さぁトレッキングの季節がやってきた!
夏場は家がある外房で「プール三昧」な私たちです。ええ、すぐ傍に太平洋があるのにプール……(笑)。その時期はせっかく持っているキャンピングカーも単なる「移動するためだけの道具」となります。
一方で、秋が過ぎると俄然活動的になるわが家。キャンピングカー(ようやく)本領発揮! ヤブ蚊とかヤマビルとか、いやーな虫がいないのもこの季節のお気に入りポイント。どの旅にも「トレッキング」は織り交ぜますね。先日旅した伊豆半島でも毎日たくさん歩きました。今回は西伊豆は松崎町にある「烏帽子山」をご紹介。標高164mの低山ですが、海抜0mから一気に天空の世界を味わえる絶景が待っていました。
「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されている伊豆半島です。急峻で尖った形が特徴的な烏帽子山は「海底火山の根」が隆起してできたそう。山そのものが冷え固まったマグマだとか。その山頂にある展望台のスグ下には「雲見浅間神社」の本殿が鎮座しており、パワースポットでもあります。
烏帽子山はどこにある?
西伊豆松崎町の「雲見海岸」を目指します。海の目の前には、傾斜はかなりきついですがクルマが停められる広いスペースがあります(夏の海水浴期間中は有料)。周辺にコンビニなどはないので、食料や飲み物はあらかじめ用意したほうがよさそうです。
何も持っていなかったわれわれは、レトロな趣のスーパーを集落に見つけて、板状の大きな卵焼き(甘めでおいしかった)と水と、下山してからいただこうと思っていたカップのスープを買いました。海の目の前には、きれいなトイレもありましたよ。
「渚の足湯」アリマス
足湯好きなので、一瞬「キャッ♪」 とテンション上がったのですが、11~3月は水温が下がるそうで、手を浸けてみたら「水」でした(11月に来訪)。オススメは4~10月だそうです。運が良ければ富士山が目の前に見えるとか。
いざ登山口へ
クルマを海の前に停め、海岸線に向かって左手方向に歩きました。ダイビングショップを通り過ぎ、岬の小さな神社まで来てしまい、あれ、おかしい……。ハイ、ずいぶん手前に登山口があったのでした。登山口は「雲見浅間神社」の参道になっています。神社を目指せばわかりやすいと思います。
案内板を見て、その石段の多さに驚きます。拝殿まで130段。その後、さらに320段!!
看板の下に「ロッククライミング禁止」とありますが、以前、烏帽子山はロッククライミングの名所だったそうです。しかし、2016年に死亡事故があり、現在は禁止となっています。
目の前にそびえる130段の石段
トレッキングシューズはマストです
クルマを降りたらスグ登れる「標高164mの低山」だからと、あなどってはいけません。イキナリのスパルタンな石段がお目見えです。その後、短いとはいえ本格的な山道も出現します。「ビーサン」なんて絶対ダメ。ちゃんとした登山の服装で臨んだ方がいい。飲み物はもちろん、お子さま連れはお菓子とかパンとかちょっとした「行動食」があると安心かも。
まずは雲見浅間神社「拝殿」へ
雲見浅間神社の伝説とは?
このあたりからは対岸の富士山がよく見えます。ところがこの烏帽子山に登る際、決して富士山を「きれい」とは言ってはいけない伝説があるそうです。
だいぶ話を端折りますが。
雲見に祀られている浅間神社の烏帽子山の神様が「姉」。駿河の浅間神社がある富士山の神様は「妹」。姉妹は最初仲が良かったのですが、殿方たちに求愛されまくりの美人な妹(富士山)にだんだん腹を立てて嫉妬した姉が、烏帽子山に登り富士山のことを褒めた人間を、怒りに身体を震わせ振り落とすとか(怖っ)。
この日は季節外れの暖かい日でした。富士山が見えなくて良かった(笑)。
中之宮まで320段の石段が出現!?
第2弾の石段は、拝殿までの130段より当然ずっと長くて、しかも急でした。救いだったのは、4歳と9歳の息子たちが足取り軽くスタスタ登っていたこと。石段の途中で何度も立ち止まってぜぇぜぇしていたのは私くらいなもので、早くも体力、抜かれてしまいましたね。アウトドア好きな母としては、すごくうれしいことなんです(わかります?)。今度から彼らの足手まといにならないように張り切らないと。そう、やっと子どもではなく「自分のこと」に集中できる喜びです。
山道から本殿までは未舗装の細道に
320段登り切り「中之宮」でお参りをしたら、いよいよ山道を歩きます。けっこう狭いですよ。本当にあなどれない、烏帽子山!
烏帽子山は、もとは「マグマの通り道」が地表に姿を現わした山。ゴツゴツした火山岩がむき出しです。この日は天気のいい土曜日でしたが、2組しかすれ違いませんでした。狭い急な山道、自分たちのペースで登れてよかったです。烏帽子山、穴場ですね。
伊豆半島は、「ユネスコの世界ジオパーク」にも認定されている独特の場所。山道に掲げてある看板を読みながら歩くのも、さらに旅の知識が深まって楽しいですね。
麓にあった看板には「山道約10分」と書いてありましたが、なんだかもっと長いような気が。それもこれも、想像よりずっとキツイ道のりだったからでしょう。山道に入ってからもけっこうな段差。すでに太ももに乳酸が溜まっている私の足はガクガクしていました。
そりゃ、164mを一気に登っているんですもの。険しいはずです。標高2,000mの山でも、なだらかに感じる場所だってある。決して「標高」で山を判断しちゃいけない。今回よくわかりました。でもトレッキング。上って下りての単純作業だけど、それがまたいいのです。だって頑張った先には、こんなご褒美が待ちかまえているんですもの。
登頂!そこには最高の景色が広がっていた
展望台からは遮るもののない景色。360度のパノラマで、ぐるりと世界が見渡せました! ちなみに海岸線に置いたクルマから1時間かからないくらいで登頂できました。旅の途中の「ちょうどいいアクティビティ」。
ここに来るまでに、拝殿、中之宮、本殿とありました。どの建物もよく手入れがされており、新鮮なお供え物があったりと、関係者の方々は毎日のように登られているのでしょうか。ここの神社の管理は本当に大変だと思います。
また、こういう素晴らしい場所は、日本にどのくらいあるのでしょう。旅に来る都度たくましく感じる息子たちと、もっといろいろな場所を歩いてみたいと思いました。
次の日の筋肉痛は久しぶりにすさまじかったですが、旅先で景色を楽しみながら気軽に体が動かせる低山トレッキング、オススメですよ! 私たちは今シーズンもガンガン登りますよー。
施設情報
- 施設名:雲見浅間神社
- 所在地:静岡県松崎町雲見386-2
- 取材協力:美しい伊豆創造センター 伊豆観光公式サイト美伊豆B-Izu https://b-izu.com/、雲見浅間神社