東京からアクアラインを使い、車で約1時間の千葉県君津市・亀山湖のほど近く。
そこに廃校を利用してできたキャンプ場があります。
「CAMPiece君津」
2020年3月に閉校した旧亀山中学校を再開発し、2022年5月にオープンしたまだ新しいキャンプ場です。
廃校で行うキャンプにはいったいどのような良さがあるのでしょうか?
同キャンプ場で校長(代表)をつとめる榎本真也さんにインタビューを行いました。
取材を行っていくと、CAMPiece君津には、
- 子供も大人もワクワクできる
- 初心者、家族連れはもちろんベテランも楽しめる
- キャンパー友達ができやすい
- 地元のよさを堪能できる
などのユニークな点が次々と見つかってきました。
この記事では、取材の様子を通じてその魅力を詳しく紹介します。
廃校ならではの個性あるキャンプ場
廃校キャンプ場であるCAMPiece君津では、グラウンド(校庭)だった場所がキャンプサイトとなっており、利用者はそこにテントを張って過ごします。
そして、宿泊客は校舎だった建物も利用可能。
受付、売店、トイレ、シャワーなどのキャンプ場に一般的な設備の他に、以下のような学校ならではのスペースもあり、自由に出入りできます。
体育館ではバドミントンやバスケ、玉入れなども自由にできますし、シアタールームではプロジェクターで映画鑑賞ができます。
また、見覚えのある実験器具の数々が揃う理科室などは、見ているだけで懐かしく、ツアーのように巡るだけで楽しむことができます。
※シアタールーム、シャワーは別途料金が必要です
このように、他にはないコンテンツが数多く揃うCAMPiece君津ですが、この場所でのキャンプを最大限に楽しむにはどのようにして過ごせばいいのでしょうか。同キャンプ場で校長(代表)をつとめる榎本さんに、その魅力を詳しく伺いました。
子供だけではない、大人もワクワクできる
── 学校で寝泊まりするということは、なかなか出来ない珍しい体験だと思います。学校でキャンプすることの特に魅力的な点は何だと思いますか?
「大人も子供もワクワクできるところですね。」
── お子さんだけでなく、大人もワクワクできるということがポイントですね。
「はい。大人のお客さまにとっては学校は懐かしい場所で、それぞれに色んな思い出もあると思います。楽しい思い出もあれば、切ない思い出もあるでしょうし、色んなやんちゃをされた方もきっと少なくないですよね(笑)。一方お子さんは、普段の学校でこれだけ好きに走り回ったり、黒板に自由に落書きしたりできないはずです。大人と子どもがそれぞれに、あるいは一緒になって、みんなが楽しめるのは私たちのキャンプ場ならではだと思います。」
── 確かに。子供向けの遊具を使って、大人が子供に合わせる形で一緒に遊ぶことはよくあると思いますが、この廃校キャンプ場は大人も忖度なしで純粋に楽しめるのがすごいですよね。子供だけでなく、大人の「楽しい」もきちんと成り立って、両立している。
「そうですね。そういう意味では家族連れのお客さまだけでなく、仲間内で来た方々にも『すごくよかった』というお声をよくいただきます。卒業してから学校の中に入る機会はほとんどなくなるので、レアな体験という意味で満足度が高いのだと思います」
── 私も先ほど見学させてもらいながら、つい、はしゃぎ気味になってしまいました。学校に入ることもそうですが、「“夜の”学校で過ごせる」という点も体験の希少性を高めていそうですね。
「それもありますね。今までできなかった体験ができるところに価値を感じて頂けているのかと。ちなみに、ここの校舎はきれいなので、夜も学校の怪談のような怖さはないので安心してください(笑)」
── 廃校での夜のおすすめの過ごし方はありますか?
「校舎の中以外だと、グラウンドを使ったテントサイトは木などの遮蔽物もなく、街灯もないので、空が広く星が本当にきれいに見えます。周囲は自然に囲まれていてすごく静かですよ。」
キャンパー友達ができやすいキャンプ場でもある
CAMPieceを運営しているのは株式会社運動会屋という企業です。名前のとおり、実は運動会の企画や運営が本業。その本業を活かした取り組みによって、キャンパー同士が交流しやすい環境があることもわかりました。
──運動会事業がキャンプ場の運営に活きている部分はありますか?
「運動会の道具が揃っているので、毎週土曜日にお客さまを集めて綱引き大会などを開催しています。」
──綱引きですか?
「はい。そこで子どもたち同士が仲良くなったり、大人同士でも繋がったりされているようです。南足柄(神奈川県)にもCAMPieceの拠点があるのですが、そこで仲良くなったご家族同士がここCAMpiece君津へキャンプに来られたこともありました。今月もいっしょに来場されるご予約が入っていますよ」
── 素敵ですね。他のキャンプ場にはないユニークな点だと思います。ユニークといえば料金プランの中にある「お手伝いプラン(*2時間程度キャンプ場の作業を手伝うことで料金が格安になるプラン)」も珍しいプランですよね。このプランではどんなお手伝いをするんですか?
「校舎内のお掃除だったり、芝刈り機をかけてもらったり。あと木の伐採などですね。」
──木の伐採ですか!?
「あ、いえ、チェーンソーで大木を切り倒すわけではなく、小さい枝の剪定ですよ(笑)。でもお客さまの中には、『言ってくれたら(チェーンソー)持ってきたのに』とおっしゃってくれる方もいらっしゃいました(笑)」
──(笑)。色んな方がプランを利用されてるのですね。このプランの利用者同士でも交流が促されそうだと思いましたが、どうでしょうか?
「おっしゃるとおりですね。この間も、別々に来られた3人の方にお手伝いプランをご利用いただいたのですが、いっしょに作業していただく中で意気投合されていました。来た直後はそれぞれ離れたところにテントを張っておられたのですが、夜にはいっしょに焚き火にあたって談笑されていました。」
──いい話ですね。キャンプという共通の関心事もあって仲を深めやすいという面もありそうです。
「そう、仲良くなれる土台は既にあるんですよね。最後のひと押しとなるきっかけを私たちで提供できているのであれば何よりです。」
──キャンパー友達が欲しくても、そのきっかけが無くて困っている人も多いので、とても意義のあることだと思います。
「ここで出会ったお客さま同士が楽しそうに交流されているのを見ると、私たちも心の底から嬉しくなります。」
「どんな人でも楽しめる」と自信を持って言える
──とても特徴的な点が多いCAMPiece君津ですが、どのような方に来ていただきたいですか?
「どんな方でも楽しめると自信を持って言えます。例えば、グラウンドは平らなのでテントを張りやすく初心者の方にも安心です。校舎があるため、急な悪天候のときに避難できる安心感もあります。加えて、屋内でできることも多いこともあって、週末の予報が雨でもキャンセルされるお客さまは少ないですね。」
──初めてのキャンプで不安も多い初心者の方にはうってつけですね
「先程申し上げたとおり廃校キャンプ場ならではのよさもあるので、ベテランの方にも新鮮な体験をしていただけると思います。校舎内の保健室でおむつ交換や授乳もできますので、小さいお子さんがいるご家族も安心して来てほしいです。元気ざかりのお子さんとスタッフが遊んでいる間に、テント設営を済ませておられるお客様もよくいらっしゃいます(笑)」
──すごい、本当にどんな人にも優しいキャンプ場ですね。人に加えて、環境にも配慮されており、今年10月には「ちばSDGsパートナー」の認定を取得されています。どのような取り組みを行われているのですか?
「地産地消の推進、地元の間伐材を利用した薪、環境に配慮した洗剤とヘチマスポンジ、リサイクル品の活用などを評価していただきました。また、CAMPiece南足柄での取り組みですが、インクルーシブ親子キャンプといって介護が必要なお子さんが参加できるキャンプのイベントも開催いたしました。宿直室や保健室を備えている廃校キャンプ場だからこそ開催できたイベントです。人でも環境でも、あらゆるスポットに目を向けて、配慮が行き届くよう心がけています。」
地域とともにキャンプ場を活性化させる
──今後はどのようなキャンプ場を目指していかれますか?
「地域とのつながりを深めながらキャンプ場をもっと活性化していきたいです。実は私はこの学校の卒業生で、ここ亀山は故郷でもあるんですよ。」
──なんと、この学校の卒業生なのですね。
「はい。元々は鉄道会社に勤めていたのですが、キャンプ場がオープンするタイミングでUターンしてきました。以前から地元で働きたい気持ちがあったんです。ですので、この地域の良さを知ってもらって、もっと活性化させたいという思いがあります。それとキャンプ場の活性化をうまく結び付けられればと思っています。」
──具体的にはどのような取り組みを行っていくのですか?
「例えば、地元の農産物や特産品を売店で販売します。こちらは少しずつ始めていますね。かすみがうら(茨城県)の拠点ではレンコンが特産品で、それを農家さんから直接仕入れて販売しています。100円でうんと大きくて新鮮で美味しいので、社内の人間も霞ヶ浦に出張するときは必ず買って帰るそうです。横芝光(千葉県)の拠点では地元で有名なネギを、宿泊客の皆さんに配って回ったこともありました。」
──野菜はバーベキューで使う人も多いでしょうし、遠出したときはその土地のものを食べたくなるのでキャンパーにとっては嬉しい取り組みです。
「あとは、地域を盛り上げるためのイベントをこのキャンプ場で行いたいです。そのイベントを通じて地域の人とキャンプ場のお客様が交流できるようにしたいですね。」
──この地域出身の榎本さんであれば、地元の方々の後押しも得られやすそうですね。
「はい。ありがたいことにUターンしてきた私を気にかけてくださる方もたくさんいらっしゃいます。個人的なつながりも活かして、この地域の出身者だからこそできる地元を巻き込んだ取り組みを行っていきたいです。」
初心者からベテランまで。そして、ファミリーでも仲間内でも楽しめる、廃校キャンプ場「CAMPiece君津」。
キャンパー同士の交流や、地域との関わりも深い、とてもユニークなキャンプ場でした。
アクアラインを使えば東京から車で1時間ほどで、JRの駅も近く鉄道でもアクセスできます。気になった方はぜひ足を運んでみてください。
お問い合わせ
CAMPiece君津
〒292-0532
千葉県君津市坂畑223-1 旧亀山中学校・旧坂畑小学校
電話:080-6270-3096
HP:https://campiece.com/area/kimitsu/