寒い冬でも元気に外遊び! といかなくても、家で楽しめるのが読書の醍醐味。今を生きるためのヒントを得る学び、超古代への旅、そして山と温泉の楽しみという、人生を縦横無尽に駆け抜けるための必読書をご紹介!
BOOK 01
サバイバル登山家が贈る現代社会の世渡り術
『お金に頼らず生きたい君へ
廃村「自力」生活記』
服部文祥著 河出書房新社 ¥1,562
どれくらいのお金があれば、私たちは生きていけるのだろう。自給しない限り食料は買う必要があり、住居、水道、ガス、電気など暮らしのコストもかかる。そして何より日本国民には納税の義務がある。0円では暮らせないのが現代社会だ。
物やサービスの対価として相手に差し出すのがお金。「自分でやらなくては面白くないことを我々は購入したり、外注したりしてしまってないだろうか」と、サバイバル登山家である著者は問いかける。燃料や食料をできるだけ持たずに自然下を旅した経験が礎だ。
本書は、著者が数年前に購入した廃村にある古民家(廃屋状態でスタート)で必要なものを選り分けていく実録。冷蔵庫はないがインターネットはある──。選択ひとつひとつの開陳に改めて気付かされることも多い。すべて自分でやってみたいと願うものの、調達できないものには金を使う。現代社会に参加しながら自力生活を試みている著者の姿に刺激を受ける。何を喜びとし、何を大切にして生きていくのか? そんな命題を突きつけられたようだ。
BOOK 02
恐竜じゃないよ 愛嬌たっぷりの古生物に夢中
『前恐竜時代 失われた魅惑のペルム紀世界』
土屋 健著 かわさきしゅんいち絵 佐野市葛生化石館監修 ブックマン社 ¥2,420
「恐竜の本か〜」と思いきや、違います!
表紙に描かれているのは単弓類のディメトロドン。約2億8千万年前ごろに大陸(まだひとかたまり)を闊歩していた動物だ。私たち哺乳類は単弓類の唯一の生き残りだという。鳥類出現までまだ1億年あるペルム紀と呼ばれる古生代で、恐竜が現われる前だ。本書はペルム紀にスポットを当て、この時代に生きた魅力的かつ奇妙奇天烈な動物たちを紹介する。自然環境は? 史上最大の絶滅事件って? 途方もない太古に胸高鳴る。
BOOK 03
いい山にはいい湯あり 温泉達人の誘い
『温泉百名山』
飯出敏夫著 集英社インターナショナル ¥2,420
寒さが日に日に増す今日、温泉が恋しくなってくる。本書は温泉紀行ライターとして長年活躍する著者が選んだ百の山&湯のガイドブック。深田久弥の『日本百名山』をベースに、そこに「名湯」の視点を加えたものだ。学生時代から登山に親しみ、70歳で〝百名山〟を完登した著者。経験に裏打ちされた各地の山&湯の組み合わせ選出が光る。高山はこれから雪に閉ざされるが温泉はいっそうしみる季節。ウィンターアクティビティーの後は、近くの出で湯でゆったり温まろう。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2023年1月号より)