「夏山なんだから、大した装備はいらないでしょう。実際に短パンで登っている人もいるし」
富士山に初めて挑戦する人の中には、こんな考えの人も少なくないみたい。実際、ICI石井スポーツの白水さんは「週末に登るから、という人はまだいいほう。今夜のバスで行くから足に合うシューズを今すぐちょうだい、という人までいますよ」と話す。
そりゃいかんぜよ(と、ナゼか坂本龍馬風)。富士登山で手を抜いてはいけない装備はレインウェア、ザック、シューズ、それにアンダーウェアを加えた「四種の神器」だ。慣らしが必要なシューズでそれなのだから、他は推して知るべし。レインウェアなどは「雨なら行かないからいらない」という人もいる。
「レインウェアは雨だけでなく、風よけや防寒具としてなど、必ず使うものです」と白水さんがいうように、富士登山では大活躍する道具のひとつなのだ。なにしろ「下界は真夏でも山頂は氷点下の真冬」という、恐ろしい落とし穴が待っている。
そして森林限界を越えた世界では、体を強風や陽射しから守ってくれるものは何もない。そんな場所で、信頼できるアウターひとつ持たないのは、まさに自殺行為。これだけはゆめゆめケチるなかれ、だ。
富士登山「四種の神器」
■教えてくれた人
ICI石井スポーツ
白水(しろうず)誠さん