ものごとを深堀りしたり、新たな気づきを与えてくれる本と出合うと、うれしいもの。読書の醍醐味を味わえる良質な書を2冊ご紹介します!
BOOK 01
虫が苦手? そんな人こそ
葉めくりして虫さんぽへ
『街なか葉めくり 虫さんぽ』
とよさきかんじ著 ベレ出版 ¥2,200
日々何げなく目にしている植物や虫。名前は知らないが、写真を見れば「ああ」とわかる。公園や街路樹といった身近なフィールドを深掘りして観察する楽しみを教えてくれるのが本書。季節ごとに植物を取り上げ、そこに集まる虫たちの営みを紹介する。
春はヤハズエンドウとナナホシテントウ、夏はエノキとタマムシ、秋はマサキとミノウスバ、冬はヤツデとクロスジホソサジヨコバイ……植物99種と虫255種。一本の木や草花で繰り広げられる虫たちの暮らしぶり、見事な擬態や変態する姿はまさにワンダーランド。近所の草むらではこんなドラマが!? と、それまで「草」「虫」とひとくくりだったものが、本書を通じて個々に立ち上がり鮮明に見え始めてくる。植物と虫、虫と虫、ときに鳥も加わり、食う食われるの関係を互いに利用し合い生きる姿はたくましい。
漫画のコマのように配置されたフキダシ付きの写真は、著者の普段の虫探しの追体験だ。大人がひとりで虫探しをしていても周囲に怪しまれない方法など、巧みな技(話術?)も伝授。
「いて当たり前の普通種ですら、数年後はどうなるかわからない」
所々にちりばめられた著者の思いが心に響く。
BOOK 02
「プラなし」からの気づき
当たり前を見直してみる
『暮らしの図鑑 エコな毎日』
プラスチックを
減らすアイデア75
×
基礎知識
×
環境にやさしい
モノ選びと暮らし方
中嶋亮太、古賀陽子著 翔泳社 ¥1,980
約30年後、海中のプラスチック総量は海にいる魚の量を超えるかもしれないという。恐ろしい状況だ。海洋プラスチック問題は誰もが他人事では済まされない。
本書は日常のプラスチックを減らすアイデア集。食事、掃除、洗濯、衣類、文具など多岐に亘る。DIY要素もあり楽しい。普段、無意識や惰性で続けていることが多いかにも気付く。プラなし実践は、刺激的で新たな視点を育んでくれる。
※構成/須藤ナオミ(BOOK)
(BE-PAL 2022年10月号より)