富士山へ向かってちょっと寄り道
東海道キャンピングカーひとり旅。箱根を出発し、静岡県の三島、沼津、原と海沿いに南下していくのが東海道ですが、どうしても見たいものがありました。
それは富士山!
理論上は200km以上も離れたところから見えるという富士山ですから、関東や東海にお住まいの方には見慣れた山だと思います。また、近畿地方の在住者なら、きっと東京へ向かう新幹線から見る山ですね。
しかしそれ以遠に住んでいる人には、「日本一有名な山」でありながらも「テレビでしか見たことがない山」だったりもします。せっかく静岡まで来たのだから、本物の富士山を見たい。ということで東海道を少し外れ、内陸部に寄り道をしました。
静岡県富士山世界遺産センターを訪ねる
BE-PAL読者のみなさんなら、もしかしたら富士山は「挑む」ものかもしれませんが(9月には閉山していますが)、私は体力にも脚力にもサバイバル力にもまったく自信がないインドア派。
少し日に当たっただけで熱中症になりかけ、徒歩で観光した夜には足がつって悶絶するありさまです。ビジターセンターを訪問し、ラクして景色だけ楽しもうと思います。
世界中から訪問者を迎える「富士山世界遺産センター」は、山梨県側と静岡県側の両方にあります。今回は静岡側の富士宮市までクルマを走らせました。
予備知識ゼロで到着したのですが、まずこのロケーションが最高です。浅間大社の真っ赤な大鳥居と、背後に広がる富士宮市の街並み。
市街地なのに川の水が非常に清らかです。冷たそう!
センターには来館者用駐車場はなく、近隣の有料観光駐車場を利用することになりますが、徒歩でゆっくり散策できる範囲内です。
建物の前には巨大な水盆があり、逆円錐形の装飾が水に映ると正位置の富士山のように見えます。逆さ富士の反対バージョンですね。素晴らしい意匠です。
ところで富士山は「山」なのに、世界自然遺産ではなく文化遺産。
なぜ?と思っていましたが、その理由はセンター内の展示でわかりました。ユネスコへの登録名では「信仰の対象と芸術の源泉」という副題がついていますが、山を神聖なものとみなす古来の山岳信仰、そして浮世絵をはじめとする日本独自の芸術を育んだ文化的側面が評価されているのですね。
山として貴重というよりも、富士山を中心として脈々と続く人の営みのほうに唯一無二の価値があるということでしょう。日本人の精神文化と深くつながっている霊峰富士。センターでは、らせん状のスロープで富士登山を疑似体験しながら展示を鑑賞します。
センター内のテラスからは、富士山そのものも鑑賞できます。高いビルのない街並のため、気持ちよく抜ける風景です。雲がかかっているのが残念!
センターを出たら、少し歩くだけで富士山本宮浅間大社に到着。「あさまたいしゃ」……ではなく「せんげんたいしゃ」なのですね。
神社の参道といえば食べ歩きも楽しみですが、「しぞ~かおでん」こと「静岡おでん」を食べました。パキッとした濃いめの味つけに、ふりかけのような魚のだし粉をかけていただきます。
ここ「お宮横丁」でもびっくりしたことが。フードコートにはよく、どの店舗のお客さんでも利用できるセルフサービスのウォーターサーバーがあったりしますが……
富士山の天然水が飲み放題なんです!いつもならお金を出して買うものが、ざぶざぶとあふれている……!キリッと冷えて美味しかった!!
天女伝説の残る景勝地「三保の松原」
もう一か所、富士山の景勝地に行ってみましょう。こちらも「名前は知っているけれど、行ったことのない」場所のひとつ、三保の松原です!
駐車場やビジターセンターも完備されており、クルマでも訪問しやすいです。
同じく事前リサーチまったくなしで来てしまい、ちょっと誤算だったのですが、歩くところはすべて砂浜。一歩踏み出すたびに足が埋まり、前進には相当な体力が求められます。なるほど、運動部が浜辺でトレーニングする理由がわかりました。
おまけにサボ(甲が丸く、底の厚いサンダルのような靴)で来てしまったため、大量の砂が靴に入ります。この後、数日間にわたって靴からサラサラと砂が出てくる状態が続きました。
振ったり逆さにしたりして、もう絶対に入っていないと思っても次の日には現れる砂。いったいどこから来るのでしょう?
有名な「羽衣の松」!天女が羽衣をかけ、村の漁師が見つけたという伝承の松ですね。しかし松は当時のものではなく、三代目だそうです。
そして、浜辺に出て振り向けば、細く続く緑青の松林の向こうに富士山が見えるはず……
見えるはず……
見えませんでした。なんとなくあの辺かな、ということだけはわかりましたが、雲がかかり山のシルエットはほとんど判別できません。天気は自然現象ですから、こればかりはどうしようもありませんね。しかし無念です。
RVパークsmart 極楽湯 三島店
宿泊の順序は少し前後しますが、最近増えている無人車中泊サービス「RVパークsmart」について最後にご紹介します。
RVパークと似ていますが、予約、支払い、チェックイン、チェックアウトなどをすべてオンラインで行い、無人で利用できるように整備したシステムです。
最初に予約サイト「軒先パーキング」の会員登録を行い、インターネットを介して予約。この時点で実はかなり便利です。
通常、RVパークや湯YOUパークを利用するときは、定められた時間内に電話をかける必要があります。
しかし、必ずしも電話を受けた人がサービスを熟知していなかったり、ちょっとの差で受付時間が終わってしまったりといったこともしばしば。とくに旅をしながらだと、ちょうどいいタイミングでクルマを停められるとは限りません。
しかしオンラインなら24時間、自分の都合のよいときに予約ができます。当日予約がOKであるなど、予約期限も電話に比べると緩やかなことが多いようです。
料金はクレジットカード、Apple Pay、PayPayなどで事前に支払うので、現金が不要です。現地で用紙に住所氏名を記入するといった手続きも基本的にありません。深夜に到着したときなども便利ですね。
今回利用した「極楽湯 三島店」の場合、現地のQRコード読取機にスマートフォンをかざすチェックインに加え、館内でトイレ利用の手続きをします。
専用のリストバンドをつけてもらうことで、トイレ利用のための入館が可能になりました。入浴料は別途必要になりますが、Wi-Fiを使って仕事をしたり食事をしたり、便利に滞在しました。
いろいろな事情でインターネットサービスを使えない人への配慮は必要ですが、車中泊システムの無人化・自動化はサービス提供者にとっても利用者にとっても利点が大きく、私は大賛成です。
施設詳細
- 名称:RVパークsmart 極楽湯 三島店
- 住所:静岡県三島市三好町4番23号 せせらぎパーク三好内
- 料金:1泊1台3,500円
- 台数:2台
- 備考:100V電源無料