テラコッタを敷いた玄関には欄間も設置されている。夜ライトが点灯すると、美しいシルットが浮かぶ。
居間の外のデッキにはパヴェルがつくった飛行機が置いてある。子供たちにも猫のトラにも大人気だ。
そんなパヴェルと栄子さんだから、完成された家よりも手を加える余地がある古い木造家屋のほうが合っていると思ったし、斜面を有効活用した独創的な家ができ上がるだろうと期待した。
最初は地元の大工さんにリフォームをまかせたが、パヴェルも参加するようになり、在来工法のスキルを体得してからは、彼自身の手による家づくりがはじまった。
僕は年に一度くらい足を運んでいるけれど、ふたりの家は訪れるたびに、どこかしら変化している。茶室と居間を結ぶ階段をつくったり、ウッドデッキを増設したりして、より住みやすく進化している。