【その先のアパラチアン・トレイルへVol.10】
ケジウィックからもATVロードは続いていました。補給ポイントのセントクエンティンまでトレイルを示すマークもまばらにあるだけ。しかも、ダートロードがハイウェイと交差したところで「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」のマークはなくなってしまったのです。
ハイウエイのナンバーを確認し、おおざっぱな地図を見比べると、ルートはハイウエイを示しているよう。道幅も大きくて交通量も多い道。マウントカールトン国立公園へ行く道の分岐までは実に40キロメートルもあります。
僕は、お昼にこの交差点に到着。
しばらくハイウエイ沿いに歩いてみましたが、路肩はどんどん減少していく。車はものすごいスピードで通り過ぎていきます。そしてハイウエイはやがて民家のあるエリアから山の中に入り、恐ろしいアップダウンが続いていました。水場もなく、テントを張るスペースもありません。
照り返しの強い日差しに、何度も休憩を繰り返していると、1台の車が止まりました。
ドライバーは片言の英語でしたが、どうも「車に乗れ」とのこと。
「ハイウエイ沿いには泊まる場所も、テントを張る場所もないから、マウントカールトンとの分岐まで乗せてってやるよ」
といってくれていました。
このハイウエイの先には大きな町があって、夕方になると交通量も多くなり、車の速度もあがるらしい。
「歩きたい」という気持ちとの葛藤はあったのですが、地元の人の言葉を信じ乗せてもらうことにしました。
分岐までの道のりは、路肩が減少し、水場もまっくなく、やはりテントが張れるスペースもありませんでした。
車に乗りながら「一体、この道をどう歩けばいいのか」という疑問が沸々と起きていました。