過酷な暮らしで個体が減少中!? 謎に包まれるマダイの生態を海中写真で観察してみた
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    2023.01.30

    過酷な暮らしで個体が減少中!? 謎に包まれるマダイの生態を海中写真で観察してみた

    鹿児島を拠点に活動するダイビングショップのスタッフが、海中の魅力をお届けします!

    マダイのシーズンが到来

    親しみのある魚、鯛。昔から縁起ものとされ、お祝い事で食べることがあります。皆さんも親しみのある魚かと思います。そんなマダイの大群が昨秋から鹿児島県の錦江湾(鹿児島湾)沿岸で確認されています。

    その数、数万匹という多さです。

    錦江湾では冬~春、マダイ釣りのシーズンになります。今シーズンは豊漁なるのか気になるところですが、何故、マダイがこれほどまでに集まっているのか分かっていません。

    マダイの大群を観察してみることにしました。

    桃色の体色が美しいマダイ(全長25cm程)。

    今回のマダイは全長15~30cmの若い個体が多く見られます。

    大群で回遊する真鯛。

    マダイは水深10m程の海底の岩場に群れで居着いているようです。

    大群のマダイは天然?養殖?

    観察を続けていると、このマダイは天然なのか?または養殖の真鯛が逃げ出したのか?放流したものなのか?話題になりました。そこで真鯛の天然と養殖の違い調べてみました。

    真鯛の顔、目の右横に穴が2つ空いている。 

    鼻腔隔皮(匂いを嗅ぐ感覚器)と言われるマダイの鼻の穴が天然は2つ(両方で4つ)養殖は1つ(両方で2つ)になるようです。今回のマダイは鼻が2つ(両方で4つ)の個体が多く見られ、天然と思われる個体ばかりです。

    黒い縁取りも綺麗に見え美しいマダイの尾ビレ。

    養殖のマダイは網に入り泳いでいるので、尾が切れていたり、ボロボロになっていたりします。
    天然のマダイの尾ビレは形が綺麗だと言われています。

    真鯛の暮らし

    観察を続けていると、マダイの不思議な行動を目にしました。

    海藻を咥えるマダイ。

    マダイは雑食性の魚ですが、主に甲殻類や小魚を食べています。群れをよく見ていると、多くの個体がお腹が凹んでいて痩せています。真鯛が居着いている岩場は、数万匹の真鯛たちがお腹いっぱいになる程の食べ物があるようには思えません。マダイ同士で食べ物を奪い合うような様子が見られました。

    流れてきた枝を取り合うマダイ。

    空腹なのでしょうか?食べ物ではない落ち葉や枝、浮遊するものをなんでも咥えようとします。当然ながら食べ物ではないと気付くと口から吐き出します。 

    威嚇するマダイ。

    食べ物を探す為に砂を口で掘っていた真鯛の周りには他の真鯛が「そこに食べ物があるの?」という雰囲気で集まってきます。掘っていた真鯛は「こっちに来ないで!」と威嚇します。せっかく食べ物を見つけてもゆっくり食べる時間はなく、他のマダイに奪われるなど争いが絶えない様子です。

    流れに逆らい同じ向きに並んで泳ぐマダイ。

    マダイの大群を観察していると空腹に耐えたり、食べ物を取り合ったりする様子が見られ過酷な暮らしのように見えます。他にもマダイの大群を捕食しようと、大きなカンパチが回遊したり、海底には大きなヒラメが潜んでいたりする姿も見られるようになりました。捕食されたり食べ物が少なかったりすることが原因なのか、真鯛の個体数は少しずつ減ってきているように感じます。

    今回、マダイの大群について書きましたが、「魚の大群」と聞くと、喜ばしい気持ちになる方も多いと思います。しかし海中では生きようとする魚たちの懸命な姿があります。そんな魚たちのことを、少しでも多くの方に知ってもらいたと思っています。魚を食べるときは残さず美味しく食べてあげたいですね。

    今後もマダイの大群がどう変化して行くのか観察を続けたいと思います。

    撮影協力: ダイビングショップSB 

    ~陸編~

    豊かな錦江湾(鹿児島湾)に影響を与える活火山・桜島です。今シーズンは例年より早い冠雪が見られました。海水温と気温の差もあり、大きく毛嵐が立ち上がります。

     

    私が書きました!
    自然・水中フォトグラファー
    射手園 芽 (イテゾノ メイ)
    鹿児島県南九州市出身。 鹿児島市「ダイビングショップSB」の現スタッフ。 地元、鹿児島を拠点に海中の魅力を日々発信中。 休日は身近な自然写真の撮影活動。 南国鹿児島に住みながら夏はエアコンなし扇風機のみ、冬は暖炉とこたつで生活するアウトドア好き。

     

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