環境性能に優れたクルマを生かすのは、ドライバー次第。
正しい運転技術と機能の使い方を心がけることで安全性も高まる。
そこで本誌クルマ連載「RV GARAGE」の記者・櫻井が編集・早坂にその極意を伝授する!
教官
記者・櫻井
教習生
編集・早坂
Q1 クルマに優しい運転をするための基本を教えて!
まずはシートに体をしっかり固定しよう
櫻「必要最小限の運転操作に努めることで燃費効率良く走れます。そのためには正しい運転姿勢を身につけましょう。シートに深く座り、ブレーキペダルを踏んでひざが少し曲がる距離に。両腕をハンドルの9時15分に握ってひじが伸びきらない距離に背もたれの角度を調節しましょう」
早「体がシート全体で固定され、細かな操作がしやすくなりました~」
Q2 楽な姿勢で運転すれば、自分にも環境にも優しい!?
シートから肩が離れない距離にハンドル位置を調節するのが鉄則!
櫻「腕が伸びきった状態で運転すると万が一の危険回避で動作が遅くなり、体に負担もかかります。Q1の姿勢で片腕をハンドルの12時に置き、そのとき肩がシートの背もたれから離れていない位置ならOK」。
早「肩を支点にハンドルを回せて、このほうが楽ですね」
Q3 丁寧なペダル操作をするにはどうすればいいの?
足の親指の付け根でブレーキを踏むのがコツ
櫻「ブレーキペダルの手前に右足を置き、親指の付け根で踏むと微細な加減で調節できます(写真上)。アクセルペダルを踏むときもかかとは同じ位置。つま先を外側に開いて操作(写真下)」。
早「これなら踏み間違いもしにくくなりますね」
Q4 アバウトなハンドル操作は燃費に良くないってホント?
そのとおり! ハンドルは"同じ位置"で回すことを心がけよう
流れるように回そう!
早「ハンドルの下のほうを握ったり、内掛け操作をしがちで、ハンドル操作がアバウトになって燃費にも悪影響を及ぼしている気がします」
櫻「無駄なハンドル操作で挙動が不安定になり、燃費に影響する可能性はあります。握る位置は常に9時15分。左に切るなら右手の手のひらで押すように回します。
回し続けて腕を持ち替えるときも、やはり9時15分。こうすることで舵角(ハンドルを切った角度)とタイヤの向きがリンクして操作ミスが減り、手のひらで前輪のグリップ力の変化を読みとることもできますよ」
Q5 アクセルペダルの踏み加減は何を参考にする?
視線を遠くにして道路状況を先読みしよう
櫻「運転中は視線を遠くにして坂やカーブ、クルマの動きなど、状況を把握。それに応じてアクセルペダルを常に微細に調節しましょう」
早「先読みすることで無駄な燃料消費を抑えられるんですね」
Q6 高速道路では何km/hくらいが燃費にいいの?
法定速度と周囲の流れに注意しながら80~100㎞/hを保とう
早「高速道路で燃費を稼ぐなら、ゆっくり走るのがいい?」
櫻「高速道路では最低速度が50km/hなので、それ以上で。丁寧なアクセル操作を心がけましょう」
Q7 タイヤは溝が深いほど燃費にもいい?
YES!
ただし溝だけでなく空気圧もチェックしよう
早「タイヤは溝が深いほどグリップ力が高くて燃費にもいいんですよね?」
櫻「はい。溝が減ると滑りやすくなり、わずかですが燃費にも影響をもたらします。なによりも危険だし乗り心地も悪いので、距離を走っていなくても3年経ったら交換が目安。5年経ったら要交換です。
さらに、規定の空気圧が保たれているかも大事。空気圧が下がると確実に燃費は悪化します。最低でも月に一度は空気圧をチェックしましょう」
Q8 ACCでクルマ任せにしたほうが燃費効率は良い?
賢く利用すれば燃費が1割以上良くなる可能性あり!
早「高速道路ではACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を設定して走るのが楽だし燃費にもいい?」
櫻「はい。車載カメラやレーダーで車間距離を制御するACCを使用すると、燃費効率が1割強良くなるといわれています。渋滞が多い週末の高速道路では疲労の軽減にもつながり、安全面でのメリットも大。ただし、あくまでも運転支援装置なので、状況に応じて賢く利用しましょう」
Q9 燃費効率の良いエアコンの使い方を教えて!
「オートモード」にしておくのが一番効率良し!
早「エアコンの温度設定は燃費にも関係あるんですか?」
櫻「温度設定も無関係ではありませんが、注意すべきは風量で、強いほど燃費は悪くなります。なので風量も自動調節するオートモードがベスト!」
Q10 これからの季節に気をつけたいことは?
冬場はエアコンだけでなく、シートヒーターを活用しよう
早「ハイブリッド車では暖房で燃費が悪化するって本当?」
櫻「暖房はエンジンの熱を利用するので、温度を高く風量を強く設定するとエンジン稼働率が高まり、燃費に影響を及ぼします(※)。風量を弱くし電装品のシートヒーターと併用しましょう」
※電動エアコンや電動ヒーターなどを装備するハイブリッド車は、暖房の使用による燃費への影響が少なくなっています。
※構成/櫻井 香 撮影/三浦孝明(車両) 撮影協力/日産自動車
(BE-PAL 2023年1月号より)