昨日公開した「軽キャン、ミニバン、SUVベースまで!「ジャパンキャンピングカーショー2023」注目車両をピックアップ」に引き続き、大盛況の内に幕を閉じた「ジャパンキャンピングカーショー2023」の注目車両をレポートしたいと思います。
今年はショーが開催される前から雑誌やネット記事で話題となっていたのが「フィアット・デュカト」の登場。昨年2月に日本への正規輸入が発表された正式名称「フィアットプロフェッショナル・デュカトバン」は、日本にある正規ディラーは大手キャンピングカービルダーの「ナッツRV」「RVランド」「トイファクトリー」「岡モータース」「ホワイトハウス」の5社が取り扱いを行います。ショー会場ではノーマルのデュカトのほかにも、これら5社が送り出すデュカトベースのオリジナルモデルに注目が集まりました。
日本で発売されるデュカトのボディタイプはすべてがバンタイプで3モデルを用意。全長は5410mmと5995mmの2タイプで、全幅はすべて2050mm。全高は2525mmと2765mmの2種類となっています。ハイエースのワイドボディハイルーフスーパーロングで全長5380×全幅1880×全高2285mmと比べ、デュカトはどこを見てもサイズが大きいのが特徴となっています。
今年はデュカトベースのキャンピングカーが続々デビュー
ハイエースをベースにしたバンコンの日本一の製造台数を誇るトイファクトリーからは4モデルを出展。なかでも注目は「ダ・ヴィンチ」と「オリジン」の2台で、ドイツの名門ビルダーであるハイマーの元チーフデザイナーとフランク・ヴェンダー氏とのコラボモデル。
ダ・ヴィンチのほうはダークな配色によるシティ・ライフをイメージした1台。レイアウトはフロントにリビング、中央にキッチンやマルチルーム、リアにベッドルームという欧州でもポピュラーなレイアウトを採用。また、欧州キャンピングカーの市場でナンバー1に君臨するアグチ製シートを採用するなど見どころも満載。
一方オリジンはベージュ系のアースカラーが特徴で、2列目・3列目のシートが取り外せるため、2人乗車、4人乗車、6人乗車と旅の人数やスタイルに合わせて変更できる。またポップアップルーフを搭載しているのでファミリーでの利用にも最適。
「ミニチュアクルーズ」シリーズで人気の岡モータースは「グランクルーズWD」を製造。車名の「WD」はダブルダイネットの意味で、リビングを前後2カ所に配置。後部にあるリビング部分は2段ベッドに展開できるようになっており、2人がそれぞれ快適に就寝できる仕様になっているのが他社とは違うアプローチで個性的でした。
ホワイトハウスからはキャンピングカーではなくツールラック仕様車を展示。イタリアのGEM社との正規販売契約を結び、スタイリッシュでありながらプロの厳しい要望を叶える質実剛健なプロユース向けツールラック仕様車を開発しました。デュカトは1人親方やキッチンカー、トランポなどさまざまな使い方ができることをアピール。もう1台のほうはクルーキャブ仕様とし、荷室との間に間仕切りを設け荷台にはバギーを載せるなど積載性と快適性を紹介していました。
正規販売店ではありませんが、古くからデュカトを取り扱っている大手キャンピングカービルダーのデルタリンクは、デュカトをベースにした新ブランド「THE THIRD SPACE(ここちよい第3の空間)」を立ち上げ。ファーストモデルである「BREATH 54DD」はハードメイプル材を天井や壁に採用した落ち着いた空間が特徴で、大人の快適旅が満喫できる作りに注目が集まっていました。
サイズにゆとりのあるデュカトベースのキャンピングカーに来場者からの熱い視線が送られていましたが、価格はやはり1000万円〜1600万円とキャンピングカー初心者にはハードルが高め。納車についても1〜2年待ちというのがほとんど。それでも一度ハンドルを握ると走りの安定性やボディ剛性など、キャンピングカー先進国であるヨーロッパのよさを実感できると思います。
国産・輸入コンパクトキャンピングトレーラーも見逃せない!
もう一つ忘れてはならないのがキャンピングトレーラー。欧米に比べると日本ではまだまだ認知度が低いトレーラーの世界ですが、エンジンなどの機関がないためメンテナンス性がとてもよく維持費についても想像以上に安いのでねらい目。とはいえ、けん引するためのヘッド車は必要になります。おまけに2台駐車できるスペースも必要です。ただし、使わないときは別室や書斎など基地、防災拠点などのようにして使えるのもトレーラーならではの魅力といえます。そんなトレーラーは今年、超コンパクトなモデルが多数出展されました。
まずはインディアナRVの「インディアナ300」。ポーランドのトレーラービルダーであるニワドーに特注したモデルで、日本での使い勝手に配慮した左エントランスを採用。ボディはグラスファイバー製で重量も675kgとけん引免許が不要どころか、1.5L〜2Lクラスのヘッド車でもけん引が可能。キャビネットの有無によるレイアウトも2パターン用意されていて、旅のスタイルに合わせて選択ができます。
レクビィは航空機製造メーカーであるエアロ社とコラボした「エアロスター”OHEYA”」を展示。筐体はエアロ社によるもので、航空機技術であるリベット結合を用いたアルミボディは350kgを切る軽量を実現しシャシーはアルコ社製を使用。インテリアはキャピングカービルダーレクビィが担当し、室内高にもゆとりのある落ち着いた居心地のいい空間になっています。
既に「ミミー」と言う名のキャンピングトレーラーを製造しているタコスからは新たに「グランドクロス GX350」を発表。一般的な月極駐車場のサイズに収まる全長5mを切るボディで、左側のエントランス以外にリヤにも観音開きドアを装備。積載性がよくキャンピングカーとしてはもちろんのこと、トランポ的な使い方もできます。ボディはアルミサイディングを施した軽量仕様でけん引免許も不要。キッチンや防水のマルチルームも備わり、使い方も自由自在。
ハイエースやデリカD:5など、バンコンビルダーとしても知られるケイワークスはトレーラーメーカーとしても有名で「トレイルワークス」シリーズを展開。今回のショーでは「トレイルワークス・カーゴ」「トレイルワークス・ミニ」の2台を初出展。
カーゴのほうはバイク好きのために開発されたモデル。積載のしやすさはもちろん、ボディは断熱施工もされているのでシェルターやちょっとした趣味の部屋のようにして使う事もできる。ミニのほうは既存モデルであるトレイルワークスのコンパクト版。けん引免許不要でありながらも、車内はしっかりとしたキャンピング装備を搭載しています。
今年も軽キャンパーからキャンピングトレーラーまで、魅力あふれるさまざまなニューモデルが登場しました。実車を見てみたいと言う人はこれから各地で開催されるキャンピングカーショーをチェックしてみてはいかがでしょう? ショーのスケジュールは日本RV協会のイベントのページから見ることができるので、近くで開催される際は足を運んでみることをオススメします。