焚き火の基本から七輪を使った炭の活用術まで、その道の名人たちが徹底伝授。正しい手順やコツを知って、次のキャンプに役立てよう! 今回は薪選びと炊き付け作りについてご紹介。
「焚き火」のコツ 教えて先生!
ヒラバヤシワークス代表 髙橋幸一さん
教わった生徒
BE-PAL編集部員 おがちん
焚き火愛が高じて、世界初のスウェーデントーチ型焚き火台まで開発してしまったという、筋金入りのタキビスト、髙橋幸一さん。夏場を除けば、仕事帰りの焚き火が毎日の日課だ。今回、そんな彼のもとに弟子入りしたのは、編集部イチ(自称)キャンプを愛するおがちん。
LESSON1
薪を知り、薪を選ぶの巻
何はともあれ、薪の種類を知ることから始めよう。
髙:四国までよく来たねー!いらっしゃい
お:今日はよろしくお願いします!!
髙:薪をストックしてるから取りに行こう。コッチ来て!
お:ハーイ♪ 楽しみですーワクワク
髙:ここから広葉樹と針葉樹を選んでみよう!
お:薪がたくさんありすぎてクラクラしますぅ〜
まずは燃料集めから
髙橋さん(以下・髙)「焚き火に必要なのは、乾いた燃料と酸素、そして熱。火さえつけば、あとは何でもOK。というわけで、焚き火を知るには燃料集めから!」
挨拶もそこそこに、たたみかけるように髙橋さんに案内されたのは、自社の薪置き場。
髙:「燃やしはじめは火つきの良い針葉樹、調理や観賞用に火持ちの良い広葉樹の2種類があるといい。売られている薪なら乾いているから、初心者にも安心」
おがちん(以下・お):「おぉ、燃料さえ手に入ればこっちのものですね。早く燃やしたいな♪」
髙:「いきなり太い薪に火はつかんぞ」(ニヤケたおがちんに喝)
焚き火マスターへの道①
広葉樹と針葉樹の違いを知ろう
密度が高く、火がつきにくいが火持ちが良い広葉樹を薪のメインに据える。それに、燃えやすい針葉樹を焚き付け用にプラス。着火時はもちろん、温度が下がってきたときにも役立つ。
LESSON2
焚き付けづくりに挑戦の巻
ナイフを使って鮮やかに薪を小割りにするべし。割る用の薪は、ふしがないものを選ぼう。
髙:木のバトンを使って、ナイフの背に当てるように下ろす
お:まっすぐ下ろすイメージですね!!
髙:振り下ろすバトンは、端っこを持つこと!
お:真ん中持つと力も伝わらないし危ないですよね
めざせ、一発着火!
スムーズに火をおこすには、薪にも準備が欠かせない。細い薪から太い薪へ徐々に火を移していくので、大中小の薪を作っておく必要があるのだ。
髙:「3〜5段階ぐらいの太さがあればいいかな」
ナイフ1本とバトニング用の太い枝(バトン)があれば、薪を割ることが可能。
髙:「ナイフは刃厚が広いほうが太い薪を割れる。木に対して水平に置いて、スナップをきかせて叩く。バトンは重いほうがいいから、生木を使うといい」
バトンに薪を使おうとしてたおがちん、生木を探しに走る。
髙:「ついでに、割れた薪を使って焚き付け用のフェザースティックも作っておこう」
細く割った薪を固定し、鉛筆を削るように上からナイフをゆっくりスライドさせ、薪の表面を薄く削っていく。
髙:「クルクルと毛羽立てばOK」
お:「これ、上手に削れたら格好いいですよね!」
髙:「そう、焚き火の醍醐味は、いかに格好良く自分のスタイルに落とし込むかにかかっている! おがちんもわかってきたな」
格好良く一発着火を目指せ!!
焚き火マスターへの道②
バトニングは安全に!
ナイフの刃を枝や薪の小口に当て、バトンで峰を叩いて割っていくため、手指の保護にグローブは必須。手からバトンがすり抜けないように、取っ手になる部分は細く削っておくと、繰り返し使える。
心構え!
❶ 刃に触れないようにするべし
❷ 力任せに叩きつけない
❸ 振り回すのはご法度!
焚き付けにはフェザースティックも有効
フェザリングは薪の表面を薄く削るブッシュクラフトの技術。削ってクルクルと毛羽立たせたものがフェザースティックで、薄いほど火がおこりやすい。全体を削ってもOK。
カッコよく作ってみよう!
【知っておきたい焚き火用語】
バトニング
ナイフで薪や枝を細かく割って、火がつきやすいように加工すること。ブッシュクラフトを語る上で欠かせないファクター。
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2022年12月号より)