京都で車中泊は可能?
大都市の例にもれず、京都もまた慢性的な渋滞や駐車場不足に直面する街と言えるでしょう。観光バス駐車場を除くと、大型キャンピングカーを停められるような広い敷地の駐車場に乏しいほか、安くはない駐車料金がかかることがほとんど。
しかしそんな京都にも昨今のキャンピングカーブームとともに、じわじわと車中泊スポットが誕生しています。なかには「穴場」と呼べるようなスポットも!実際にキャンピングカーで何度も京都滞在している私が選んだ、おすすめ車中泊スポットを3か所ご紹介します。
RVパーク京都南 鴨川RVサイト
まずは利便性も知名度も抜群、キャンピングカー製造・販売「VANTECH(バンテック)」が運営する「RVパーク京都南 鴨川RVサイト」があります。
“創業100年くらいでは老舗じゃない”なんて言われる京都ですが、京都市内の車中泊スポットとしては最古参と呼んでいいのではないでしょうか。
場所は京都市の南部、伏見区にあります。JR京都駅や嵐山といった観光地からは少し離れていますが、バス停至近で公共交通機関ならどこへでも出かけられる立地。名神高速「京都南IC」からも近いため、京都市内の運転に自信がない場合も安心です。
現在のように非対面・非接触サービスが一般化するずっと以前から、インターネット予約&コインパーキング式の無人営業を採用。
24時間いつでも入出庫ができるため、予定が定まらないときも利用しやすいです。一方で、入浴や食事など短時間でも出庫のたび精算が必要となるほか、外出中に他車が入庫して満車となるケース(予約なしサイトの場合)もあります。自分のサイトをしっかり確保したい場合は、後述する予約サイトがおすすめです。
敷地内には男女別のトイレはもちろん、水道、ダンプステーション、汚物タンク洗浄機、飲料自動販売機、コインランドリー完備。ゴミ処理も可能です。
少し珍しい施設として、時間制のコインシャワーも。車中泊の長旅で必ず直面する、ゴミ・排水・洗濯などの問題がここ1か所で解決します。欧米のような完結型の車中泊スポットで、国内では先駆的と言えるでしょう。
駐車スペースは、インターネット予約が必要な電源付・芝生サイトと、予約不要の一般サイトがあります。
前者は駐車料金に加えて予約料が別途かかるほか、希望に応じて1時間100円の電源利用料が必要です。それらの合計が必要経費となりますが、連休などの混雑時でも自サイトを確保できるのは大きな魅力です。
予約不要の一般サイトは先着順です。電源がなく、また時期によって利用可能台数が変動しますが、リーズナブルに利用したい場合はこちらになります。私の所感ではまだ「争奪戦」というほどではないものの、以前に比べて予約なしサイトも満車になることが多くなったように感じます。
近隣には「CoCo壱番屋」「マクドナルド」「スシロー」などのロードサイド店が多数。コンビニエンスストアもあり、生活に不便はありません。日中は隣接する「バンテック京都」のスタッフが出入りすることや、防犯カメラなどのセキュリティで治安の不安もなく、あらゆるユーザーにおすすめできる高規格RVパークです。
施設詳細
- 名称:RVパーク京都南 鴨川RVサイト
- 住所:京都府京都市伏見区中島河原田町62
- 料金:入庫後30分無料、以後30分毎に100円(24時間最大3000円)
- 台数:予約サイト4台、一般サイト2~10台
- 備考:100V電源1時間100円、予約料1時間40円
スーパー銭湯「伏見 力の湯」
続いては、Carstay(カーステイ)からスーパー銭湯「伏見 力の湯」です。過去記事でもご紹介したCarstayは、バンライフの普及・振興を目的とした、急成長中のカーシェア&スペースシェアのサービスです。
実は「伏見 力の湯」は前述の「RVパーク京都南 鴨川RVサイト」からも近く、以前からキャンピングカーユーザーにはお馴染みの温浴施設ではないかと思います。私もよく近鉄・地下鉄竹田駅からの帰り道に入浴利用していました。
もとからある利用者駐車場のうち、現在3台が車中泊可能なスペースになっています。場所は施設裏手の「第三駐車場」で、そのエリア内であればどこでも駐車可能。電源設備はありません。
魅力はなんと言っても温浴施設であること。入館料が別途必要になりますが、汗をかくくらい観光して、大きなお風呂に入ったらそのまま就寝、という理想的な滞在が実現します。閉館時間ギリギリまで施設で過ごして、就寝だけ車内というのもいいですね。
周辺は「ふしみ広場+(プラス)」という複合施設になっており、レストラン、農産物直売所、コインランドリー、スポーツ施設などを併設。とりわけ大型のコインランドリーは助かります。
駐車場内には独立したトイレがあり、「伏見 力の湯」に入館せずとも利用できます。ただし夜間は閉鎖。閉館時間後は「伏見 力の湯」にも入れないため、トイレのないキャンピングカーや普通車は注意が必要です。
複合施設の一角ということで人の出入りも多く、車中泊に特化した施設ではありませんが、そのぶん価格はリーズナブルで穴場と言えるスポットです。
施設詳細
- 名称:スーパー銭湯「伏見 力の湯」
- 住所:京都府京都市伏見区竹田青池町130
- 料金:1泊1台1500円
- 台数:3台
- 備考:入浴料別途
Mobility Park@新大宮広場 くるま旅ステーション by Van LIfe COYOTE
最後に、こちらもCarstayが仲介する「Mobility Park@新大宮広場 くるま旅ステーション by Van LIfe COYOTE」です。
場所は京都市北区。新大宮商店街のなかほどに位置する「新大宮広場」の一角となります。周囲はまさに古き良き時代を思わせる商店街。食べる、飲む、買い物する、銭湯に入る……すべてが徒歩で実現する立地です。
さらに自転車で15分以内に世界遺産が3つもあるとか。陰陽師・安倍晴明公ゆかりの清明神社や、多くの重要文化財をもつ大徳寺にも行きやすく、歴史好きな人へもおすすめできるロケーションです。
レンタルキャンピングカーによる手ぶら車中泊体験のほか、移動販売カーが出店しているなど多目的スペースとして活用されています。京都市内で乗り降りできるシェアサイクルのポートもあり。
敷地内にはパスワード管理式のトイレ棟を完備。非常に手入れが行き届いて清潔で、かつ決まった人しか解錠できないため深夜でも安心して使えました。
それとは別に屋外水栓もあり、自炊派にも便利です。
駐車スペースの背後には芝生スペースとピクニックテーブルがあり、夜には照明もつきます。屋外にもかかわらずWi-Fiや電源完備で、たまった仕事を片づけるのに大助かり。
『ドラえもん』の世界のように、かつて日本中あちらこちらにあった空き地。本当は当時だってどこも所有者がいて、万が一事故などあったら管理上の責任が発生するのでしょうが、ときに子どもの遊び場になり、ときに広場になりと、ゆるやかな時代がありました。
そんな空き地が現代に再生したような、地域の “たまり場” として機能する温かいスペースです。一方、車中泊専用施設ではないことから想定外のハプニングもありました。
放課後には地域の小学生の集合場所になっている様子で、子どもたちの元気が爆発。エネルギーのあり余った小学生男子のパワフルさはご想像のとおり。昼寝や読書は難しいと思うほどの賑やかさでした。
ただし夜は一転して、大変に静かでした。商店街の片隅に、そっと間借りするような地域密着の車中泊スペースです。
施設詳細
- 名称:Mobility Park@新大宮広場 くるま旅ステーション by Van LIfe COYOTE
- 住所:京都府京都市北区紫竹西桃ノ本町60番地4
- 料金:1泊1台3000円
- 台数:2台
- 備考:100V電源1泊500円
それぞれに特色ある3施設
キャンピングカーを1か所に駐車して公共交通機関で移動することを想定した場合、もっとも便利なのは竹田駅から徒歩数分のスーパー銭湯「伏見 力の湯」でしょう。ただし夜間はトイレがないことに注意が必要です。
通行者の視線が気にならない広々とした駐車区画に本格的なダンプステーションと、キャンピングカーに最適化された設備があるのは「RVパーク京都南 鴨川RVサイト」です。老若男女や車中泊経験を問わず、すべての人に安心して推奨できます。
気ままに散策しながらお惣菜を買ってクルマに戻るなど、情緒ある商店街の暮らしに溶け込みたいなら「Mobility Park@新大宮広場 くるま旅ステーション by Van LIfe COYOTE」がおすすめです。ぜひ好みや目的によって使い分けてみてください。