スノーピークから5年ぶりの新型エントリーモデル「ランドネスト(LANDNEST)」が幕張メッセで開催された「TOKYO OUTDOOR SHOW 2023」にて発表されました。
2018年に発売された「エントリーパックTT」以来の発売となるのはエントリーキャンパー向けのタープとテント。従来のエントリーモデルではベージュのカラーでしたが、グレーをベースにし、自然に馴染み、他のギアを際立たせる色を採用しました。カラー名は「フィールドアッシュ」とし、今回初めて使われています。
ランドネストの開発背景と狙い
今回のエントリーキャンパー向けテントの開発担当、スノーピーク 企画開発本部 Gear企画開発課 エグゼクティブクリエイターの金子紘大さんによると、
「“新しいエントリーテント”のプロジェクトがスタートした時、初めてキャンプをする人だけでなく、既にキャンプをしている人に対しても、初めてのスノーピークのテントとしても選んでもらえる製品を作りたいと考えました。より多くの方が欲しくなる製品を目指して開発を進めてきました。
まず初めに初心者が安心できるテントに必要な要素は何かを考えました。私がキャンプを始めたばかりの頃、テントの設営で失敗したことや難しいと感じたことを思い出しながら、それらの問題を解決するために、ランドネストに取り入れた解決策が『自立型のフレーム』、『前後方向の無いフライシート』、『取り付け間違いが起こりづらいフレーム』などです。
次にエントリー層以外の方も欲しくなるテントには、何が必要かを考えました。『メッシュ窓をつけて通気性を向上させよう』『これまでのスノーピークになかった新色を取り入れよう』『吊り下げ式インナーの利点を生かし、ソロ用のシェルターとして使えるオプションを出したら面白そうだな』。
このような感じで今度は“今の自分”が欲しくなる要素を上げていきました。そして、使用感、コスト、強度、その他細かい箇所を調整しながら辿り着いたのがこのテントです。多くの方にランドネストを使用してキャンプを楽しんでもらえたら幸いです」。
前後を考えず感覚的に設置できるアウトフレーム構造
「ランドネスト」の名称は、テントの『巣(NEST)』のなかで鳥の親子が仲良く過ごしている様子に似ているということで、「大地の巣」を意味して付けられたそう。
エントリーモデルというと、ラインナップのなかでも「安い」というイメージが先行してしまいますが、「初心者がつまづくポイントの解消」「設営のしやすさ」「居住性の良さ」にこだわったといいます。スノーピーク Gear開発課の朝倉良太さんが、会場で詳細を説明してくれました。
「このテントはY字フレームを採用したアウトフレーム構造となっており、自立するまでがスムーズに設営可能です。前後左右対称になってるため、位置さえ決めてしまえばインナーテントの取り付けに迷うことが少ないので簡単なのもポイントです」
一般的に安いテントにするためにパーツを省いている商品もありますが、設営しやすさを実現するために、パーツを大きく3つにシンプルに構成。まずアルファベットの「A」の形に近いフレームと背骨を構成するフレームを接続するだけで設営でき、そこにC型のフレームで居住性を確保したシンプルステップで設営が可能に。骨組みごとにペグを打つのではなく、形成したあとでいいので、初心者でも簡単にバランスよく設営できるのが特徴です。
「この構造は弊社の商品では実はプロモデルに使われていた構造で、エントリーモデルではありますが、設営しやすいというところも意識して作っています」
側面には三角のメッシュをつけることで、夏でも快適に過ごすことができる構造に。天井も最大でインナールームに入る部分で高さ160㎝あり、靴を脱ぎ履きする際に無理がない余裕をもたせています。また、オプションとして「ランドネストドーム インナーソロテント」(26400円・税込み)も用意。これは、家族とは別に一人でキャンプに行く際に使い分けができるように作られています。
「一般的にこのようなヘキサ型と呼ばれるタープは内部の有効面積が狭くなってしまいますが、ランドネストは曲線で構成しつつ有効面積が広げられるようにサイズやふちの長さ、曲線の形状も工夫しています」
発売時期は「ランドネストM」テントタープセットは2023年5月頃より順次発売。「ランドネストS」テントタープセットは7月頃を予定しています。
取材・文/北本祐子