18日の未明が見ごろ。月は見ないように観察しよう
11月後半の季節の風物詩、しし座流星群、今年は11月18日に極大(ピーク)を迎えます。ただ、今年は下弦過ぎの月がすぐ近くにあり、残念ながら観測条件はよくありません。
しし座流星群は、テンペル・タットル彗星を母彗星にもつ流星群です。2001年に大出現したことで知られますが、今年の予測ではあまり大きな出現は期待できません。
ただ、この流星群は明るい流星が多いのが特徴です。金星を上回るくらい明るい流星を火球といいますが、火球の出現が多いことで知られます。いくら今年は低調といえ、そうした大流星が流れる可能性は否定できません。たとえ全体数は少なくても、ひとつでも大流星が見られたら…一発当たったらでかい……というなんだか山師のような流星群です。
極大を迎えるのは午前8時なので、18日の朝、薄明が始まるまでが見ごろでしょう。
しし座が東から昇ってくるのは夜中の0時ごろなので、それから朝4時ころまでがちょうどいいでしょう。なるべく月が視界に入らないようにしながら視界を広く取り、流星の出現を待ちましょう。
おうし座北流星群もいっしょに楽しもう
といっても、どうしても月がいっしょに昇って来ますので、いっそ、月の出の前に観察するという手もあります。
11月後半の夜中の東の空は、もう冬の星座たちでにぎやかです。オリオン座のベテルギウスとリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバランと、冬の1等星、勢ぞろいです。
そして注目したいのが、おうし座の肩のあたりに放射点をもつ「おうし座北流星群」です。おうし座北流星群は13日にすでに極大を迎えているのですが、この流星群はピークらしいピークのない流星群として知られます。ピークが非常になだらかに続くのです。もしかしたら、17日から18日にかけて、月のないおうし座北流星群のほうが見られるチャンスが大きいかもしれません。
なぜ、こんなにピークが長いのか。というと、母彗星はエンケ彗星という小さな彗星で、公転周期は3.3周年と極端に短いです。もともとはもう少し大きな彗星だったのでしょうが、何かのきっかけで砕けてしまったと考えられます。小さくてもチリの尾を引いているので彗星には違いありません。なんだか出がらしのような彗星ですが、それでも3.3年おきに地球の軌道上を横切って、流星群の元になるチリを、まさにチリが積もるごとく置いていってくれるのです。冬の星たちを観察するついでに、おうし座北流星群が見えたらラッキーくらいの意気込みでちょうどいいかもしれません。放射点の近くにはすばるもあります。
流星は放射点を基点に全方位に飛びます。天頂のほうから下に流れたらおうし座北流星群、東の方から上向きに流れたらしし座流星群と推測されます。今年は、しし座対おうし座の流星群を、昇り調子の冬の星座とともにお楽しみください。
構成/佐藤恵菜