キャンプ用の刃物は昨今さまざまな種類が出ていますが、なんだかんだいってナタは便利です。薪を割ったりブッシュを分け入ったり、ときには枝を削り、スイカもカットできてしまうナタは、日本が誇るべき野外用の刃物だと思います。
でも、いざナタを選ぼうと思ったときに「両刃」「片刃」といった刃の形状選びに悩んでしまう方が多いようです。実際僕も初めて買うときは悩みました…。今回は、両刃、片刃のナタのメリットデメリットを整理して、用途に合ったナタ選びに役立つポイントをご紹介します。
両刃と片刃って何?
アウトドア用のナイフでも同様の刃の形状があるので既に知っている方も多いと思いますが、まずはナタの刃の形状である両刃、片刃とは何かを整理していきます。
両刃
両刃は、写真のように刃先を中心に左右対称にナナメに下がっている刃の形状をいいます。斧や西洋ナイフ全般がこの形をしていることが多いです。刃の形状が左右対称なので、右利き、左利きを気にせず使うことができるメリットがあります。
片刃
片刃は、写真のように、刃先から片側だけナナメに下がっている形状をいいます。この形状は、切り出しナイフや和包丁によくある形状です。ほとんどのお店では右利き用のみの販売が多く、右利き用を左手で使うと非常に使いにくいです。左利きの方は、左利き用の片刃のナタを購入する必要があります。
両刃と片刃のメリット・デメリット
両刃、片刃は、どちらもとても良い刃物ですが、それぞれメリット、デメリットがあります。ここでは代表的な3つの作業を例にとって、それぞれの特徴を紹介していきます。
1:薪を割る
ナタの用途としていちばん多いのが、薪割りだと思います。森から拾ってきた薪、キャンプ場で買ってきた薪、針葉樹、広葉樹問わず、薪を細かく割るときに、ナタが活躍します。その際、両刃と片刃では大きな違いがあります。
両刃の場合
両刃のナタは、刃先を中心に左右対称の形をしているため、刃を入れたときの直進性が高いです。つまり、まっすぐ刃が進んで行きやすいため、割るという能力に関しては高いです。
片刃の場合
片刃の場合は、刃先が片側だけナナメになっているため、そのナナメの方向に刃が進みやすいという特徴があります。針葉樹など、木の繊維がまっすぐなものに関しては刃の入りは問題ないですが、繊維にねじれがあるような木は、ナナメに食い込むように刃が入っていきやすいため、少しテクニックが必要になります。
2:立木をナタで倒す
ナタはいうなればオールマイティーな刃物。ときにはブッシュを切り開いたり、立木を倒したり、または木でペグをつくったりするときに刃をナナメに入れてカットしていくシーンもあります。
両刃
両刃の場合は、左右対称の刃のため立木などに刃を当てようとすると、弾かれてしまう場合があります。特に垂直に近い角度で振り下ろした場合は、刃が入らず空振りになってしまう場合があるので注意が必要です。その場合は、水平に近い角度で打ち込むことで、安全に使用することができます。
片刃の場合
片刃の場合は、刃の片側が平らになっているため、垂直に近い角度で立木に刃を入れてもしっかりと食い込んでくれます。そのためペグづくりなどに用いる場合には、細かな角度調整がしやすいので有利です。ただし、これは右利き用のナタを用いて右から刃を入れた場合で、逆から刃を入れると刃が弾かれて危険な場合もあります。
3:細かな作業
ナタは大きな刃物ですが、ときには細かな作業もナタで済ませたくなるシーンが多々あります。細かな作業のやりやすさ、やりにくさも、片刃、両刃で大きく異なります。
両刃の場合
両刃の場合は、刃の厚みと形状の関係上、細かな作業をするには少しテクニックが必要になります。特に刃を入れる角度が少しシビアになってくるため練習が必要です。もちろん、両刃でも使いこなせば、細かな作業も楽にこなせるようになります。
片刃の場合
片刃の場合は、箸を削る、フェザースティックをつくるなど、細かな作業が得意です。それは、刃厚があるものの切り出しナイフのような形状のため、薄く削る、分厚く削るなどの調整がしやすいからです。使い慣れてしまうと、細かな作業もナイフを使わず、ナタ一本で済んでしまうことがあります。
まとめ
いかがだったでしょうか? 両刃と片刃、それぞれ代表的な作業のメリット、デメリットを理解すると、自分が使いたい用途に合ったナタを選ぶことができると思います。
また、ナイフなどほかの刃物との相性もポイントになります。手持ちのナイフの形状や用途と組み合わせたときに、片刃と両刃、どっちがいいかを想像してみると、選びやすくなるのではないでしょうか?
もしもどちらを購入するか迷っている方は、この記事を参考にじっくり検討してみてください。