『65センチの真鯛を釣った』のはいいが、どうやってさばこう。今回は用事があって帰宅を急ぐ必要があり、『スズキを釣った』ときのように「JIVA食堂」へお願いする時間的余裕がなかった。そのため持ち帰ってから考えようと思っていたが、頼みの綱であった漁港で働く知り合いのおっちゃんが不在で、自分でなんとかする他なくなった。
そこでYoutubeを見まくり、出刃包丁と金槌を使い、どうにかこうにかやってみることに。結果、見た目はそれほど綺麗ではないが、なんとかなった。何事も、やってみるもんだ。料理としては、身の部分は刺身で食べてもいいし、しゃぶしゃぶにしてもいいというハイブリッドなスタイルにしてみた。
とりあえずこの日は、友人4人を招いて、宴会スタート。昆布で出汁をとった鍋に、鯛の切り身を軽くくぐらせる。火の通り具合は、お好みで。それをたっぷりの大根おろしを入れたポン酢でいただく。こんなの美味くないわけがない。ちなみに、おろし汁は捨てずに鍋に入れる。こうすることで魚の臭みを抑える効果がある、らしい。
友人たちは、口々に「美味い!」と言いながらバクバク食べていた。自分で釣った魚をこうして友人たちに振る舞えるのも、釣り人ならでは。「今日はお前ら全員俺に敬語を使え」とか「お店だったら2万はする鯛だから金払え」なとど心の狭いことを言ってしまう私であったが。
そして、余った部分はアラ煮にしてみた(頭は家にあるどの包丁でも割れなかったのと、どの鍋にも入らなかったので調理できなかった)。煮る前に、90度くらいのお湯をかけておくのがポイント。あとの味付けはお好みで。私の場合はだいたい酒1、みりん1、しょうゆ1、水3、砂糖(ザラメ)適当の割合で、生姜も入れる。あとは味を見ながら調整する。
アラ煮は白米に乗っけると、さらに美味しい。この日はお米を2合炊いておいたが、あっという間になくなった。友人たちも大絶賛だった(敬語で)。いやー、大満足。
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穴澤 賢(あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。2005年7月から愛犬との暮らしを綴ったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイ、コラムなどを執筆するようになる。著書に「またね、富士丸。(集英社文庫)」、「明日もいっしょにおきようね(草思社)」、「また、犬と暮らして(世界文化社)」、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック「Another Side Of Music」(ワーナーミュージック・ジャパン)などがある。株式会社デロリアンズ代表。Blog:Another Days
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