水星から海王星まですべての惑星が夕方の空に並ぶ
今年の年末、惑星たちが夕方の空で大忘年会を開きます。
水星、金星、火星、木星、土星と肉眼で見える惑星に加え、天王星と海王星もそろいます。最近ではこのように夜空で惑星が集まることは「惑星パレード」と呼ばれたりします。今年6月にも、足元の地球を含めた8つの惑星すべてがそろった時期がありますが、それほどしょっちゅうある現象ではありません。
12月22日に水星が太陽から一番距離が離れる「東方最大離角」を迎えます。それから年末にかけてが惑星パレードの見ごろです。25日、クリスマスの夕方は月齢2の細い月も加わって、さらに劇的なシーンが期待できます。
25日、東京の日没は16時33分。その頃からスタンバイしておくといいでしょう。水星はこの日、0等級ですが、薄明時なのでそこまで明るく見えないかもしれません。目印になるのは金星のほうです。マイナス4等級あります。ただ、かなり位置が低いので、できるだけ西の方角が開けた所がベストです。
金星が見つかればその少し左上にあるのが水星です。金星と水星は双眼鏡で同じ視野に入るほど接近しています。
そこから東に、土星、木星、火星と、今年話題になった順番に並びます。
肉眼では見えませんが、木星の東には天王星があります。11月8日、皆既月食と惑星の食が同時に起きるという、442年ぶりの激レア現象で話題になった天王星です。この時、双眼鏡で月に隠れ行く天王星、あるいは月から出てくるところを捉えられた人もいるでしょう。今回の惑星パレードで、天王星を単独で見つけられるかどうか。ぜひトライしてみてください。6等級なのでけっこう難しいですよ。
はくちょう座が西の地平線に向かって十字形
金星と水星が西の地平線に沈んで惑星パレードが終わったあとも、この時期恒例のエンターテインメントが続きます。はくちょう座の北十字が西の空を飾るのです。
はくちょう座は夏の大三角形の一角を成す星座なので、どうしても夏のイメージがあるかもしれません。実は秋以降もよく見え、クリスマスシーズンになっても西の空で羽ばたいています。そしてクリスマスの晩、西の地平線に向かってきれいな十字を描きます。
天文ファンの間では以前から、西の空のはくちょう座はクリスマスの空の演し物として有名です。まだ七夕の主役であること座のベガ、わし座のアルタイルも残っています。東の空に目を転じれば、オリオン座が昇り、おおいぬ座のシリウスも昇ってきます。このシーズン、西も東も空は賑やかです。
最後にもう一度。惑星パレードで金星をしっかり見届けるなら視界を遮られないところで見る必要があります。キャンプなどで山に行く方、ぜひ西の方角の開けた場所を見つけてください。
それでは、どうぞよいクリスマスをお迎えください!
構成/佐藤恵菜