日照時間の短い冬、日光を浴びに釣りに出かける!
ユーコンの冬の日照時間は短かい。僕の住む街ホワイトホースの日照時間は、冬至の頃で大体5時間37分。新しい年になったとは言っても、日照時間は引き続き短くて気温も常にマイナス。雪の中を散歩しながら日光を浴びるのはいつでも気持ちがいい。今回は散歩がてらアイスフィッシングに出かけてみた。
凍った湖を超えて凍った湖へ行こう
ホワイトホースの街中から車で10分も走れば、大小の色々な湖に簡単にアスセスできる。今回はそのうちのひとつ、ヒドゥンレイクまで散歩に行くことにする。
この湖は名前の通り、隠れた場所にある。夏だったら湖畔のトレイルをぐるっと歩いていかないと辿り着けない。でも冬は湖が分厚く凍っているから、手前の湖を歩いて渡って、森を抜けて、と簡単にショートカットができる。
歩く準備
冬のいいところは至る所が雪で覆われているから、橇を引けば荷物を担がなくてもいいところ。釣りの道具、キャンピングチェアー、ランチに水筒、必要なものは全て橇に乗せてしまおう。
トレイルや氷の上の雪の状態はその時々で違う。安全に歩くために、雪が深い場合はスノーシュー、氷が剥き出しの場合はクランポンを用意しておくと、より快適に安全に歩けて良いだろう。
さあ出発!
実際に湖に出てみると、雪が湖全体を覆っていた。かと言って深くも無い。たまたま誰かがスノーモービルで入った跡がある。その上は雪が硬くなっているから、その上を歩けば楽に進めそうだ。
ひとつめの湖を越えると、短く森を抜ける。下り坂にさしかかったら橇を先に滑らせて、自分は後ろから橇をコントロールしながら下っていくと楽に安全に進める。
途中に古い壊れたキツツキの巣を見つけた。そしてまた森の中をしばらく進むと、ついにヒドゥンレイクに到着。そして釣り場へと向かう。
湖面に穴を開けるのはひと苦労!
ヒドゥンレイクには所々、水に沈んだ古い木が湖面から出ている箇所がある。こういった場所は、レインボートラウトやレイクトラウトといった魚が身を隠したり餌を探すのに適した場所だろうと、その周辺に穴を開けることにした。
穴を開ける道具はアイスオーガーと呼ばれ、見た目はそのまんま巨大な手回しドリルだ。ドリルの先端には巨大なカミソリのような刃がついていて、ドリルを回すことで刃が氷を少しづつ削る仕組み。地元のホームセンターなどで簡単に手に入り、電動やエンジン付きの簡単に穴を開けられるものもある。
軸をまっすぐに保ちつつ、ハンドルをひたすら回す。これが意外と難しい。早く回しても5分以上は回し続けないと穴は開かない。ゼーゼー言いながら、ようやく穴が空いた。アイスオーガーの水色の部分だけで60センチくらいはあるだろうか。ドリルの部分が完全に氷に埋まった頃に穴が貫通したから、氷の厚さは60センチ以上はあるということだろう。それだけ氷が厚いと分かれば、氷の上を歩くのが改めて安全だと分かる。
と思ったらすぐにピキピキっとヒビが入るような音が聞こえた! 恐らくこの大きな湖の氷のどこかに小さな亀裂が入ったのだろう。その小さな音が大きな氷に反響してより大きな音で聞こえる。一瞬ヒヤッとするもののそれ以上のことが起こることはまずない。
アイスフィッシングはとても原始式な釣りだから、特に難しい仕掛けはあまり用いられない。ホームセンターなどで出来合いのアイスフィッシング用釣竿も売っているけれど、大体一本2000円くらいから。何本も竿を仕掛けて少しでも釣れる確率を上げたいと思う僕には、ちょっと高価になってしまう。だったら角材を適当な長さに切って、釣り糸を巻きつけて、先に錘と釣り糸をつけて作ってしまおう。餌には料理で余ったイカを付けて、糸をたらす。
時間が経つと水面が少しづつ凍り始めてくるから、定期的に氷を取り除く必要がある。
予定通りピクニック。ランチを食べつつ、時々釣竿を少し動かして魚の気を引く。なんてしばらくのんびりとしていたけれど、あれよあれよと太陽が山陰に入ってしまったので、そろそろ荷物をまとめて帰るとしよう。やっぱり冬の日照時間は短い。
のんびりしすぎて釣りに対する気合いが足りなさすぎたせいか、今日の釣果はボウズ。日照時間が短いとは言え、それなりに身近な自然の中で休日を楽しめたので良しとしよう。
ビデオグラファー
2008年にユーコン川下りで訪れて以来、ユーコン準州に通い始める。2011年に移住後も、ユーコンに生きる野生動物、風景、自然と共に生きる人々を引き続き撮影中。2019年、First Light Image Festivalにて最優秀賞受賞。ユーコンから色々なトピックをお届けします!