名古屋は運転難度トップ?
東海道キャンピングカーひとり旅。今日は前回ご紹介した「RVパーク BondsCamper愛知瀬戸店」を拠点とし、待望の名古屋市内に出かけてみます。名古屋訪問は、ぼほ人生初です。
距離としては20km~30kmほどで、クルマなら「隣町」といった感覚ですが、朝夕は通勤で渋滞するそう。少し時間をずらして出かけました。
ところで、ドライバー用語に「名古屋走り」という言葉があるとか。愛知県が長年、交通事故死亡者数ワーストだったこともあり、名古屋独自の運転ルールやマナーを指すそうですが、イメージが一人歩きをしているという指摘も。
私はそのくだりをまったく知らず名古屋市内に突入したのですが、本当に、本当に、本当に運転が難しかった!
これまでいろいろな都市を走ってきて「渋滞と路上駐車に翻弄される東京都心」「狭すぎる街路に肝を冷やす京都市内」「ただの黒いアスファルトに見えて、実は路面がスケートリンクになっている盛岡市」などありましたが、運転の難しさでは名古屋がダントツです。
とは言っても、交通量が極端に多いわけでも、道が狭いわけでも、急カーブがあるわけでもありません。
「どの車線が、どの道につながるのかまったくわからない」という特殊なレーン構成なんです。たとえば右折車線のさらに右になぜか直進車線(基幹バスレーンだそうです)があったり……。「ナビのとおりに走れない!」というプチパニックの連続でした。
マナーの悪さを感じることはまったくありませんでしたが、私の知る限り名古屋は「日本一運転が難しい街」です。間違いない。
初めての名古屋観光
名古屋観光なら、まずは欠かせない名古屋城!周辺には「正門前駐車場」をはじめ、有料駐車場が点在しています。無事に到着してよかった。
名古屋城といえば「金のシャチホコ」が有名ですが、そんなのは序の口でした。復元された本丸御殿に入場できるのですが、城内はどこもかしこも黄金色でキッラキラのピッカピカ!まぶしい!!
どの部屋も壁一面の襖絵(ふすまえ)、天井絵、彫刻、装飾金具などで飾られ、もし私が城に招かれた人なら部屋にいながら美術鑑賞ができます。
本当に右を見ても左を見ても華やかな金の装飾で、絢爛豪華とはこのこと。一生分の金色を見た気がします。
元の建物は昭和20年の空襲により消失していますが、写真、実測図、戦時中に取り外されて保管されていた襖など、多くの史料が残っていたことから他に類を見ないほど忠実に復元できているそう。
公園内には「名古屋めし」を集めた飲食街「金シャチ横丁」もありましたよ。
そして市街はなんと表現すればよいか、ものすごくアーティスティックでおしゃれな街でした。優れた景観デザインで、どこを切り取っても絵になる。
スペースシップを思わせる近未来的な複合施設「オアシス21」や
全国のタワーで初めて、国の重要文化財に指定された「中部電力 MIRAI TOWER」
ずっと会ってみたかった名鉄百貨店の巨大なマネキン「ナナちゃん」!本当に大きいです。6mを超す身長だとか。服を着せ替えるのも大変ですね。
高層ビル群までもフォトジェニックで美しい。
もちろん他の都市にも「きれいな場所」「洗練されている場所」はあるのですが、名古屋の街並みは、どこか自信や主張があって堂々としている。史跡から空間デザインまで美意識の高さを感じる街でした。目の保養になりました。
もう一度食べたい「あんかけスパ」
昼ご飯の時間となりました。「名古屋めし」というひとつのジャンルを確立しているほど独自の食文化が花開いている名古屋。ひつまぶし、モーニング、味噌煮込みうどん、天むす、きしめん、味噌カツ、小倉トースト……郷土食からB級グルメまで数えきれないほどの名物があります。
とても1日や2日の滞在では制覇できないのですが、ぜひとも「あんかけスパ」を食べてみたい。クルマでも入りやすいローカルチェーン「パスタ・デ・ココ」に行ってみました。
「カレーハウス CoCo壱番屋」が名古屋発祥であることはよく知られていますが、愛知県、岐阜県、三重県にだけある、あんかけスパゲティ専門店が「パスタ・デ・ココ」です。
オーダーしたのは看板メニューの「ミラカン」(税込990円)!
「ミラカンって何語?」と思いますが、元祖とされるスパゲティ店「ヨコイ」のメニュー名「ミラネーズ」と「カントリー」を合わせた造語だとか。独自の固有名詞だったものが、そのレシピ全体を指すほどに一般化したのですね。
もっちもちの太麺に、ウィンナーがたっぷりで食べ応えあり。うどんかと思うような太さですが、コシがあって正真正銘パスタです。
実は私は酸味のあるトマト系のカレーやソースが苦手なのですが、まろやかでコクのあるスープが麺によくからむ!それでいて、どこかスパイシーな風味もあって食べ飽きない。
これは美味しかった。地元に戻ったいま「もう一度食べたい!」とよだれを垂らしている一品です。
ある夜の車内生活
ところで、観光地に来ているからといって、毎日のように有名店を訪ねたり、名物を食べたりできるわけではありません。そんなことをしては収入を支出が上回り、あっという間に破産してしまいます。
実際にはクルマの中でぼんやりとスマートフォンを眺めたり、コンビニエンスストアで買ってきた惣菜をつついたり……という地味な時間も多くあります。そんな一夜をご紹介。
名古屋観光に便利な「RVパーク BondsCamper愛知瀬戸店」ですが、山を背にし、民家もまばらな瀬戸市郊外に位置します。周辺に商店や飲食店はほとんどなく、コンビニエンスストアがあるくらい。
500mほどの道のりを、スマートフォンで足元を照らしながら歩いて行きます。「本当にコンビニある?」と疑い始めた頃に煌々(こうこう)と輝く照明を見つけました。暗闇の中に見慣れたロゴが浮かび上がり、ホッと一息。
クルマに戻ってモソモソとパンをかじり、温水の出る流し台で歯を磨きます。車中泊地の雰囲気によって車中で歯を磨いたり、外で磨いたりとさまざまなのですが、この日はすっかり安心しきってシンクを使わせていただきました。
時折、目の前の道路をクルマが走り去る音が聞こえるものの、基本的にはとても静か。地元の家族はどうしてるかなぁ、などとしんみりしつつ、今日も安眠……
と思ったそのとき。
車内でプーンと耳障りな超高音が襲ってきました。蚊です!
ドアを開閉するちょっとした隙に入り込んだようです。小さな身体から、どうすればこんなに大きな音が出るのかと思うほど響くモスキート音。
手を伸ばせば四方に届くほどの狭い車内。駆除は簡単かと思われましたが、フワフワと風のように軽い羽虫は捕らえがたく、また、死角も多い車内ではすぐに見失ってしまいます。
耳元で音がするたびに周囲をバッと見渡しますが、一向に姿を視認できない。しかも蚊は複数いる模様!
小さな虫を前にして、私は無力でした…。狭い車内に羽虫と閉じ込められるというのは、耐えがたいほど不快です。とても寝られません。
しかしドアを開けて追い出そうなどとしようものなら、出ていく蚊よりも入ってくる蚊のほうが多いことでしょう。そしてこのときの私は、虫除けスプレーのたぐいをいっさい持っていませんでした。
虫に出会うたび「今度こそ買おう」と思うのに、基本的に都市部で車中泊をする私は喉元過ぎれば熱さを忘れ、この原稿を書いている今日現在でも買っていないのです。なんという愚かさ。
最後の手段。扇風機を回し、枕の場所からクルマの後方に向かって強い風の流れを作ります。身体の軽い蚊は耳元まで来られないはず。願わくば、ずっと車内後方のトイレルームにいて欲しい。
この作戦が効いたのかどうかわかりませんが、なんとか眠りに落ちることができました。
よく夜のキャンプ場で、キャンピングカーの室内灯を照明代わりにかっこよく調理をしている“映え写真”などを見ると、「虫!虫!」と叫びたくなってしまいます。