住んでいる場所とは別に、自然派ならではの要素を加えたマイアウトドアベースを構える。普段の生活を維持しながら楽しむ2拠点生活を実践する皆さんに取材してみました!
子供たちが思いっきり遊べる場所を求めて
お話をうかがったのは……
IT会社経営
志賀謹悟さん(46歳)亜衣さん(41歳)
咲也くん(8歳)
笑花ちゃん(6歳)
光くん(4歳)
明斗くん(3歳)

謹悟さんは大学時代に起業し、様々な会社を経営。サウナ好きでFacebookのグループ「SaunnerTokyo」を主宰する。亜衣さんはインスタ@ia_ai_campで暮らしを発信中。
志賀ファミリーがデュアルライフを始めたきっかけは、子供たちを外で思いっきり遊ばせたかったからだという。キャンプや山登りなどのアウトドア遊びを家族で楽しんでいたが、コロナ禍によって外出機会が激減してしまった。しばらくは東京の自宅のリビングやベランダでキャンプなどをしながら過ごしていたものの、育ち盛りの子供たちはエネルギーを持て余していたという。

もともと外遊びが大好きだったが、コロナ禍で気軽に出かけられなくなり、しばらくは東京の自宅でキャンプを楽しんでいたそう。
そこで思い出したのが、両親から譲り受けた秩父にある別荘地だった。そこをプライベートキャンプ場として整備すれば、子供たちの絶好の遊び場になると考えたのだ。しかし、その別荘地は約30年前に購入したきり、更地の状態で放置されていたという。200坪の土地はすべて草木で覆われ、敷地に立ち入ることすらままならないジャングル状態だった。「草を刈るところから始めました」と亜衣さんは笑う。

子供たちに思いっきり外遊びをさせたいという想いから、長年放置されてジャングルのようになっていた別荘地を開拓することに。
「2020年の秋ごろから草刈りをはじめ、整地後にまずウッドデッキをDIYしてみたんです。思った以上に上手くいったことで自信につながりました」(謹悟さん)
子供たちが積極的に「行きたい!」といってくれるよう、ブランコや滑り台といった遊具も設置し、ひとまずキャンプ場は完成した。だが、大きな問題がひとつ残っていた。下水が整備されていないためトイレがなかったのだ。
改めて下水を整備すると多額の費用がかかるため、どうしようか悩んでいたところ、隣の区画に別荘として使われていた鉄道貨車が放置されているのを発見する。すぐに所有者と交渉し、新たに100坪の土地と鉄道貨車を譲ってもらえることになったという。
鉄道貸車をDIYして母屋にリノベーション

土地の前の所有者が使っていた国鉄の「ワム」という貨車。元の姿がわからないほど、苔に覆われていたそう。

錆を落として錆穴をパテで埋め、子供たちと一緒に塗装を施して完成させた。家族みんなの作品。

不要になった荷役用木製パレットを引き取り、ウッドデッキとして再利用した自慢のDIY作品。
「鉄道貨車は長年放置されていたので錆と苔に覆われ、もとの色がわからないぐらいでした。家族一丸となって集中的にDIYを行ない、3か月で完成させました。キッチンやユニットバスも付いていますし、後でエアコンや光回線も整備したので基本的に自宅と同じように暮らすことができます。水道、電気、ガスといった基本的なインフラがきっちり整備されている点が別荘地の中古物件のメリットですね」(謹悟さん)
参考までに購入費用を伺ったところ、水道管や給湯器などの設備費、DIYで使った材料費も含め約300万円とのこと。かなり現実的な価格だ。

6人家族の居間として十分な広さ。畳敷きの昭和感あふれる内装だったが、亜衣さんがリノベーションした。
展望デッキ

最初にDIYした4m×4mサイズのウッドデッキ。立派な桜の木の下にあり、春にはここから素晴らしい風景を望めるという。
「この場所ができてから生活スタイルはガラリと変わりました。毎週、金曜午後に東京の家を出て、日曜日の午後まで秩父で暮らすのが習慣になっています。自然との距離が近いため、虫を捕ったり、お花を摘んだりといったことを子供たちが勝手にやるようになりました。
ここでは全ての活動が好奇心や感受性などを育むことにつながっていると感じます。あと傾斜地になっているので立っているだけでも足腰が鍛えられます。長男は幼稚園のマラソンでダントツの1位でした(笑)」(亜衣さん)
敷地内にプライベートキャンプ場を完成!

平坦になっている場所はウッドデッキを張り、テントサイトとして整備。今後は外にトイレを設置して、友人も利用できるプライベートキャンプ場にしたいとか。母屋ができるまでの最初の1年間は外にテントを張ってキャンプを楽しんでいたそう。
BBQスペース

レンガを積んだ自作かまど。もともと設置されていた三波石のテーブルセットと組み合わせて機能的なBBQスペースに。

美味しく焼けます!
自然との距離が近い、学びのある暮らし
セカンドハウスの周辺は季節を実感できる自然豊かな山林となっており、ハイキングコースも整備されている。とくに桜の咲くシーズンの秩父の山の美しさは格別なもので、最初にその光景を見た謹悟さんは思わず涙したほど。
野生生物も無数に生息しており、これまでサル、シカ、リス、イノシシ、タヌキ、フクロウ、タカなど、多種多様な動物を子供たちとの散歩中に目撃したという。ちなみに取材時は散歩コースにアオダイショウが出現し、子供たちは恐れることなく「ヘビだ~」と大興奮しながら観察していた。たくましく成長しているようだ。

セカンドハウスから10分ほど歩けば美しい沢に出ることができる。山奥の別荘地は自然遊びには絶好の場所だ。
虫捕り

東京に比べ蚊は少ないが、クワガタなど子供の喜ぶ昆虫は沢山いる。この日はナナフシとバッタをゲット!「みてみて〜! 虫を捕ったよ」
野草採取

イタドリ、オオバ、ミツバなど、近隣は食べられる野草の宝庫。写真はサンショウの香りを嗅いでいるところ。

植物に詳しくなったよ
滑り台&ブランコ

クルミの木でブランコ遊び。子供たちが積極的に来たくなるようブランコなどの遊び場から優先的に整備。

傾斜地なので足腰も自然に鍛えられるのだとか。
裏山ハイキング

玄関を出れば即ハイキングコースにアクセス可能。20分ほど歩いて辿りついた高台からは武甲山の見事な姿が望める。
アウトドアクッキング

ここでは家族全員で楽しみながら料理。いつでも気軽に焚き火を使った調理が可能なので、子供たちが薪割りや火の扱い方を自然に学べる。
志賀さん流2拠点生活のコツ 5か条
1 子供を飽きさせない工夫
2 インフラの整った別荘地は狙い目
3 廃材とDIYで費用を抑える
4 虫や植物に関心をもつ
5 家族全員で楽しむ
※構成/佐藤旅宇 撮影/高柳 健
(BE-PAL 2022年11月号より)