一年を通じてもっとも夜空が華やかになる冬!この時期一番明るい星とは?
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    2022.12.01

    一年を通じてもっとも夜空が華やかになる冬!この時期一番明るい星とは?

    121日、今年最接近の火星はマイナス1.8

    秋から輝きを増している火星が、師走に入ると今年一番の輝きを見せてくれます。最接近する121日は、日没後の17時過ぎに昇ってきます。

    地球の外側を回る火星の公転周期は687日。公転スピードは地球のほうが速く、22ヶ月ごとに火星を追い越していきます。前回は202010月に接近しました。惑星の軌道は微妙に楕円形で、最接近といっても毎回、同じ距離になるわけではありません。今年の接近は大接近とは言えず「中接近」です。距離にして0.54auauとは天文単位astronomical unitの略で、1auは地球から太陽までの平均距離に相当し約1.5億キロメートルになります。その半分くらいの距離まで火星が近づいているというわけです。

    12月1日、火星が今年一番接近する。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    128日には、太陽と地球と火星が一直線上になる「衝」(しょう)を迎えます。この日の火星はマイナス1.9等級。肉眼で違いがわかるほどではありませんが、ちょっとだけさらに明るくなっています。最接近日より「衝」の日のほうが明るくなるのは、太陽が真正面に来るため、照らされる表面積が最大になることや、火星表面の岩石や粒に反射した光が真っ直ぐ跳ね返ってくる効果などによるものではないかと考えられます。

    火星の動きにも注目してみてください。

    火星は見かけ上、黄道12星座の中を西から東に動いているように見えます。6月はうお座、7月にはおひつじ座に入り、そして8月からはおうし座の方向にあって、今は角のあたりにいます。実は最接近の前後、火星の動きが少々、挙動不審になります。最接近時には地球が火星を「追い抜く」ことになるので、見かけ上、火星がジワジワと西に戻るように見えるのです。この後、火星はプレアデス星団(すばる)方向に近づき、それからまた東の方へ移動していきます。

    冬の1等星7つプラス火星が勢ぞろい

    一年を通じてもっとも夜空が華やかになるのは冬です。12月上旬の22時にもなると、東の空に冬の星座が出そろいます。

    冬のきらびやかかな7つの1等星の中で、今年ダントツに目立つ火星。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    東の空を見上げてください。北寄りに、ぎょしゃ座のカペラ。少し黄色がかっています。肩をいからせながら、なぜかお尻から昇ってくるおうし座の1等星アルデバランは、ややオレンジ色。颯爽と昇ってくるオリオン座の1等星はベテルギウスとリゲルの2つあります。ベテルギウスは赤く、リゲルは青く、オリオンのベルトにあたる三つ星は2等星ですが、青っぽく見えるでしょう。

    オリオンに足を向けているふたご座の1等星は弟のポルックス。兄カストルは僅差の光度で2等星になっています。ふたご座の下で吠えているこいぬ座の1等星プロキオン。最後に姿を現すのは、おおいぬ座。そのシリウスはマイナス1.4等級の全天一の明るい恒星です。

    実はこの季節、カノープスという全天で2番目に明るい恒星もいます。南の方にあるので東京からはまず見られません。とはいえ、きちんと場所を選び、かつ運が良ければ地平線スレスレに見えるかもしれない星です。見ごろを迎える2月にまたご案内しましょう。

    さて、これだけキラキラしている夜空で、一番明るいのはやはり火星です。ベテルギウスやアルデバランと色を比べてみてください。アルデバランの近くにはプレアデス星団(すばる)もあります。12月の夜空で冬の訪れを満喫してください。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、アストロアーツより、2023年の天文現象の見どころと楽しみ方をまとめた『アストロガイド 星空年鑑2023』が好評発売中。

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