くだけでは、空気中の水分を完全に防ぎきれません。少々手間はかかりますが、真空パックと併用して効果を高めましょう。
木製シューズキーパーを入れる
木製のシューズキーパーは、型崩れだけでなく加水分解の防止にも効果があります。余分な水分を吸収し、放出してくれるためです。スニーカーにとって水分は敵ですが、あまりに乾燥した環境に置くのも逆に劣化を早めるといわれています。
木製のシューズキーパーなら、適度に湿度を調節してくれます。プラスチックでは木製のような効果がないので、加水分解の防止が目的なら木製のシューズキーパーを買いましょう。100均に売っているような商品でも十分に効果はあります。
加水分解を予防するための使い方
保管方法だけでなく、普段の使い方を工夫することでも加水分解を予防できます。スニーカーを履くときのコツを2つ見てみましょう。
履くときのコツ
定期的に履く
スニーカーを履かずに保管するのは、かえって加水分解を早める原因になります。定期的に履くことで、ソール内の水分が押し出されてスニーカー内の空気を入れ替えられます。結果として加水分解の予防になるのです。
いつも履くスニーカーが決まっている人や数が少ない人は、特に意識する必要はないでしょう。ただ、コレクションしている人やスニーカーを何足も持っている人は要注意です。
「汚れるのが嫌」「もったいないから…」と履かないままにせず、メンテナンスのつもりで定期的に履くように意識しましょう。
使った後は手入れをする
スニーカーを履いた後は、ブラッシングをはじめとした手入れが重要です。特にレアもののスニーカーを持っている人は、履いたら汚れるけれど、履かなかったら加水分解が早まるという悩みを抱えている人もいるでしょう。
定期的に手入れすることで、スニーカーの汚れと劣化を同時に防げます。水にぬれるのを防ぐために、防水スプレーを使うのも効果的です。特に雨の日は、外出前に防水スプレーを吹きかけておきましょう。
防水スプレーには汚れを防ぐ効果もあります。買ったばかりのスニーカーにスプレーをかけるのも、メンテナンス方法としておすすめです。
スニーカーを手入れするコツ
スニーカーを手入れするときには、いくつかの注意点があります。中にはかえって劣化を早めてしまう行動もあるので、しっかりとポイントを押さえておくことが大切です。
手入れのコツ
水洗いはしない
スニーカーは水に弱いので、水洗いは逆効果です。特に洗濯機は型崩れも起こしやすいので避けましょう。スエード素材やレザー素材も水に弱く、水洗いすると生地が傷んでしまいます。
水洗いをする代わりに、スニーカー用のシャンプーを使うのがおすすめです。ブラシにシャンプーを付けて洗うだけなので、水に浸さなくても汚れを落とせます。ただし、強くこすりすぎると生地が傷んでしまうことに注意しましょう。
シャンプーがない場合は、アルコールティッシュでも代用できます。アルコールは揮発性が高くすぐに蒸発するため、生地への負担を抑えられます。
脱ぎ履きや使う頻度に注意する
スニーカーを履くときは、毎回靴ひもをほどきましょう。毎回靴ひもを結ぶのは面倒だからと、ほどかず地面を踏んで履く人も多いのではないでしょうか。
しかし、靴ひもを結んだままだと型崩れが起きやすくなるだけでなく、靴が足にフィットせず体にも負荷がかかってしまいます。
また、スニーカーを脱ぐときに片方のかかとを踏んで脱ぐ人も多いでしょう。これもスニーカーへ大きなダメージがかかるため、やめた方がよい行動といえます。かかとを押さえる脱ぎ方は、のりで接着されたソールとアッパーを強引に引きはがしているのと同じ状態です。
さらに、同じスニーカーばかり履くのも劣化が早まる原因になります。履かなすぎるのもよくありませんが、適度に履き替えて休ませることがポイントです。
まとめ
ソールにポリウレタンなどを使用しているスニーカーは、加水分解を起こしやすいといえます。加水分解を起こすとソールがボロボロになり、アッパーからはがれたり崩壊したりしてしまいます。加水分解は空気中の水分に触れることで起きるため、100%防ぐのは不可能です。
しかし、保管の仕方や日々の使い方・手入れによって、加水分解を遅らせることはできます。お気に入りのスニーカーを長く使い続けるために、加水分解の知識や予防法を知っておきましょう。