「ちろり」といえば酒のお燗に使う容器ですが、これで牡蠣を茹でてしまおうという型破りの料理です。しかし、蓮池陽子さんにいわせると、このやり方が理にかなっているのだとか。「牡蠣のような貝類は火を通しすぎると硬くなります。湯せんのほうが茹ですぎを防げて、ふっくら仕上げることができるんです」。といいながら、陽子さんはちろりの中に牡蠣と昆布を入れて、吟醸酒を惜しげもなく注ぎます。「料理酒ではなく、おいしいお酒を使ってください。いいお酒を使わないとおいしくなりません」。余った酒は瓶のままちろりのとなりで湯せんします。
牡蠣はプリプリしてきたら食べごろ。箸でつまみつつ、お燗された酒を飲みます。酒を吸った牡蠣に酔い、また酒にも酔う。至福の時間ではありますが、牡蠣を食べつくしたら「みそスープ」になりません。2~3個残しておいて、締めのみそ汁にします。要するにお湯を少し足してみそを溶いて、青ねぎをかけます。昆布と酒と牡蠣のエキスがみそと一体となって体に流れ込んでいく幸福感。ぜひ体感してください。
みそ大好き、アウトドア大好きの蓮池陽子さんによる「ソトみそスープ」は、Facebookの「みそパル」でも月に4回公開中です。その中から厳選したメニューを『BE-PAL』本誌奇数月発売号(次回は5月9日発売の6月号)でも紹介しています。こちらもお楽しみください。
【陽子さんのソトみそスープ 第19回 牡蠣のおみそ汁】
材料(1~2人分)
牡蠣…10粒
塩…適量
日本酒…牡蠣がかぶるぐらい
昆布(5cm角)…2枚
すだち…適量
青ねぎなどの薬味…適量
米みそ…適量
作り方
1、ボウルに牡蠣を入れ、塩と水少々(分量外)をまぶして優しく混ぜながら汚れを取り除き、真水でよくすすぐ。
2、ちろりに牡蠣、昆布、酒を入れて湯せんで加熱していく。ときどき箸で様子を見ながら牡蠣がプリッとするくらい中まで火を通す(牡蠣はそのままつまみで食べても良い)。
3、牡蠣と汁を適量シェラカップにとり、お湯(分量外)を注ぎ、米みそを溶いて青ねぎなどを加える。好みですだちを搾ってどうぞ。
協力:みそ健康づくり委員会