スピティを離れ、キナウルに到着
スピティでの取材を終えた僕は、カザを早朝に発つローカルバスに乗り、途中土砂崩れなどで足止めを食いながらも、十時間ほどかけて、ヒマーチャル・プラデーシュ州キナウル地方の中心地、レコン・ピオに到着しました。標高2300メートルの山間にある小さな町ですが、南からスピティを目指す場合、ほぼ必ず出発点となる場所です。
レコン・ピオから山道を数キロ上がっていくと、カルパという村があります。キナウル・カイラスと呼ばれる高峰を臨む雄大な眺望に恵まれた村で、宿も多いため、レコン・ピオでなくここに泊まる旅行者も多いそうです。
村の中で井戸端会議中のおじさんたちに、何気なくカメラを向けて、パチリと撮らせてもらったのですが、後で見返してみると、みんな笑顔でこっちを見てくれていて。朴訥で穏やかな雰囲気の漂う村でした。
雨と霧にけぶる州都シムラー
レコン・ピオに数日滞在した後、再びローカルバスに乗り、切り立った断崖沿いの道を10時間ほどかけて移動し、シムラーという街に到着しました。ヒマーチャル・プラデーシュ州でもあるこの街は、標高2200メートルを越える山尾根に沿って、無数の家々が密集しています。インドがイギリスに統治されていた時代、夏の首都はシムラーに、冬の首都はカルカッタ(現コルカタ)に置かれていました。
夏の間、シムラーは雨の日が多く、僕の滞在中も毎日曇りか雨でした。雲なのかと思うほど真っ白な霧がいつも漂っていて、10メートル先のものもまともに見えないような日もありました。
シムラー滞在最終日の夕ごはんは、ちょっと奮発して、シムラーの中心部近くにあるSol the Brew Houseという店に行ってみました。ひえひえの大ジョッキで出されたベルギービールを飲みながら、チキンティッカやカリフォルニアロールなどをいただきました。カリフォルニアロール、正直あまり期待してなかったのですが、ちゃんと丁寧に作られていて、なかなかおいしかったです。
ほろ酔い加減でお店を出ると、最後の最後にようやく晴れた空の下、夕日に照らされたシムラーの街の美しい姿を目にすることができました。
次は最終目的地、インドの現在の首都、デリーです。