セーリングヨットSANTANAで世界一周中、前田家の妻・麻裕です。
今回は前田家の旅の最初の目的地であり、長年多くの人々を魅了しているカリフォルニア唯一のリゾートアイランド、サンタカタリナ島をご紹介します。
ロサンゼルス沖合にある歴史的なリゾート

アバロン市内のビーチにて。
サンタカタリナ島はロサンゼルスの南西、沖合35キロに浮かぶ島で、島の中心街アバロンまではロサンゼルスから高速フェリーで1時間強、ヘリコプターで15分というアクセスの良さが魅力なのですが、前田家はロサンゼルスよりも北西にあるオックスナードから出発したため、なんと10時間以上もかかってしまいました……。
1919年に実業家により島の大部分が買い取られ本格的な開発がスタートした歴史あるリゾート地ですが、現在では島の9割近くが自然環境保護団体に譲渡されており、美しい自然を保ちながら観光業による経済的利益を上げているサステナブルな観光地としても知られています。
船酔いに完敗
セーリング自体は問題なく進みましたが、少し波が高かったため家族全員に船酔いの洗礼が待っていました。前日からアルコールやコーヒーを控えて、セーリング中は生姜ドリンクや飴を試したりしましたが、どれもそれほど効果はなく……。むやみに薬に頼ることはしたくありませんが、船酔い対策には服用した方が賢明ということを学びました。
幸い現在では船酔いに苦しむ頻度はかなり減ってきましたが、船旅一番の敵です。

目的地に着くと、船酔いのことは一瞬で忘れ途端に元気になる子供達。見習いたいメンタルの強さ。
楽園に到着
島には北と南に係留地があり、前田家が最初に訪れた北側の係留地ツーハーバーは、名前の通り向かい合う二つの湾がくびれのようになった場所です。ハイキングやキャンプなどアウトドア活動を目的とした滞在が楽しめます。
係留のための浮きと船体を繋ぐ作業はこの時初体験で、しばらく悪戦苦闘することになりました。何事も教科書通りには行かないものです……。幸いこの時はオフシーズンで周りに船が少なかったので良かったのですが、狭く混み合った場所での操船は冷や汗必須、緊張の連続です。

ビーチ側から見た様子。

反対側の係留地は長閑な雰囲気が魅力的。
観光の中心地、アバロンへ
ツーハーバーで短いハイキングやピックニックをして2日過ごした後、南側の係留地のある賑やかな街アバロンに移動することにしました。大きな島ではないので、のんびりとセーリングしながら数時間で到着。

島本来の姿を横目に移動中。海藻の上で休むカモメ(写真中央)に癒される。

どこを切り取っても絵になる港街、アバロン。

クルーズ船が入港すると街全体が一瞬にして活気付く。
島の周りはジャイアントケルプが生み出す幻想的な海の世界が広がり、シュノーケルやダイビングのメッカということで楽しみにしていましたが……あまりの寒さに断念。(サンタカタリナ島は年間を通して温暖な地中海性気候ですが、夏場以外水温はかなり低いのです)。
出航まで怒涛の数か月を過ごしたので、ここではリラックスして周辺をカヤックで散策したりビーチでのんびりと過ごしました。

安定感のあるカヤックは小さな子供と一緒でも安全に楽しめる。

アバロンのアイコン的存在カタリーナカジノ(ギャンブル場ではなく、イタリア語で社交場の意味だそう。)は、 海からやってくる際にこの場所を一番印象付けてくれる美しい建物。

カジノ内の豪華なシアタールーム。こんな空間でクラシック映画を鑑賞してみたい。 *ツアーで内部を見学することはできますが、残念ながら現在では使用されるのはイベント時のみで通常営業は終了中。
クルマが珍しい観光地!?
島には環境保護の観点から車両の数に規制があり、新規の持ち込みには住民でも15年以上も待たされるのだとか……。長過ぎて仰天です。そこでアバロン市内の移動には、日本ではゴルフ場以外ではまずお目にかからないゴルフカートが活躍していました。
縦横無尽に行き来するスローなゴルフカートは、街全体が醸し出す平和な雰囲気作りに一役買っているようでした。このことからも島の環境を守るための住民の理解と協力には並々ならぬものがあることが分かります。島を訪れる立場の私達も、フットプリントは最小限にとどめ、環境に配慮した滞在を心がけました。

レトロなものから最新式まで様々な種類のゴルフカートが見られる。
人の多い場所が苦手な主人は当初アバロン行きにあまり乗る気ではありませんでしたが、5日間の滞在後はこの小さな街がすっかり好きになっていました。北側と南側で全く違ったスタイルの滞在を経験できることはこの島一番の魅力であり、美しい自然と忙しい観光業の調和が取れていることも、人気の理由だと感じました。

また訪れる機会があれば島キャンプにも挑戦したい。何度でも訪れたくなる場所。
世界には船でしかアクセスできない島が数多く存在し、それらの場所を訪れることは船旅の醍醐味でもあります。今後も人気のリゾートアイランドから隠れた離島まで、どんな島との出会いが待っているのか。有人無人に限らず、それぞれに個性豊かな島への関心は尽きません。

それでは、また次回。

4歳の娘と6歳の息子を連れて、セーリングヨットSANTANAで放浪中の4人家族。2022年3月、カリフォルニアを出航。寄り道をしながらゆっくりと世界一周を目指します。海の上でサステナブルな暮らしを模索中。Instagram #svsantanajp