秋から冬にかけて山を歩くと、ひときわ大きな葉が落ちていますが、それが朴葉(ほおば:ホオノキの葉)です。岐阜県の飛騨地方などには、この葉の上でみそと具材を焼く「朴葉みそ」という郷土料理があり、今回はそれをスープに仕立てた料理です。
山に落ちている大きな葉というと、トチもありますが、トチではいけないのでしょうか。「朴葉を炙ると、独特のいい香りがするので、やっぱり朴葉のほうがいいのでしょうね」と蓮池陽子さん。たしかに炭火で炙っているうちに、みその香りとともにほのかな芳香が漂ってきます。
朴葉を噛んでみると、朴葉そのものに味があるというわけではありませんが、みそをほどよく吸収しているからか、噛んでいるうちにみその香りが湧き出してきます(朴葉は水に湿らしてあるので、噛んでもパリパリと粉々になることはない)。朴葉は一種のクッカー、器であり、香りづけの食材でもあり、昔の人はすばらしい発見をしたものだと思います。
さて、そのみそ(椎茸と長ねぎを混ぜている)をごはんの上にのせて、熱湯をかけていただきます。椎茸からうまみが出るので、だしは不要。長ねぎのシャキシャキ、椎茸のムチムチとした食感が心地いい。具の種類は少なくて問題なし。みそと朴葉の芳香をすすり込むのが醍醐味の料理です。
みそ大好き、アウトドア大好きの蓮池陽子さんによる「ソトみそスープ」は、Facebookの「みそパル」でも月に4回公開中です。その中から厳選したメニューを『BE-PAL』本誌奇数月発売号(次回は1月6日発売の2月号)でも紹介しています。こちらもお楽しみください。
【陽子さんのソトみそスープ 第16回 朴葉みそスープ】
材料(1~2人分)
朴葉…2枚
椎茸…2本
長ねぎ…1/2本分
米みそ…大さじ4
みりん…大さじ1
酒…大さじ1
仕上げにごはんとお湯…適量
作り方
1、椎茸は石づきを取って軸をはずし、軸を含めて千切りにする。長ねぎは薄めの小口に切る。朴葉は水にしっかりつけてやわらかくする。
2、すべての材料を小鍋に入れて混ぜて、弱火で加熱する。椎茸がやわらかくなったら火を止める。※
3、朴葉の水を拭き、みそを塗って葉ごと炭火であぶる。みそがグツグツしてきたら完成。ごはんにのせたり、お湯やお茶をかけたりしてどうぞ。
※炭火だけだと火の通り具合にムラができやすいので、事前に小鍋で加熱したが、みそと具の量が少なければ、炭火だけでも作ることができる。
協力:みそ健康づくり委員会