8日18時からスタンバイ!日本全国で見られる皆既月食
今年最大の天文ショー、皆既月食ががいよいよ11月8日の宵から始まります。
東京では月の出が16時32分です。月が欠けはじめるのが18時9分なので、東の空から部分月食が始まります。完全に影に入って「皆既食」になるのが19時17分。皆既食が終わるのが20 時42分。今回は1時間半くらい、じっくり楽しめます。
皆既月食の見どころはいろいろありますが、まず色を楽しんでください。部分月食中は地球の影になる「本影」に入った部分が黒く欠けていきますが、皆既月食になって明るい部分がなくなると、暗いところがほのかに赤く光っているのが見えてきます。よく「赤銅色」と表現されます。空に浮かぶ赤銅色の月。皆既月食の醍醐味です。これだけ月が暗くなると、月の周辺の星がチカチカと輝き始めます。東に15度ほど離れているプレアデス星団(すばる)を月と一緒にながめるのもおもしろそうです。
天王星デビューの大チャンス
今回の皆既月食は、「天王星食」という現象が重なる滅多にないレア皆既です。
天王星といえば、太陽系の8つある惑星の中で2番目に、太陽から遠い惑星。肉眼で見たことがある人はとても少ないのではないかと思います。明るさは5〜6等星くらい。双眼鏡で見つけるのもなかなか難しい天体です。その天王星が、この皆既月食中に見ごろを迎えます。
肉眼ではよほど暗い空とよほど高い視力がなければ見えませんが、実はこのところ天王星は木星と火星の間にいます。11月になると、太り始めた月と天王星がどんどん近づいていき、11月8日、ついに天王星が、ちょうど皆既月食中の月の後ろに行って隠れてしまいます。天体が天体を隠すことを正式には「掩蔽(えんぺい)」と呼びますが、月が太陽を隠す「日食」のように「食」ということもあります。月に食べられたみたいに見えるからでしょうか。
そして、いつもの月なら、食になっても月の光が明るすぎて天王星は見えません。でも、皆既中の月は暗い! 赤銅色の月の縁に天王星が隠れていくのがチラリと見える大チャンスです。双眼鏡があれば確実に見えるはずです。少し大きな望遠鏡を使った観望会やライブ中継に参加することができれば、天王星が点ではなく小さな丸に見えることでしょう。
いちばんの見どころは、天王星が月に隠れる瞬間(潜入といいます)です。緯度によって多少違いますが、だいたい月の左下寄りから潜入します。
<潜入と出現の時間>
札幌 20時49分48秒→21時48分57秒
仙台 20時45分49秒→21時32分57秒
東京 20時41分48秒→21時22分56秒
大阪 20時31分43秒→21時20分53秒
福岡 20時22分37秒→21時17分49秒
那覇 20時13分33秒→20時54分42秒
(アストロアーツ調べ)
惑星といっても、見た目はほとんど点に過ぎません。潜入の位置を確認し、時間をしっかり合わせて狙いましょう。双眼鏡を使えば、潜入の始まりから月に完全に隠れるまでに10秒ほどかかるのがわかるかもしれません。大気の状態によりますが、うまくすれば、色も確認できるかもしれません。天体写真では天王星は青に近いのですが、以前、私が観察した天王星は緑っぽい印象でした。
次に皆既月食中に天王星食が起こるのは、なんと2235年です。マイナーな惑星ではありますが、ある意味で数百年に一度の見やすい瞬間を迎えようとしているのです。皆既月食中にぜひ、双眼鏡を向けてみてください。
なお、アストロアーツでは「皆既月食×天王星食LIVE」を配信します。もし、曇り空になってしまった時は、こちらをのぞいてみてください。https://youtu.be/Ka5iWbJCc9E
構成/佐藤恵菜