僕らの外遊びスタイルがもうすぐ変わる!? 世界のエコカー最新事情とは
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    2023.01.27

    僕らの外遊びスタイルがもうすぐ変わる!? 世界のエコカー最新事情とは

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    世界各国のメーカーがEV開発にしのぎを削る現在。「最新エコカーはEV一択になる!? 自動車メーカーが考える外遊びの未来」に続き、日本を含むグローバルな視点で、各社の取り組みを紹介しよう。

    日本

    TOYOTA

    トヨタは「マルチ戦略」でカーボンニュートラルに挑む

    ハイブリッドとPHEVをラインアップした新型プリウスを発表し、話題となったトヨタ。一方で「まだハイブリッドなの?」と、EVシフトへの遅れを心配する声もある。しかし、昨年末にEVの世界戦略を発表した際に豊田章男社長は「多様化した世界では、ひとつの選択肢だけですべての人を幸せにすることは難しいと思います」と語っている。トヨタブランドだけでも170以上の国や地域で約100車種のエンジン車、ハイブリッド、PHEV、FCEVを投入してきただけに、国や地域の事情に合わせて多くの選択肢をそろえる「マルチ戦略」の必然性を説いた。その上で2030年までには30車種のEVを展開し、さらに世界全体で乗用や商用の各セグメントにおいてフルラインでバッテリーEVをそろえる計画だった。しかし、予想以上の速さで進むEVシフトによって、トヨタは早くもEV戦略を見直さなければならない状況に陥っている。この変化に素早く対応できるかどうかが、トヨタのEV戦略の成否を分けることになるかもしれない。

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    トヨタブランドに加え、90以上の国・地域で約30車種のエンジン車、ハイブリッド車、PHEV車を擁しているレクサスブランド初のEVも発表。2035年にはグローバルでバッテリーEV100%を目指すとしている。

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    「未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切」と話していた豊田社長。EV戦略の変更も織り込み済みか。

    Honda

    ソニーとのタッグで"テスラ超え"も夢ではない!?

    ソニーが2020年にアメリカの電子機器展示会CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)にEVのコンセプトカーを出展し話題になったが、その実現性に疑問符がついていた。ところが今年に入り、ホンダとソニーが出資してEVを共同で開発・販売する新会社「ソニー・ホンダモビリティ」(SHM)を設立。2025年に販売予定で、世界で人気となりそうな国産EVの誕生に期待が膨らむ。一方で、ホンダの独自性が消えてしまうことを危惧する声もある。

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    2020年に発表されたセダン型のEV「VISION-S 01」(右)と、今年発表のSUV型EV「VISION-S 02」が初期モデルの予定。

    MAZDA

    現時点でEVは昨年発売の1車種のみ

    現在、マツダのEVは昨年発売されたMX-30EVの1車種だけ。昨年発表した「2030年にEV販売比率を25%とする」という目標を11月に「最大40%」とさらに上げたが、いささか心許ない状態だ。今後は、2022〜2025年でEVを3車種投入し、2025年以降はEV専用プラットフォームを採用した複数のモデルを展開予定。さらにEV以外にハイブリッド5車種、PHEV5車種を開発中で、早く次のEVの新車種を見たい。

    MITSUBISHI

    軽EV、PHEVが好調もルノー、日産の協力が不可欠

    2009年に世界で初めて量産型EV「i-MiEV」を発売して先行していたものの、近年はルノー、日産とのアライアンスの中で存在感が薄かった三菱。今年初めにサプライチェーン全体で2050年までにカーボンニュートラル実現を目指すことを表明した。その後、日産との共同開発による軽EV「eKクロスEV」のヒットや、アウトランダーを始めとしたPHEVが好調だが、アライアンスの力を借りざるを得ない状況から脱却できるか。

    SUZUKI・DAIHATSU

    軽EV戦国時代が2025年までに到来!

    日産サクラ/三菱eKクロスEV(共同開発の兄弟車)の登場で一気に注目度が上がった軽EV。そこにダイハツやスズキが、2025年までに本格参入しそうだ。今年3月にはスズキの主力市場であるインドで、EV用バッテリー工場に約1500億円を投資すると発表。ダイハツも車載電池の世界最大手である中国CATLとEVの電池供給で覚書を締結した。当然それは軽EVへの搭載をにらんでのこと。ここにホンダも加われば、軽EV市場は一気に乱世の戦国時代と化す。

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    ダイハツの奥平総一郎社長(右)とロビンCATL会長の覚書締結式。EV用バッテリーの安定供給やバッテリー技術面で戦略的提携をする。

    EU

    頼みのディーゼルが信用失墜。EVシフトが成功するか……

    2015年、フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル排ガス偽装問題によって、EUではこれまでクリーンとされてきたクリーンディーゼルへの信用が失墜。欧州メーカー各社は、ハイブリッドやPHEVにほぼ手をつけておらず日本メーカーに水をあけられており、EVシフトを急ぐしかなかった。政府の手厚い補助金効果もありEV普及率は急速に上がった。そんな中、VWのEV「ID.」シリーズを始め、ドイツメーカーの積極性は当然としても、スウェーデンのボルボが打ち出した「2030年までにすべての車をEV化する」という目標をいち早く掲げたことは評価に値する。一方、EVシフトには比較的慎重に見えたフランスやイタリアのメーカーも、ここに来て積極参戦してきている。新型アバルト500や、欧州車として唯一のハイブリッドをラインアップしているルノー「カングー E-TECHエレクトリック」など、まだまだEVシフトで先行していきそう。

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    VWのEVミニバン「ID.Buzz」

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    今年のパリサロンに展示されたプジョーのPHEV「408GT PHEV」

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    10月に公開された、ボルボの新世代7人乗りEV「EX90」

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    実用性の高さにEVという魅力が加わったルノー「カングー E-TECHエレクトリック」

    アメリカ

    台頭する新興EVメーカーにかつてのビッグスリーは……

    全米自動車ディーラー協会(NADA)によると、2021年にアメリカで販売された新車は約1500万台。そのうちEVが占める割合は3%ほどだという。日本に比べれば率は高いが欧州や中国に比べるとかなり低い。ただ、この比率を分析すると70%以上がテスラである。そんな一強状態の中、最近では追従するメーカーも続々出てきた。人気のジープブランドは世界的なSUV電動化をリードする計画を公表。北米とヨーロッパで2025年までにゼロエミッションビークル(ZEV)を4モデル導入する。さらにテスラ社出身のCEOが率いる新興メーカー「ルーシッド・モーターズ」。そのEVの大きな特徴は高級EVならではの上質感と、1充電で500マイル(約800㎞)以上走行可能という性能。当然、テスラは人気モデルの新型「モデルY」投入し受けて立つ構え。そんな状況にかつてのビッグスリーもEVシフトへと動きを早め、EVモデルを投入しているが、テスラの地位に取って代われるほどに魅力的なモデルが今後出てくるのか。

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    リコールが続いたルーシッド・モーターズの高級EV「Lucid Air」

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    北米のEV市場を独占状態のテスラ。室内の広いSUVタイプの新型「モデルY」も相変わらず好調だ。

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    パリサロンに姿を見せたジープ初のEV「ジープ アベンジャー」

    アジア

    日本での知名度は低いが世界では既に有力メーカー

    韓国ヒョンデは、日本での知名度はイマイチだが世界では自動車生産台数5位の巨大メーカーだ。EV「アイオニック5」と燃料電池車「ネッソ」の2モデルで今年12年ぶりに日本市場へ再参入したことでも注目されている。「アイオニック5」はワールドカーオブザイヤーを受賞しており、デザインは欧州車に引けを取らない。さらに中国の大手EV&PHEVメーカーとして世界に知られるBYDは、本国ではテスラ以上の人気で、今年上半期のEV&PHEVの販売台数では世界一になっている。こちらもEV3車種で2023年から日本に進出予定。こうしたアジアメーカーがEVで一気にシェアを伸ばす可能性がある。

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    手頃な価格でEVを提供するBYD。中央のコンパクトSUV「アット3」から日本でも順次販売が予定されている。

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    世界的に評価が高いヒョンデ「アイオニック5」。走行性能とシャープで精悍なデザインが人目を引く人気EV。

     

    ※構成/佐藤篤司

    (BE-PAL 2023年1月号より)

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