
50点ぴったりを 狙うゲームです!
誰もが共に楽しめると話題のモルック。日本国内ではチームや競技会が急増して人気はうなぎのぼり。早速ビーパルチームを結成!人気の秘密を探った。
教えてくれた人
モルック世界チャンピオン
河野靖信さん

福岡県出身。システムエンジニアとして働く傍ら世界一を目指すモルッカー。ʼ19年世界大会に初出場。ʼ20年オンライン開催されたモルック世界大会でチャンピオンに輝く。「誰もが一緒に 楽しめます!」
これぞアウトドアの新レクリエーション!
フィンランド生まれの「モルック」がいま大人気だ。棒を投げ、ピンを倒して得点を競うもので、とてもゲーム性が高い。
「やっぱり手軽さですかね。道具さえあれば公園でもできます」
とは、2020年モルック個人戦の世界チャンピオン(日本にいた!)河野靖信さん。河野さんは競技歴3年半、始めて3回目で競技会デビューし、2019年の世界大会にも出場した。
「友人からモルックのことを聞き、興味が湧いて体験会へ行きました。やってみたら面白いし、手応えもあって。ちょうどボーリングやビリヤードにはまっていたので通じるものを感じました。初めて出た競技会の打ち上げで世界大会の話題になり、触発されて(半ばノリで?)自分も出場することになったんです」
結果は予選敗退、惨敗だった。
「すごく悔しかったです。帰国してから月に20日以上、練習に打ち込むようになりました」
この世界大会出場を機に闘志に火がついた河野さん。本気で世界を目指せるチームを結成し、日々練習に励んでいる。
What’s "Mölkky"?
ʼ96年に誕生したフィンランド発祥の新しいスポーツ。カレリア地方の伝統的なゲームを元に開発された。老若男女を問わず誰もが一緒に楽しめるのが特徴。日本の競技人口は推定1万人。
必要な道具は?
スキットル

1から12までの数字が表記された木製のピン。並べ方は写真の通り。これを棒で倒して勝敗を決める!
モルック棒

スキットルに向かって投げる棒。持ち方は自由。下から投げるのが基本。
モルッカーリ

スキットルから3〜4m離れた場所にコの字に置き、投げる位置を示す。
50点ぴったりを得点したら勝ち

通常1チーム2〜4人で編成。合計50点になれば勝ち。ピンが1本だけ倒れたら表記数字が加点。2本以上倒れると倒れた本数が点となる。点数が50点を超えると25点に戻る。
3点の状態
7点の状態
まずは達人に見本を見せていただきましょう!
そんな一流モルッカー(モルックのプレイヤー)から教わっちゃお〜と、編集長サワッキー、ブッシュハヤサカ、新人カジハラがチームを結成。しかし全員がモルック初体験。河野さんがイチから説明し、投げる手本を見せてくれた。「カーンッ!」当たるとじつに爽快な音が響く。狙いを定めた正確な投擲に加え、エレガントなフォームに一同どよめく。「おお〜」
〝アンダースロー〟で投げる

モルックは下投げ。モルック棒の中心を持って投げる。棒がブレずに真一文字のまま飛んでいくことが一番打撃力を生む。ちなみに河野さんのフォームはボーリングに近いという。
ベーシックな持ち方
縦投げの場合

スキットル同士の幅が狭い状況下で、1本だけ倒したいときなどに用いる。
裏投げの場合

モルック棒を順手で持って投げる技。バックスピンをかけることができる。
放物線を描くように投げる

遠く離れたスキットルを狙いたいときには、大きな放物線を描くように投げるといい。

河野さんを 真似てエイッ!

あらよっと こんな感じ?

力が入ってしまいます……
達人のアドバイス1

投げ手は肩を軸に腕を振り子のようにして遠心力で投げます。真っ直ぐ振り、力を抜くのがポイントです。
倒れたスキットルはその場に立てる

完全に地面に倒れたスキットルだけカウントされる。乗り上げたらノーカウント。倒れて止まった所が、スキットルの位置になる。
起こして、クルッと、回転させる

スキットルが倒れた位置から動かないように、垂直に起こしてから回して数字を投擲者に向けよう。
世界の河野にビーパルチームが挑む!

3対1なら、勝てるかも?

ブッシュハヤサカ緊張の一投。狙いを定めるもモルック棒に勢いナシ……。

チャンピオンのショットに全員釘付け。スキットルに当たったときの音が違う!

「5 」倒します! と予告通りに決めた新人カジハラ。なかなか筋がいいかも。

ぴたりの飛距離で狙い撃ち。モルック棒の動きにも一切のブレなし。

編集長サワッキーは真剣な面持ちでまさかの0点。でも笑顔は満点。

再び河野さんのショットに見惚れる3人。もうファンタスティ〜ック!
GAME OVER

「え、終わり!?」0点が3回続き失格で試合終了。河野さんはやれやれ〜の苦笑い。
練習もそこそこにさっそく一戦交えてみることに。モルックはスキットルを倒すシンプルな競技だが、50点ぴったりにならなければ勝者になれず、スキットルは投擲ごとに位置が変化していく。なんとも奥深い。河野さん曰く、最初のブレイクショットでのスキットルの散り具合で、50点への得点パターンを何通りか描けているのだそう。ビーパルチームも「12」を3回狙って……などと、点をどう積むか戦略を立てる。好投をみせるも思うようにスキットルは倒れず、1本も倒れないミスを連発。世界の河野への挑戦は、気持ちいいほどあっけなく幕を閉じた。
達人のアドバイス2

先攻が断然有利。最初の一投目から50点への得点パターンを考えます。
2024年の世界大会は、なんと日本(函館)での開催が決定。あなたも世界を目指してみては。
短期決戦!!〝モルックアウト"

6、4、12、10、8のスキットルを1本の長さ間隔で縦に並べ、ひとり一投ずつの合計点で競う。同点のときなどで速やかに勝負を決する際に用いられる。
※構成/須藤ナオミ 撮影/山本会里
(BE-PAL 2022年10月号より)