リュックカバーは登山者に必要な装備です。しかし、商品の数がとても多く、何を選べばよいのか分からないと頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。購入時の参考にできるように、選び方や使用時のポイント、おすすめのリュックカバーを紹介します。
リュックカバーはなぜ必要?
リュックカバーの主な目的は防水ですが、中身だけではなくリュック自体の防水が必要な理由は何なのでしょうか?カバーの選び方にも通じる部分なので、理解しておきましょう。
リュックの軽量化と周囲への配慮
第一に、雨がしみ込んだリュックは、繊維が水を含んでかなり重くなります。長時間、雨が降り続けると内部までぬれてしまい、考えているよりずっと重さが増します。
リュックの素材によってはすぐに乾かないため、雨が上がったとしても、しばらくは不快な状態を我慢しなければなりません。
また、山小屋を利用する際には、ぬれたリュックのままだと床などがぬれてしまい、管理者やほかの利用客の迷惑になってしまいます。
急に雨が降ってきて慌てないように、登山の際はリュックカバーを荷物に入れておくとよいでしょう。
リュックカバーの選び方と注意点
見た目はどれも同じように見えるかもしれませんが、リュックカバーの性能はそれぞれ異なります。快適に使うためにも、選ぶ基準をしっかり把握しておきましょう。
リュックにぴったりのサイズを選ぶ
リュックカバーを選ぶときに最も重要な基準は、サイズが合っていることです。リュックに対してカバーが大きすぎても、雨が侵入しやすくなってしまいます。
また、リュックとカバーの間に隙間があると風が吹き込みやすくなり、カバーが飛ばされてしまうでしょう。強風にあおられてバランスを崩す危険も考えられます。
理想はリュックにジャストサイズのカバーです。リュックの専用カバーが最適ですが、異なるブランドでも、サイズ調整機能があるカバーを選べば問題ないでしょう。
排水穴が付いているかどうか
リュックカバーは全体を覆うわけではないため、雨が強くなるほど内部に雨が入り込みやすくなります。そのため、リュックカバーの下部には、雨水を排出する穴があった方が便利です。
地味な機能に見えるかもしれませんが、『排水穴(水抜き)』がないことによる被害は軽視できません。雨水がカバーの内側にたまると、重みによってカバーがずり落ちたり、リュックの底部から浸水したりする原因になります。
リュックカバーによっては排出穴がないタイプもあるため、比較材料の一つとして排水機能の有無を確認しておくとよいでしょう。
防水機能と耐久性も確認する
リュックカバーの耐水性は、素材の強度と耐水圧で確認できます。耐水圧とは、どれだけの水圧に耐えられるのかを示したものです。
一般的な雨傘の耐水圧は300mm程度ですが、アウトドアで利用するのであれば、2,000mmを目安にするとよいでしょう。これは、中程度の雨を防げるとされる耐水圧です。
なお、リュックカバーは内部を完全に守るものではありません。貴重品・電子機器・シュラフといった、絶対にぬらしたくないものは、個別にビニール袋に入れるなどして防水対策を行いましょう。
参考:耐水圧・透湿性とは?合羽を選ぶ前に知らなきゃ損!|ユニネクマガジン
機能性で選ぶリュックカバー
長時間ずっと山にいる場合は、悪天候に見舞われやすくなります。泊まりで登山にチャレンジするようになったら、徹底的に防水にこだわったリュックカバーを選びましょう。
モンベル「ジャストフィット パックカバー 40L」
シンプルかつ高機能なリュックカバーを求める人におすすめのカバーです。『ハイドロプロコーティング』と呼ばれるモンベル独自の防水コーティングにより、高い防水効果を発揮します。
耐水圧は5,000mm以上となっているため、多少強い雨に見舞われてもリュックを守ってくれるでしょう。
サイズ展開は20~110Lと幅広く、たいていのリュックは適応サイズが見つかります。サイズ調整機能や排水穴も付いています。
- 商品名:モンベル「ジャストフィット パックカバー 40L」
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ミレー「レインカバー 30/40(エゾモモンガ)」
機能性にプラスしてデザイン性も追求したい人には、ミレーのレインカバーがおすすめです。耐水圧は2,000mm以上あり、ストラップでカバーをしっかりと固定できます。
最も目を引くのは、自然写真をプリントした華やかなデザインです。30~40Lのリュックに対応したカバーには、軽やかに飛ぶエゾモモンガがプリントされています。
サイズによってデザインが変わり、20~30Lサイズでは池・エゾリス・植物といったデザインが選べます。ほかのブランドではあまり見ないタイプなので、登山者との会話のきっかけにもなるでしょう。
- 商品名:ミレー「レインカバー 30/40(エゾモモンガ)」
- 公式サイト:商品はこちら
ミステリーランチ「フーデッドパックフライ M」
フードとリュックカバーが一体型になった、特徴的な形状をしたリュックカバーです。
スタンダードなリュックカバーはリュックのみを覆う形状になっていて、フードを伝った雨水がリュックと背中に入り込みやすいのが難点です。
しかし、ミステリーランチのリュックカバーは、カバーにフードを取り付けることで、この問題をクリアしています。
サイドも肩口から広くショルダーハーネスまで覆うように取り付けられるため、雨が心配な日の心強い味方になってくれるでしょう。
- 商品名:ミステリーランチ「フーデッド パックフライ M」
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人気ブランドで選ぶリュックカバー
有名なブランドのアイテムには、アウトドア好きな人々に愛用されているという実績と信頼感があります。安定志向の人におすすめのリュックカバーは、次の3点です。
ザ・ノース・フェイス「スタンダードレインカバー30L」
アメリカ発祥のザ・ノース・フェイスは、日本でも全国に約60店舗を構えており、アウトドアだけではなくタウンユースとしても人気の高いブランドです。
スタンダードな形状のレインカバーは、ロゴのみを配置したシンプルなデザインで、使う人を選びません。サイズ調整用のドローコードと固定ストラップ付きで、リュックにフィットします。
収納ケースはカラビナ付きです。リュックの外側に装着しておけば、急な雨にも手早くカバーを装着できるでしょう。
- 商品名:ザ・ノース・フェイス「スタンダードレインカバー30L」
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ミズノ「レインカバー」
東京都千代田区と大阪府大阪市住之江区に本社を構える、日本の代表的総合スポーツブランドです。多数のスポーツ用品やウェアの開発を手がけているため、若い世代から年配の方まで、幅広い層に知名度の高さを誇ります。
リュックカバーには、PUコーティングが施されたナイロン素材が使用されており、耐水圧は5,000mm以上です。ドローコードが付いているため、サイズ調整もできます。
ただし、スポーツシーンをメインに想定しているためか、サイズは25~40Lのリュックに対応したものしかありません。このサイズ範囲から外れる場合は、ほかのブランドから探した方がよいでしょう。
- 商品名:ミズノ「レインカバー」
- 公式サイト:商品はこちら
イスカ「ウルトラライト パックカバー M」
大阪に本社を置く日本のブランドです。シュラフの性能に定評があり、『シュラフはイスカ』というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
リュックカバーに使用されているのは、『シリコナイズド・コーデュラ』という名の素材です。コーデュラはナイロンの約7倍の強度があり、破れにくく摩耗しにくいという特徴があります。
コーデュラがもともと持つはっ水性に加え、シリコンコーティングが施されているため、はっ水性にも抜かりありません。装飾のない無地のデザインなので、ブランドロゴを強調したくない人にもおすすめです。
- 商品名:イスカ「ウルトラライト パックカバー M」
- 公式サイト:商品はこちら
環境に配慮したリュックカバー
近年では環境問題に声を上げる人も増え、エコ活動がスタンダードになりつつあります。次に紹介する3点は、環境に優しい素材を使用したリュックカバーです。
ドイター「レインカバー II」
ドイターのリュックカバーに施されているのは、PFC(フッ素化合物)フリーのはっ水加工です。
PFCはこれまで高いはっ水性があるとして多用されてきましたが、近年になって、PFCは環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があると心配され始めています。
ドイターの素材は、PFC使用品に比べるとはっ水性はやや劣るものの、70デニールのナイロンにPUコーティングとシームシーリングを施し、高いはっ水性を実現しています。
カラーバリエーションはクールブルーとネオンの2色展開で、視界の悪い雨の中でも存在感をアピールできるでしょう。
- 商品名:ドイター「レインカバー II」
- 公式サイト:商品はこちら
グレゴリー「レインカバー 30-50」
マイバッグやマイ箸が当たり前になりつつあり、リサイクルに意識を向けている人も多いのではないでしょうか。グレゴリーのリュックカバーは、リサイクルポリエステルを使用したエコなアイテムです。
30~50Lサイズのほか、50~80Lサイズもあるため、大容量リュックにも対応が可能です。背面に大きくプリントされたロゴはリフレクター仕様となっており、ライトの光を反射するため、居場所の特定に役立ちます。
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- 商品名:グレゴリー「レインカバー 30-50」
- 公式サイト:商品はこちら
フェールラーベン「レインカバー 40-55L」
フェールラーベンはホッキョクギツネのロゴで知られる、スウェーデン発のブランドです。2015年からPFCの使用をストップし、ブランドアイテムは全てPFCフリーの技術を駆使して製造されています。
青空を思わせる水色のリュックカバーに使用されているのは、はっ水性と耐久性を兼ね備えた70デニールのナイロン素材です。収納ポケットはカバーと一体型になっているため、紛失しにくいでしょう。
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- 商品名:フェールラーベン「レインカバー 40-55 L」
- 公式サイト:商品はこちら
軽さで選ぶリュックカバー
リュックカバーのような備えとして入れておく装備は、できる限り軽い方がベストです。晴れの日にも邪魔にならない、100g以下の軽量リュックカバーをピックアップしました。
カリマー「レインカバー 25-40」
素材に使われる90デニールのナイロンタフタは丈夫で軽く、PUコーティングではっ水機能も強化されています。
収納ケースにしまったときのサイズは約長さ16×幅7.5×奥行き5cmと大きいものの、重さは90gほどしかありません。ほとんど重さを感じないため、リュックに忍ばせていても負担にならないでしょう。
ショルダーハーネスにスナップで固定してドローコードを絞れば、リュックにぴったりフィットします。
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- 商品名:カリマー「レインカバー 25-40」
- 公式サイト:商品はこちら
オスプレー「ULレインカバー M」
シャドーグレー×イエローパイピングのカラーが、独特の雰囲気を感じさせるリュックカバーです。上部のバックルと腰部分のベルトでリュックにしっかり固定し、カバーのずれを防ぎます。
30~50Lに対応するMサイズのカバーは、重量わずか80gほどと超軽量です。収納ケースにしまうと手のひらサイズに収まるので、リュック内のスペースを取ることもありません。
また、自分のリュックが対応容量のちょうど境目だと、上下どちらのサイズを買えばよいのか迷うこともあるでしょう。オスプレーのリュックカバーに関しては、上のサイズを選ぶことをおすすめします。
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- 商品名:オスプレー「ULレインカバー M」
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ジャックウルフスキン「レインカバー 20-30L」
ドイツ生まれのジャックウルフスキンは、シンプルなデザインが魅力のブランドです。
レインカバーの耐水圧は約4,000mmで、強風や強い雨の中でもリュックへの浸水を防いでくれるでしょう。素材に使用されている75デニールのポリエステルは速乾性に優れています。
20~30Lのリュックに対応しており、重さは約70gです。なお、ジャックウルフスキンも2012年より、PFCフリーに向けて取り組んでおり、2020年にはブランドアイテムの全てがPFCフリーとなっています。
- 商品名:ジャックウルフスキン「レインカバー 20~30L」
- 公式サイト:商品はこちら
まとめ
登山に行くなら雨天時にも慌てないように、万全の体制を整えておく必要があるでしょう。これは自分のためだけではなく、同じく登山を楽しむ人々へのマナーでもあります。
リュックカバーは値段が高いからといって、十分な機能が付いているとは限りません。防水性の決め手となるのは、素材の強度・耐水性・コーティング加工です。
雨の日にも快適な登山を楽しめるように、必要な機能を備えているかどうかじっくり検討して選びましょう。