沼野さんがテンヤを落とす。私も慌てて用意するが、さっきのポイントで試していた「インチク」というルアーが付いている。群れは今、カヤックのすぐ下にいる。仕掛けを変えている余裕はない。「ま、これでいいか」とインチクを投入。直後、魚探から群れが消えた。
といっても、そう遠くへは行っていないはず。そう思ってカヤックであたりをぐるぐると探索すると、居た! すかさず再度インチクを落とす。着底したら、ゆっくり巻き上げる。うーん、何もないか。と思った矢先、ゴン!と物凄い勢いで竿先が曲がった。次の瞬間、大きく竿が曲がり、ギャー!!!というドラグ音と共にラインが出ていく。
なんだかわからないが、かなりの大物がかかったらしい。リールを巻く間もドラグ音は止まらない。「ヤバイヤバイヤバイ!」ひたすらそう叫びながらリールを巻くことしかできない。私の異変に気づいた沼野さんが近寄ってくる。「どうしました!?」と聞かれるが「なんかでかいのが来たみたいです! ラインが止まりません!」と動揺しまくる私。