こんにちは、4歳の息子を連れて、山やフェスや温泉を巡っている子連れライター渡部郁子です。
少し前から小さな田んぼを借りて、無農薬のお米作りを楽しんでいます。田んぼには生き物がたくさんいるので、息子は虫を見たり追いかけたりするだけで大喜びなのですが、せっかくなら草花や虫の名前を知りたいと思っていたところ、ステキな本を教えていただきました。
田んぼソムリエ?
本のタイトルは『生きもの調査と里山ハーブで田んぼソムリエになる!』(安心農業:刊)というもの。特徴的なのは、田んぼの周辺で見られる生きものについて網羅した本であることです。田んぼや里山に生息する虫や、訪れる水鳥、田んぼの周辺に生きる植物など、660種類が、写真付きで紹介されています。これなら、世界の昆虫を収めた大型の図鑑を持ち歩く必要がありません。
里山ハーブ?
巻頭の写真集の中に、「里山ハーブ」の記載を見つけました。田んぼのまわりで見かける雑草の中から、食べられる食材を探して楽しむというもの。ヨモギやフキノトウ、ツクシなどは食べられることが知られていますが、コナギは繁殖すると草取りが大変なので田んぼでは嫌がられていること、シオデは幻の山菜と呼ばれていることなど、草取りが楽しくなったり、見つけたら嬉しくなるような植物の紹介が魅力です。
田んぼに、シジミがいるの!?
パラパラと本をめくっていて驚いたのが、貝類のページ。ドブシジミ、マシジミといった貝の写真が出てきました。食べられるわけではなさそうですが、中にはドブガイという大きな二枚貝がいることもあるそうです。
コラムの充実
田んぼの生きものの紹介に加えて、本書の後半には8人の田んぼソムリエが田んぼについて語ったコラムが掲載されています。それぞれの立場から、田んぼが生物多様性を語るうえでどれほど優れたシステムなのか、生物多様性がなぜ重要なのか、はたまた田んぼの歴史や、環境破壊という側面から考える田んぼの話など、視点がおもしろく引き込まれます。
大人が読んでも楽しめますが、子どもにも読んで教えてあげたい、そんな内容があふれています。この本を読むことで、田んぼを増やしたい、耕作放棄地をよみがえらせたい、もっとお米を食べよう、という気持ちになってきます。