過去最大規模に加え、来場者も5万人を超す人気ぶり
2月3日から6日までの4日間、千葉県にある幕張メッセ国際展示場にて「ジャパンキャンピングカーショー2023」が開催されました。アジア最大のキャンピングカーショーであるこのイベント。今年は過去最大の規模で4日間の来場者数は合計で5万1231人と例年を大幅に超え、その人気ぶりをうかがい知ることができました。
またショーが開催される直前の2月1日には、一般社団法人日本RV協会より「キャンピングカー白書2023年版」が発行され、キャンピングカーの保有台数が前年比106.6%の14万5000台代に達したことが発表されました。キャンピングカーの国内生産台数はこの10年で約2倍に増加しており、キャンピングカーという存在の認知度がアップ。もちろん、キャンピングカーを乗る人が増えればマナーの問題なども増えていくのですが、協会としてはこうしたキャンピングカー文化の定着とともにマナーの徹底にも力を入れていくそうです。
そんな人気のキャンピングカーのトレンドがわかるのがその年の最初に開催される「ジャパンキャンピングカーショー」。そこで、2回に分けてショーに出展された注目車両を紹介して行こうと思います。
100万円代から購入できる軽自動車ベースのキャンピングカー
ダイレクトカーズから発表された「リトリートミニチキ」は、YouTuberの「チキチキバンバン」さんとのコラボモデル。ハイゼットトラックベースにしたもので、トラックの荷台にシェルを架装。小さいながらもロングカウンターにウッド調の内装で落ち着きのある空間。さらにポップアップルーフで頭上空間は広々。フロントフェイスのレトロさと相成った可愛い1台に仕上がっています。
メティオの「ラクネル・リリイ」はハイゼットカーゴをベースにした軽バンコン。191万円〜と100万円台で購入ができるのも大きな魅力です。インテリアはアルミのチャンネル材を利用した軽量・高強度の設計で、向き合ってのリビングが展開できるのも自慢。ウッド調のキャビネットも明るめの色遣いで優しい雰囲気となっています。さらに、スライドドアの窓には網戸とシェードが内蔵されたアクリル2重窓を装備。
フィールドライフからはアトレーにポップアップルーフを搭載したモデルを参考出品。同社は「ココワゴン」や「コング」と言ったエブリイベースのポップアップルーフモデルを製造しているだけに、ルーフの作り込みは折り紙付き。春ごろにはキャビネットやベッドを搭載した市販モデルとして登場する予定なのでお楽しみに。
ルートシックスは「ウォームス」と「ウォームスライト」の2台を出展。こちらはエブリイとアトレーどちらのベース車でも架装が可能。家具類はリアルウッドにより木の温もりが感じられる作りが魅力。今年初披露となったウォームスライトはスリムなキャビネットを採用し、上部収納がないことですっかりとした印象。またリヤクオーターウインドウには有孔ボードが備わり、小物の収納などができるようになっています。
M.Y.S.ミスティックからはトラックの荷台に取り外し可能なシェルを搭載した「ミニポップ パラキート」が新登場。こちらはトラックキャンパーというジャンルで脱着式シェルは使わないときは外して置いておけ、普通のトラックとして使えるのが特徴(専用のジャッキが必要)。パラキートはポップアップルーフにより、軽自動車ベースとは思えない室内空間を実現。また、二の字ソファを採用したリビングは簡単にベッド展開もできるようになっています。
安定の人気を誇るワンボックス・ミニバン・SUVベースのキャンピングカー
やはり国内で人気となるのが日本の道路環境にも合ったハイエースやタウンエースをベースにしたモデル。各社から個性溢れるモデルが数多く登場しましたが、タウンエースベースのモデルにも多く注目が集まった印象でした。というのも、クルマなどと同様に部材の高騰もあってキャンピングカーの価格も以前よりも高くなってきている現状。ハイエースベースであっても800万円前後のものもあって購入するにはハードルもやや高め。そこで手に取りやすいのがタウンエースやNV200バネットをベースにしたモデルだと、500万円を切るモデルが多いというのも人気の理由だと思います。
昨年6代目をモデルチェンジしたステップワゴン。ホワイトハウスはステップワゴンをベースにした「デッキワン」を初披露。さらに、こちらも昨年4代目とモデルチェンジされたノア・ヴォクシーをベースにした「デイズ」も同時発表。両モデルともポップアップルーフを搭載し、普段はファミリーカーでありながら休日はキャンピングカーへと変身できるモデル。
ホワイトハウスと言えば日本一のポップアップルーフ製造数を誇るメーカーだけあり、ルーフの強度や作り込みはピカイチ。ぱっと見は普通のミニバンながらも、キャンプ場でポップアップルーフを出せばキャンピングカーへと変身して家族みんなが楽しめる1台。乗用車感覚で運転できるメリットも購入の後押しになることでしょう。
ダイレクトカーズの「リトリートアニバーサリーII」はワイドボディミドルルーフのハイエースがベース。角目2灯のフロントフェイスにサイドのウッドデカールでノスタルジック溢れるスタイル。インテリアは対面したロングソファによるリビングが展開できるほか、フロントシート後部にはキャンプ場で活躍するスライド式のシンクを搭載し、スライドドアから延長させて使用が可能。天然木の内装も部屋感があって落ち着きます。
リアルウッドと言えばバンライフスタイルをいち早く日本に取り入れたセドナから「サンライズ」がデビュー。こちらも天井から壁までウッドで覆われ居心地も抜群。右側にスリムなロングカウンターを備える以外はシンプルな作りで、ユーザーの使い方に合わせて装飾がしやすいのも魅力となっています。
バンコンの老舗ビルダーであるレクビィは「ソラン」を初出展。フロントキッチンにリヤは対面プラスソファというリビングの構成。ペットとの旅をコンセプトにして作られており、水汚れ、摩擦、爪立てに強い内装材を採用。さらに右リアクオーターウインドウを架装してエアコンを搭載することで季節を問わずペットと快適な旅行ができるよう細かな配慮がなされています。
ランクルやハイエースなどのスペシャルショップであるフレックスからは「ウッドビレッジ」が新登場。右サイドにキッチンカウンターと収納スペースを集約した作りで、積載性にもしっかりと配慮された作り。さらにウッドの内装と丸目2灯のエクステリアでクラシックさも演出。特にグリル右下に配置されたトヨタエンブレムが絶妙で、存在感もたっぷり。
タウンエースベースのほうを見てみると、グランキャンパーから同社初となる「リベロ」が誕生。こちらは右側にカウンターキャビネットを装備し、反転可能なセカンドシートと横置きソファでリビングを構成。シンプルで使い勝手のいいレイアウトにより1〜2人での車中泊が快適にできるよう設計。全長4065×全幅1665mmとコンパクトで細い道などでも取りまわしがしやすいのもタウンエースの魅力。趣味の基地にも最適です。
最後に今回のショーでの変わり種として、ピックアップベースの1台を紹介。こちらはダイレクトカーズの「BR75」というモデルでハイラックスがベース。ピックアップの荷台部分を大胆にカットしてシェルを架装しています。いままでにないスタイリングだけでも十分に魅力的ですがシェルの上部にはなんとポップアップルーフまで搭載し、車内で立ったまま歩けるほど開放的。
後部はマルチールームが備わりキッチンやトイレとして利用ができるほか、バックドアがあるので荷物の出し入れも楽々。電装系システムもしっかりとしており、家庭用エアコンまで搭載しています。
キャンピングカーにはサイズや室内レイアウトはもちろんのこと、ジャンルや装備などそれぞれ異なっていて、乗りたいモデルを探すまでも楽しい時間になります。もしも自分が買うならこんなクルマがいいなと想像しながらいろいろと見てみると面白いはず。後編では今年話題のフィアット・デュカトをベースにした注目モデルや最新キャンピング・トレーラーをピックアップします。