シンガーソングライター東田トモヒロさんの愛車は、この連載でも何度も登場している総走行距離34万㎞を超えるハイエース100系。ですが、ついにさらなる相棒「軽トラ」を迎えたそうです。
軽トラがもたらすイノベーション!?
ありますよね、こんなに良いものだったらもっと早く買っとけばよかったわ〜ってやつね、ありますよね、うん。
僕も皆さんと同じように、これまで幾度となくそんな経験をしてまいりました。
例えばスマートフォンね。それを手にするまでは、体に優しいというソースのはっきりしない独自の理由でガラケーにこだわってきましたけれど、スマホに変えた数年前、僕のライフスタイルにも大いなるイノベーションが巻き起こり(巻き起こるタイミングが世間の方々と10年以上ズレていますが)、快適かつより能動的なハイブリッドスタイルに進化しましたもの。
ここまで劇的に物事が快活に進むようになると、なんであんなにもガラケーにこだわってたんだろう俺、ってね、顧みた時自分でも不思議に思えるほどでした。
現にいくつかのSNSなんかも始めちゃいましたし、涼しい顔してネットバンキングで振込なんかもやっていますし、この原稿に至っては、スマホにBluetoothのキーボードを接続してサクサク書いておりまして、そんなこと数年前の自分からは想像だにできない姿です、はい。
しかしながらそんなスマートフォンをも凌駕する、「ああ早く手に入れときゃよかったシリーズ(そんなシリーズ一般的には存在しませんが)」の堂々たるトップランカーこそ、「軽トラック」略して「軽トラ」なのです。Mr.Childrenがミスチルなように、軽貨物車は「軽トラ」なんです。
車を何台も持つことにいささかの抵抗があったのと、自分のメインカーであるハイエースにもある程度の貨物機能が備わっていますので、軽トラックの購入になかなか踏み切れないでいました、実際の話。
それはまるでロックと出会ったときのよう
いよいよ機は熟したとばかりに、今年2月、購入を実行したのです、軽トラック。年明けから検索しましたよ、毎日のように、ビッビッと来る出物はないかと、それこそスマホでね。乗り出しまでの支払い総額を30万円以内と心に決めてね、探しに探しました。そして一ヶ月に及ぶ熟考の末、遂に巡り合ったのです、運命の相棒に。
以前からお伝えしておりますように、僕は仲間達とワークショップとチャリティーを兼ねたお米づくり(「田んぼ、はじめませんか?」の回をぜひご覧下さい!)をしています。時に大量の苗を運んだり、時に刈り取ったモミ付きのお米を運んだり。これまで活躍してくれていたのは、友人の、あるいはどなたかから借りてきた軽トラックでした。
それが今年からは自分の軽トラックを、自分のタイミングとノリでホイホーイと出動させられる心地よさを味わっています。野良仕事におけるグルーブ感が一気に増したわけです。
繁忙期だけではありません。田んぼ周りのちょっとした草刈りに行く時や、水の管理で見回りに行く時なんかも、軽トラックでの出動が便利ですし、実に軽やかなんです。
去年まではね、何をするにもツアー車のハイエースで出向いていました。田んぼ周辺は道なんかもダートが多めですから、泥跳ねもしますしね、乗用で使っている車の場合だといちいち気にしていましたが、軽トラなんてもうあなた、ガンガン汚れるのも仕事のうちとばかりに、どんなところでも入って行けちゃう。
荷台なんかもね、汚れ物をガシガシ放り込めちゃいますから、作業のついでに誰かが捨てたであろうゴミなんかも拾って帰ったりしていますよ、ああ清々しい!長靴やレーキ、鍬や刈払い機なども思い切りゴンと荷台に放り込んで走っています。
こんな動きをしていると、なんとなく豪快な男にでもなったかのような錯覚に陥るから不思議です、軽トラなのに。運転席から降り立った後、軽く肩で風を切って颯爽と畦道を歩いたりしてね。
もしもフェラーリテスタロッサと軽トラのどちらかを選べと言われたら、一瞬も迷うことなく軽トラのキーを手にするでしょうね僕は。(手に入れた後、転売禁止という条件下に限りますが)
そのくらい魅了されています、軽トラ購入後の世界にね。そう、今では人生に軽トラがあるのと無いのでは、大きな差異が生まれるものとほとんど確信しています。ロックと出会わなかったら僕はいったい、くらいのね、まあそれは言い過ぎかもしれませんが。
まだまだ働く!30年モノのスバルサンバートラック
そんな僕の愛車は、スバルの伝説的な名作「サンバートラック4WD」。
駆動方式はRR方式、いわゆるリアエンジン。リアに比重があるので、荷台に物を載せていない時の走りも安定しています。サスペンションはスバル独自の技術で設計された横置きトーションバースプリングとトレーリングアームを組み合わせた4輪独立懸架式。2012年に50年の歴史に幕を閉じるまで、抜群の乗り心地と走行性能が高い評価を得ておりました。
軽トラックでは珍しかったこのRRの駆動方式と4輪独立懸架式による走りのよさから「農道のポルシェ」と呼ばれた名車中の名車です。しかしながら僕にとってはね、ポルシェの911よりも価値のある代物なのです、サンバーは。
購入したのは1992年製、まさに30年前のクラシック。しかし5万キロほどしか走っていませんでした。ぎりエアコンも効きますし、外装内装共に綻びやサビも殆どありません。大事に乗っていらっしゃったのでしょうね、おそらく。5速のミッションで、なんと意外にもボタンひとつで四駆に出来ちゃうハイテクぶり。
日本が生み出した世界に誇るべきオリジナルジャンル、それこそが「軽トラック」。JazzやHIPHOPと同じくらい衝撃的で革新に満ちた発明だと思います、このジャンルは。
冬には欠かせないアレも大量に運べます
そして野良仕事の他に、サンバーを所有したことで大きくチェンジしたのが、「薪」の収集とそのストックの充実度です。我が家では10年来薪ストーブを使ってまいりましたが、毎年毎年薪集めには苦労していました。
ハイエースのトランクから楽器などを下ろしてブルーシートを敷き、山などに出向いたりして薪を載せて帰るのですが、いくら万能なハイエースでも載せられる量には限界がありますし、あまり積み過ぎても内装に負荷がかかってしまいますのでね、なかなか思うようなスムーズさで運びませんでした、その作業が。ところがそれら諸問題も、軽トラのおかげで軒並み解決です。
サンバーの荷台の両サイドにコンパネを立てて、法定範囲でいけるだけ薪を積み上げます。最後にトラック用の防水シートで覆ってしまえば、これまでの2倍から3倍の量の薪をひとおもいに運べます。
「東田さんとこ、薪がご入り用でございましょう?取りに来ていただけたら差し上げますわよ」的なご案内(誰の設定なのか自分でもよくわかりませんが)にも二つ返事でお答えできる軽やかなフットワーク、それがまさに軽トラ。薪集めも面倒臭さから解放されて、見事に「楽しみ」に変わりましたもの。サンバーのおかげで今シーズンの薪は十分に確保されたところです。
良く頑張ってくれていますのでね、サンバー。先日フロントのバンパーをスプレーでマットブラックに塗り上げて、少し男前にしました。そのうち余裕がある時に全塗装にチャレンジしてみようかなと思っています、動画なんかを参考にDIYで。少しグレーがかったブルーとか、ジープみたいな鼠色もいいなとかね、妄想しております。
もうちょっと早く買っとけばよかったかもしれませんが、サンバーがなかった時に工夫したり苦労したりしたことも、今となってはいい経験です。しかし名作と言われているものって、やはりそれなりのリーズンがありますね。世の中はさまざまなものが溢れかえっていますが、自分にとって長く付き合える本物って、もしかしたら少ないのかもしれません。
今回のおすすめアウトドアミュージック
シャーデー「No Ordinary Love」
この曲僕のサンバーと同い年の名曲です。
東田トモヒロNEWS
東田トモヒロ Christmas Live at THUMBS UP 横浜
毎年年末に行っているBirthdayLive今年は少し早く開催します!
日程:2022.12.23(FRI)
出演:東田トモヒロ(Vo,Gt)、
サブスクリプションコミュニティTSC(Tomo Surf Club)
シンガーソングライター東田トモヒロとつくる、持続可能な音楽のコミュニティです。
月額制のサブスクリプションで、独自の配信ライブや、インターネットラジオ配信等いくつかのオリジナルコンテンツを用意して、みなさんとコミュニケーションを図っています。ぜひご参加ください。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/338326